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幻想生物

疾風(はやて)「うひょぉ〜!!流石は、俺のアイボー、はっやーい!」


大きな生物の上に跨り、大はしゃぎな班長とは裏腹に、僕らは地面だけを見つめて虚無と化していた。


疾風「お前たち!!もう着くぞーーー!!」


急降下、急上昇のアトラクションばりの飛行の末もう着くらしい。離陸してから二分も経っていないだろう。なぜこんなにも速く、危険な方法で向かっているのか。


僕達は、何に運ばれているのか。なぜこんな事になったのか。

---

こんなことになるちょっと前


僕らは、班長の指示に従い、支度をしていた。と入っても、支度にそんな時間はかからなかった。所詮行くのは防衛任務だし、そこまで必要なものは僕にはない。強いて言うなら僕は、動きやすい服に着替えることや、替えの服の用意、武器の準備くらいだろう。


今は、武器の準備に希望(のぞむ)くんの部屋向かっている。真剣が全然使えないから普通の木刀を使うつもりでいる。でもいつか、木刀じゃ勝てないようなやつが来るかもしれないということで、真剣も持つことになった。


でも、まだ僕専用の真剣がなく、たくさん持ってる希望くんの真剣を借りることになっている。つまり今、僕は希望くんの部屋に向かっている。


希望くんの部屋に着くと僕は、コンコンコンッと、希望くんの扉をノックした。すると、三度目のノックが終わって直ぐに扉が開いた。扉の前で待ち伏せしていないと、説明できないような速さだ。


希望「(みのる)ー、やっと来たか。」


実「ごめん。準備はこれでいいのか不安になっちゃって何度も確認してたら遅くなっちゃった。」


希望「流石に心配性すぎんだろ......」


実「えへへ......」


希望「ほしいやつは決まってんのか?」


実「あっ、決まってるよ。傷つけるだけの軽めの小刀と、普通サイズの真剣を_______」


夢華(ゆめか)「ちょっと、どうするんですか!?」


部屋の前で話していたら突然夢華さんの声が響いてきた。もうすでに支度は済ましたようで、班長の所に戻ったんだろう。


僕らは、急いで支度を済ませ、班長の所に向かった。


夢華「一班の班長さんは、時間に厳しいって言ってましたよね!?」


夢華さんはそう班長に詰め寄っていた。班長は僕らを見つけると助けてと言わんばかりのジェスチャーのようなものを送ってきた。


実「何があったの?」


夢華「あ、やっと来た。」


夢華さんの意識が僕らに向いたことで班長はグーサインを僕らに出していた。


夢華「私達、遅刻しそうなのよ。」


だから、あんなにも取り乱していたのか。班長に集合時刻をでも聞いたんだろうか。


希望「何を取り乱してんだ?一班の管理棟なんて、なんか乗れば10分もありゃぁつくだろ?」


夢華「危険区域何だから乗り物なんて使えないわよ!」


希望「そ、そうか。だとしてもだな、1時間もありゃつくだろ?」


夢華「後20分もないわよ。」


希望「え、え。」


絶望的な状況に言葉が出ていない様子の希望くん。でも、こんなやり取りをしてる今でも刻一刻と時は進んでいる。現在進行系でだ。


終わったような顔をし、へたり込んでいる二人。目の前でいきなり班長が立ち上がり、手と手をポンッと叩き「よし!これしか方法はない!!」と言った。


すると、班長は服の前ポッケから球体状のナニカを取り出した。


希望「こっ、これは!!」


希望くんはこのナニカを知っているような反応を見せ、一筋の光でも見つかったのかと思うほど勢いよく起き上がった。


夢華「何?どうしたの?」


下を見ていた夢華さんも突然のことに顔を上げた。


疾風「みんなちょっとだけ僕から離れてて。時間内に行く方法が思いついた。」


僕らが横に掃けると班長はナニカを両手で握り、おでこに当てて何かを祈るようにしていた。班長が「お願い(?)」のようなものを言うとナニカが青くひかり、光が何かを作り始めた。


実「綺麗だ......」


目の前に広がる初めての光景に自然と言葉が溢れた。そんな僕に班長は「でしょ?」と得意げに言った。

さっきまでカリカリしていた夢華さんも目の前に広がる光景に目を奪われている。


夢華「これは、何が起きてるんですか?」


疾風「えっとねーこれは、ビュラズっていう品物で、精神を注ぎ込むことで、持ち主に合った幻想生物(ゲブラー)を創り出してくれるんだ。」


夢華「なるほど....つまりこれは、生命の神秘なのですね!」


"生命の神秘"か、僕らが美しく感じるのも納得がいく。青い光は着実と体を形成していく。


希望「本当にすごい。映像としては何度か見たことあったけど、生で見たのは初めてだ。」


実「そんなに珍しいの?」


使用者に合った幻想生物(ゲブラー)を作り出してくれるのであれば、随分と人気のある品物だろう。それに、持っておくだけ損はないと思うが、、、


希望「ビュラスを使うには、免許が要るんだ。」


夢華「なるほどね。確かに使う人次第な感じあるし、そういうのは必要でしょうね。」


確かに暴力性の高い生物が産まれれば"躾"が必要になるだろうし、全員が産み出すことが可能であれば犯罪にだって利用されてしまう。幻想生物(ゲブラー)は持ち主によって変わるらしいから、全く同じ個体は存在しないだろう。人の数ほどいる幻想生物(ゲブラー)を管理するなんて不可能だろう。


希望「免許にかかる金額も馬鹿みたいに高いし、ビュラス自体高級品だから、簡単に手を出せねんだ。」


疾風「ほんとに、バカみたいな値段するからね。僕なんて、丸々一年分の給料+翼に借金してやっと買えたからね。ほんとに。」


希望の言うことにウンウンと頷きながら班長は言っていた。虚ろな目をして立っていた。そんな姿を見てしまっては金額なんて口が避けても聞けない。


すると突然、形成されてきていた幻想生物(ゲブラー)は眩い光を放ち、姿を現した。

猛禽類のように、丈夫な翼に、立派な鉤爪のついた前足。

肉食獣のように、鋭い牙に、頑丈な体、走りを得意とする後ろ足。

どの生物から取ったのか分からない足のついた尻尾。

その他諸々が組み合わさり、まるで、僕が考えた最強の動物を見ているようだった。


希望「凄い......!」


夢華「色々混ざっててよくわからないけど、凄いことだけはわかるわ。」


全員が凄いと思えるほど大きく、たくましい。


すると、班長はゲブラーの体をよじ登り、首の付け根部分に座り込んだ。


疾風「みんなはうつ伏せになって待ってて、すぐに出発するから!」


僕らは班長に言われた通りにうつ伏せになった。班長達は走り出した。幻想生物(ゲブラー)の翼が空を切り、風が吹き荒れる。多分、空に飛び立ったんだろう。


少しぐらい見てもバチは当たらないと思いみた。たくましい巨体が物凄い速さで空を翔けている姿を。

それから班長達は減速をし、こちらへ戻ってきた。


疾風「君たちを運ぶから動かないでねー!!」


......運ぶ?何を言ってるんだ?


夢華「でも、乗れるスペースあるんですか?そこ。」


疾風「足と尻尾で運ぶんだよ。」


......なるほど。嫌だな。何よりも怖い。でも確かにこれ以外、時間内につく方法はないだろう。腹をくくろう。


希望「......なあ。」


夢華「ん?」


希望「誰が尻尾に掴まれる......?」


後ろ側にあたる尻尾は飛んでいる姿を見ていると尻尾はプランプランと揺れていた。せめてこんなに危ないことをするのであれば、一番不安定な尻尾だけは避けたいだろう。


全員がお前が行けと視線を送る。そのような膠着状態にしびれを切らした希望が口を開いた。


希望「ジャンケンだ.....!」


夢華・実「!?」


ジャンケン。グーとチョキとパーという三すくみの手を使い戦う心理戦、いいや、運ゲーだ。相手が何を出すのも運。何も考えない方が良い。運命に身を委ねる!!


三人「最初はグー!ジャンケンポイ!」

---

疾風「お前たち!!もう着くぞーーー!!」


まだ5分も経っていない頃、上の方から班長が言った。でも、管理棟らしき建物はどこにも見当たらない。そのまま、班長は減速を始め、着陸した。


疾風「どうだった?最高の景色だったろう。」


希望「はい。上空から街なんか見たこともなかったですから、新鮮で。」


夢華「速すぎてなんとも....」


まだ上空から下を見渡せただけいいじゃないか。僕なんて空しか見えなかったんだぞ?それに揺れるからまともに景色なんて見れやしない。


?「杠葉、私をどれだけ待たせるのだ。」


突然後ろから男の声がした。


疾風「ヒュッ......」


今まで聞いたことのないほど弱そうな音が班長から出ててきた。顔は青ざめ、首が回らなくなったのかと思うほど後ろを見ようとしない。


?「新人を連れてくるのは本来、入団式から2日以内だと決まっていたはずだが?」


疾風「......ハァい。」


?「決まっていたハズだが?」


疾風「、すみましぇん。」


?「自己紹介が遅れた。私は、一班班長の箆中真(へらうちまこと)だ。初顔合わせがこのような形になってしまって恥ずかしいかぎりだ。」


希望「は、初めまして。僕は___」


真「名前は杠葉から送られてきた情報で知っている

よ希望団員。」


他の班の人の名前まで覚えているなんて凄いな。

僕らの個人情報を断りなく横流しされている件についてはどうかと思うが、、、


疾風「、本当だったらね、メンタル値を測るためにもうちょっと早く来なきゃいけなかったんだけどね。みんなが頑張って、修行してる姿を見てたら、邪魔する訳には、ってなってね、、、」


っ!

自分を犠牲にしてでも、僕たちのことを思って日をずらしてくれたのか。こうやって怒られるのは、誰でも予測できるだろうし、それしか考えられない!

本当に凄いな、班長。


夢華「実、凄い輝かしい目で班長を見てるけど、そんなんじゃないよ。絶対に。」


真「言い訳はあとでじっくりと聞こう。今は、測定を優先して動く。皆付いてくるように。」


班長の襟首をガシッと掴み、引きずりながら真さんは歩き出した。この光景は、何故か知らないが見慣れた光景で普通のように感じる。これは、まずいのかもしれない。


希望「うお、いつのまに!?」


真さんの背中についていくと、いままでは気づかなかった、いや、()()()()()()()()()大きな建物の姿が目の前にはあった。


真「説明不足ですまない。私の能力は、認識阻害。私の許可なしに、物を見せないようにすることができる。これがそうだった訳だ。あとお前はそろそろ自分で歩け。」


疾風「ふぁい......」


なるほど。だから、班長がなにもないところに着陸したように見えていたわけか。真さんはどんどん中へと入っていき、僕らはそれについて行った。


そこで僕は、気になったことがある。


実「ねぇ、希望くん。」


希望「なに?何で小声?」


最近知ったのだけど、僕は少し無知すぎるらしい。僕が質問をすると、僕だけが知らなかったなんてことしかない。何に関してもだ。それを聞くことを恥じだと思わない方がおかしい話だ。だが、知らないままにする方がよっぽど恥ずかしい。なら、まだダメージが少なく、博識な希望くんに聞くのが最善択だろう。


実「その、メンタル値とかって何のこと?」


班長達の会話の中で出てきたメンタル値。それを、本来なら入団後二日以内に計測するはずだったとか言っていたが、僕はそのメンタル値というものすら理解していない。


希望「あー、メンタル値?俺も詳しくはわかんないけど、能力を使うために必要なエネルギーみたいなもんかな。」


実「じゃあ、希望くんはいくつだったの?」


希望「前測ったのは2年前かな?確か500とちょっとだったはず。」


夢華「ふ~~~ん!」


僕と希望くんの間から顔を出してきた。手を胸に当て、誇らしげな様子に希望くんはなにか察していたようだった。


実「何?どうしたの?」


夢華「私は前測ったときは1226よ!!」


ここまで正確に覚えているとなると、相当嬉しかったのだろう。多分自慢して回ってたんじゃないか?


実「どれぐらいから凄いの?それ。」


夢華「大体わたしたちくらい歳じゃ、200ぐらいが平均だったかしら。まあ、500も凄いんじゃない?私は1000超えだけど!!」


希望「こりゃ、ずっと擦られそうだな。」


希望くんは夢華さんに鬱陶しそうにまとわりつかれている。これもきっと仲が良いってことだよね。


希望「そういや、なんで実は初見なんだ?」


突然の問に言葉がすんなりと出てこない。なんでって、そりゃ、触れ合う機会が一切なかったからに決まっているだろう。


実「僕、一回も測ったことないんだよね。」


そういうと二人は、「あり得ない」と言わんばかりの表情を見せた。


希望「お前確か、親が消えて身寄りがなくて団長の家に住んでんだよな?」


実「うん。」


夢華「そういう場合大体引き取られる前に測るはずなんだけど、ほんとに測った記憶ないの?」


実「うーん?ないとおもうよ?」


全員の頭の上にはてなマークが浮かんだ。僕は確かに測ったことがないはずだ。というか、僕は全然家から出たことなかったし、師匠と一緒に出たことなんて微塵もない。


疾風「みんな、ついたよ。」


気づいたら大きな扉の前に来ていた。その扉は厳重に閉ざされており、たくさんロックが施されている。真さんは、顔認証一つで扉を開けた。


中は広く、いろんな機器がおいてあった。これらの無断使用を止めるために、厳重に閉ざされて要るのだろう。


真「では、早速取り掛かるとするか。」


そう言って、物のたくさんある奥の方へと消えてったと思ったら、ヘルメットのようなものを4つ持って出てきた。


真「これを被って少し待っててくれ。」


全員それを被ると頭がキュッとしまった。他の二人も驚いていることから健康診断で使われるものとは違うのだろうか。


真「そこの机でトランプでもして待っててくれ。くれぐれも激しい動きなんかするなよ、杠葉。」


疾風「なぁんで俺だけ...」


そんなこんなで僕らはトランプを始めた。

---


夢華「ポーカーって簡単ね!」


疾風「はぁ、これがビギナーズラックってやつか...」


希望「そうっすね...」


意気消沈している二人と大喜びの夢華さん。フルハウス3回、フラッシュ1回、ストレート1回といったように強い役を出しまくっていた。

僕はって?ついさっき一番強いらしいロイヤルなんたらを出したところだ。


真「おいお前達、結果が出たぞ。」


奥の方でパソコンをカタカタしていた真さんがこちらにやってきた。もう結果が出たのか。


真「まずは、杠葉。お前は47100チルだ。」


疾風「おぉ、でもあんまかわってないなぁ。」


夢華「んえぇ!?よっ、うぇ!?」


47100!?さっきまで4桁で凄いとか話していたはずだ。僕らとは正に次元が違う。しかも、前から全然変わってないとか。


真「次に、槍。お前は1532チルだ。」


夢華「うん。多分凄いはずよね?」


一番乗りがバケモンだったせいか、ついさっきまで、自信満々だったはずの夢華さんの反応が薄い。


真「そして、渡。お前は1190チルだ。」


夢華「私より低いじゃない?」


さっきまでガッカリしていた人とは思えない。自分より低い人を見つけるとすぐに喧嘩をふっかける煽りを開始する。凄いなほんとに。


真「最後に、影村だが...」


さっきまでとは流れが違う。何だ?


真「機械の故障かもしれないが一応伝えておこう。お前は10チルと出ている。」


実「えっ......」


僕が119人集まってやっと希望くんと同等ってこと?流石に僕弱すぎやしないか?

そんな僕の数値を聞いて真横で大爆笑をカマしている三人。まあ、まだ変に同情されるよりかは、笑ってくれただけマシか。


真「.......け、計測は終わったことだ。うちの奴らと合流してもらうぞ。」


真さんも驚きが隠せていないのか、はたまた笑っているのか。まだ笑っているのは流石に夢華さんだけになったところで合流しに部屋をあとにして、待機部屋に向かった。

最終回が二種類あるんですよね。ハッピーエンド(?)とバッドエンド(?)があるんですけど、どっちがいいのやら。エンドによって途中で死ぬキャラもだいぶ変わったりするので、好きなキャラ次第って感じですかね。

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