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信じるということは心がつながるということ

 ――――――――――――――――――――

「では、自分の番号のヘルメットをかぶって機体に横になってください。」試験会場に着いた僕たちは説明者さんの恵比寿さんの指示に従って機体に横になった。


「それではデジタル世界に飛ばされたのと同時に試験開始。みんなバラバラの位置に飛ばされるようになっている。健闘を祈る。」そんな言葉をかけられた次の瞬間急な眠気のようなものが押し寄せてきた。


(なんだ?あたまがうまくまわらない、?)それからは何も考えることもできず、眠りこけてしまった。


―――――――――――――――――――――


(眩しいな……)陽の光を浴びて目が覚める。

辺りを見渡してみると見たことのない場所、森か山の中のような景色が広がっていた。そのときデジタル世界に飛ばされたのだと理解した。



「シャドウ、どう動いたらいいと思う?」どのみちシャドウが勝負の決めどころになることを考えるとシャドウに意見を聞いた方が早いと思った。


シャドウを盛大に出して最初から戦いまくるのがいいのか、隠れて体力を温存しながら終盤で積極的に戦いだすのがいいのか。


どっちがいいのか正直わからない。


『とりあえず警戒しながら隠れればいんじゃあねぇか?』とシャドウは漁夫の利を狙う作戦を提案してきた。

三班を志望している身としてそれは大丈夫なのかと思いながらも潜伏する。

後はシャドウが、前は僕が見張っている。


『おい。誰か来たぞ。気をつけろ。』と僕に耳打ちしてくる。その言葉を聞いて恐る恐る後ろに振り返る。大柄で背中に斧とデカい鞄を背負っている男とピストルをもっている細めの男の二人が共に行動している。


え〜友達同士でチーム組んで戦うのってありなの?


確かにルールは無いと言っていたが一人と二人では明らかな差がある。

どのみち友達のいない僕には無縁の話だ。

とにかく二人組に居場所がバレないようにしないと。


「どこにいんだよ他の奴は。全然いねぇじゃねぇか。」確かに僕はあの二人以外人をここで見たことはない。受験者はざっと30はいたはずなのに…


そのとき二人組の進む方向から何者かがこちらに歩いてきているような音がした。


男達は一気に後ろへ下がり警戒態勢をとる。

大柄な男は大きな斧を、ひょろりとした男は銃を取り出し物音がする方向へ向け発砲した。

慌てて逃げ出したような物音が鳴り響きその音は徐々に遠ざかっていく。


「絶対に逃すな!」男達は何者かを追いかけに森の中へと入り込んだ。


よし僕も追跡しよう!

潜入調査みたいでなんだか楽しい。情報を集めるためにも男達をつけて僕は森の中へと入り込んだ。


―――――――――――――――――――――


同じように追いかけていると突然男達の横の茂みのなかから一本のナイフが飛び出してきた。ナイフは銃を持った腕に刺さり「いってぇ」という声と共に銃が落ちた。


そのままナイフは宙を舞いでかい方の男へ向かって加速する。

その瞬間でかい男の足元から大きな爆発音と共に砂煙が舞い上がった。

砂煙が舞い上がるとナイフの加速が止まりその場に落ちた。


ナイフを操る能力の人は操るものを視界に入れておかないと操ることはできないようだ。

ナイフが飛び出してきていた茂みの方に目をやると待機室で話していた槍さんの姿があった。


(ナイフを操っていたのはあの人か。)となっているところで男は銃を拾い上げ、茂みの方に銃を向けた。


そのとき何故こんなことをしたのかはわからない。

銃を拾い上げた瞬間体が勝手に反応したんだ。

気づいたときには槍さんをシャドウで包んで逃げていた。


シャドウの上に乗りもの凄い速さでその場を離れた。

森を抜け、最初にいたところまで逃げてきた。

「シャドウもういいよ。お疲れ様。」と包んでここまで運んだきてくれたシャドウを解除した。


シャドウの中からは戸惑いの表情を浮かべた槍さんが出てきた。そりゃそうだ。


「槍さんその、ごめんね勝手連れてきちゃって。あの、もの凄く危ないように見えたからさ……」というと「ありがとうなんだけど、ここってどこ?突然知らない場所にいてさ外で寝転んでたの。」といわれた。

?多分この人はこれが試験だってことに気づいてないんだ。


「えっと、その、ここは試験のデジタル世界だよ。多分。だから、つまり試験はもう始まってるんだってこと。」と試験であることを説明した。


「そうだったんだ。私てっきり狂った二人組が襲ってきてるのかと思っちゃってた。」と平然といった。

「というか、どうやってここまで運んだの?」

……まずい。能力でシャドウについてのことわざと隠してたんだった。もう別に見られたし言ってもいいか。


「えっと、僕の能力は影を操るって言ってだと思うんだけど、その能力はこいつを好きに使えるからなんだ。」と自分の影の中からシャドウをだす。


『俺の名前はシャドウだ。よろしく。』とシャドウは影から手を伸ばし、握手を交わす。


「はぇー」と驚いた声とは程遠く、納得したような声を出していた。


バァーンバァーン

後ろから銃声が鳴り響く。

あの二人組がまだ近くにいる。探しているのか他の受験者と接敵しているのかはわからないがとにかく銃を乱射しているのは確かだ。


あの二人組の能力は全然分かってない。

でかい方はかろうじて足元が爆発したという情報は手に入ったが細い方は全く情報がない。


「あの、ナイフはあと何本あるの?」と聞くと槍さんは指を一つ立てて答えた。


残り一本じゃ最後まで仕留め切れるかわからない。

「じゃあ僕が影でナイフを二つ作るから極力この二つを使って。」とナイフを作り上げる。

僕が今使える影の量は少ない。

シャドウを使い僕も剣を使うとなると2本が限界だ。


バァーンバァーン

銃声がだんだんと近づいてくる。

僕たちを追ってやってきている二人組はもうこの場でやってしまうしかない。

「細い方を狙おう。」というと槍さんは頷きナイフを手に取る。


僕は出てくるであろう場所のすぐ横、槍さんは少し離れた位置で出てくるのをまつ。


ガサガサと草木を踏みながら近づいくる。

足音はもうすぐそこまできている。


二人組のでかい方が先に森から出てきた。

すると槍さんは男に向かってナイフを投げた。


(なんででかい方を先に狙うんだ!?)と戸惑ったがナイフは男の体の中にめり込み「いってぇ」と痛がった。


痛がっているのをみて後ろから切りつける。

確実に当たったはずが何故か空を切る。

思いっきり振ったせいか大きな隙を見せ男にデカい斧でかっ飛ばされた。

打たれた痛みは少ないが衝撃が強く体が吹っ飛ぶ。


「シャドウ!!」と影の中にいるシャドウを呼ぶ。

影の中からシャドウの手が伸び、僕を掴み地面に

戻した。


(確実にあいつの体を切りつけたはずだ。なのになんで空振った?それにナイフが体にめり込むほど刺さってるのにそんな力ださるんだよ。)とデカい男の異常さがよく分かった。


飛び回っているナイフは一本砕かれ自分の元へ還ってきた。

もう一本のナイフは相変わらずデカい男の体にめり込むほどの威力で突き刺さる。


細い方を見つけると銃がピストルからデカいライフルに変わっていた。ライフルの銃口は自分へと向けられる。


(まずい_______)と死を覚悟したが放たれた弾は大きく外れ横に逸れた。


(あの細いやつをやるには今しかない。)と細い奴めがけて作ったナイフを投げた。


だが、投げたナイフは風に吹かれ少し横に逸れる。

(これじゃ当たらないな。距離を詰めないと。)とシャドウに乗ってすぐに近づこうとする。


「イッテェぇぇぇえ」

!?

突然男は痛がり始めた。

横に逸れたナイフは空中で静止し、男の動きと一緒に動いていた。

(わけわからんが近づくには今しかない。)と詰め寄ろうとさらに速度を上げる。

男はナイフを抜き、足元から地面がボコボコと盛り上がってきた。

(まずい!)「シャドウ!!」と叫びシャドウを壁にする。シャドウの向こう側から爆発音が鳴り響く。


「シャドウいまの能力でやっとわかった。あの細いやつの能力は僕に幻覚を見せてる。細男とデカ男の姿が入れ替わって見えてる。」


入れ替わって見えているのなら全ての辻褄が合う。

デカ男にナイフを投げたことも、僕が空振ったのも、斧の威力が控えめだったことも、細男のに投げたナイフが空中で当たっていたことも。


『お前幻覚見てたのか。気づかねぇもんだな。空振りしたときは何やってんだと思ったぜ。』

と冗談混じりで返してきた。


『デカ男の能力もだいぶわかったぜ。ボコボコした地面が近づいてきて当たると爆発だ。どう近づけばいいかもうわかったか?』

そんなのひとつしかない。


「空を飛びながら近づく。」

そういうと僕の背中にシャドウがくっつき黒い翼となった。

ここは森の中、全てがある程度の暗がりとなっている中で背中全体に日の光が当たることなんてそうそうない。


翼を靡かせ、デカ男に急接近する。

「っ、くっ、くるなぁぁぁぁぁぁぁ」とライフルを振り回し乱射する。

乱雑に放たれた弾は一ミリも掠ることなくデカ男の心臓を止めた。


「シャドウ終わったよ。早く細いやつのところへ……」

!?

そのとき気がついた。

いつのまにかもう一本のナイフが壊されて自分の元に還ってきていたのだ。


シャドウに乗って全速力で槍さんの所まで戻る。

森から出ると斧を振り回して追いかけられている槍さんの姿があった。

ベルトに刺さっていたナイフも無くなっていた。


(ここから攻撃するにも、当たりかねない。)


『おい、あの女とどうにかして心を通わせろ。そしたら俺があの女の影に移れる。助けるんだったらそれが一番安全だ。』

!?

シャドウからそんな提案がされるなんて思いもよらなかった。これは大きな賭けだ。でもやるしかない。


「槍さーん!!止まってくださーい!!今助けますから!!」と大きな声で叫んだ。


「無理だよ!!こんな状況で止まったりでもしたらそのまま殺されちゃう!!」


「僕を信じてー!!」

と叫んだそのとき心がつながった。


信じるということは心がつながるということだ。

人は自分の命を預けられるほど人のことを信じることなんてそうそうできない。


だが、危険も顧みず自分の事を助けてくれた実に自分の命を預けるなんて夢華には容易であった。


「死にやがれクソ女!!」と斧を大きく振りかぶり

槍さんを頭に振り下ろしたそのとき『死ぬのはお前だとっとと落ちろ。』とシャドウが切り刻んだ。


細男は痛がることもできず死んだ。


「はぁはぁ信じてくれてありがとう。大丈夫だった?」と槍さんの元に駆け寄る。


「う、うん。大丈夫。助けてくれてありがと。」

と笑顔で返してくる。


「あとどれぐらいで終わるんだろう。」と草臥れた様子で槍さんは言った。


「たしかにいつおわる、ん、だ、、、」突然の眠気が二人を襲う。


(なんでまたねむくなって、)

意識朦朧としたなか眠りこけてしまった。

―――――――――――――――――――――

「はっ!」

起き上がると現実世界にいたときのまま起き上がった。

周りの人たちもだんだんと機体から体を起こしてきていた。


「受験者の皆様、お疲れ様でした。これにて試験は終了です。試験官一同誰がどこに所属するべきか審議して参りますので結果は後日郵送させていただきます。もう本日はお帰りいただいて構いません。お疲れ様でした。」と恵比寿さんがいった。


受験者全員草臥れた様子で試験会場をあとにする。

デジタル世界に入ってみた感想だけど馬鹿みたいに疲れた。脳の疲れが半端ない。


そのまま家に帰り、すぐに寝た。

そこからの生活はほぼ覚えていない。

試験結果がくるまで毎日不安で押しつぶされそうだった。

―――――――――――――――――――――

ガコン

自宅の郵便受けの中に何かが入れられた音がした。

もしやと思い恐る恐る覗いてみると、試験結果の入った封筒が郵便受けに入っていた。


「ふぅぅぅーはぁぁぁぁー」と深呼吸をして落ち着こうとする。


『あぁ、もううぜぇどうせ結果はわかってる!!」とシャドウが痺れを切らしたのか手を伸ばし封筒から試験結果の紙を取り出した。


そこには

「"審議の結果、あなたは三班への所属を許可することを決定いたしました。以下の手続きを行なってください。"」と書かれていた。


「よかった〜」と無駄に緊張した分げっそりと疲れてしまった。


『まだ、スタートラインだ。あのババアのお願いだからじゃない。もうこれからは人を助けるために尽力しろよ。』とシャドウは冷たく言い放った。


でもまだスタートすらしてないことは僕にもわかってる。これからは人のためにこの能力を使うんだ。

僕の人生の幕開けだ。

もっと勉強しないと全然へたっぴ

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