ドラゴン使い殺人事件、犯人候補全員ドラゴン
とあるホテルで僕は今からショーを始める
「ここにお集まりいただいたのは他でもない。え?なぜ俺たちがここに集められたのか!って。わかっているでしょう。そしてわからなくても下を向けば!!」
バァーン!!
「驚かないでください!」
よっしゃあー!落ち着かせるの最高!!
ボオーーーー!!パリーーン!ギャオオーン!!
「そうです。ドラゴン使いエゾさんの死体ですよ!私が何が言いたいかお分かりですね!
この中に犯人がいる!」
決まったーー!!僕かっこいいでしょ!実はもう犯人もわかってるんだよなあ。でも間が早いかなあ?
「あの・・・死体、どこですか?」
「犯人はお前だわー!!」
あれ、犯おまちょっと早いかな。なんだこの男?マジシャンみたいな帽子かぶって、キャラクリでふざけた大学生か?
「あの、邪魔すんなや!このクソ大学生、犯人なんだろお前!」
人間はこいつしかいない、こいつが犯人だろ!僕はそう確信している。
「いや、そいつの下半身ないですよ。」
「あ、ホントだ!じゃあ犯人は下半身を切ったんだ!あなたの可能性もありますよ!」
「本当にあなた周り見えてます?どう考えてもドラゴンがいますよね。だからドラゴンが食べたんですよ!」
ホントだ!!!見えてない、しくったあ!でも、この辺りに人がいるはずだ。僕の探偵スキル、ケハイチェックでは被害者を除いて5人いるんだけど。よく周りを見渡す。ドラゴンが4体に、イキリ大学生が1人。
それはそうとイキリ大学生の手には度数の強い酒が5本。
「イキ大、君1人でここにきたわけじゃないでしょ?」
核心をつく天才的な質問。イキ大も動揺している。
「ちゃんとわかるんですね。」
バカにしすぎなのと上から目線は気になるが、まあいい。
「あとイキリ大学生じゃなくて、魔法使いですから!プレイヤーなら分かりますよね?しかも探偵ならなおのこと。」
ならマジシャンの帽子被んなよ!そういうのは野暮だ。だがこいつ、使えるぞ!
「魔法使いなら魔法使えるよね?なら翻訳の呪文使ってよ。」
これだけ機転が効く探偵いないでしょ。我ながら褒めたい。
「いいんですけど・・・もしかして、犯人探そうとしてます?」
そうだ、それを当てるとはまあすごいな。こいつは助手として採用しよう。
「でも僕ついていけないですよ?友達待ってるんで。」
待てよ?レーダーで反応があるのは5人。このホテルにいることは間違いない。
ゲェェェ!
ドラゴンが4体同時にゲップをする。
探偵スキル発動!食べ物サーチ。主食がわかるスキルだ。
「スキルポイントそれに振ったの!バカでしょww」
呑気に笑ってられないぞこいつ。だってドラゴンの主食って。
「人間食うんだあ・・・」
ということはこの大学生の友達1龍1食で食われてる!?
「ドラゴンが俺の友達を?」
探偵として彼の涙を見るのは義務だ。
「サンキュードラゴン!」
台無しだ!こいつ感謝してるぞ!恨んでくれないと僕が解決する意味ないじゃん。
「正直悲しいでしょ?」
そうに決まってるよ。だって友達だよ?ゲームの中といえど友達だよ?
「だってこのビールコスチュームだぞ!これ全員分買ってこいって言われてむかついてたんだよ!パシリにされて。まじ買いに行ってラッキィー!」
まじかこいつ。人間辞めてるわ。だがこいつの力を借りんわけにはいかん。
「でも、魔法使いの翻訳使ってドラゴンのこと訳してよ。頼む!」
探偵が助手に頭を下げるのは御法度だ。だがゲーム内ならなんとか頭を下げられる。
「いいですけど・・・多分犯人分かりませんよ。だってドラゴンがホテル燃やし尽くしてますもん。」
見渡す限りの炎景色。暑い。暑すぎる!
だが、ピンチはチャンス。こんな場面でハードボイルドなかっこいいを演出しよう。
「あれ?探偵さん?どうかしたのか?」
フッ。滑稽だ。こんな15文字を何も考えずに吐き出す。1文字1文字に愛を込めない人間がまともなはずない。
〜20分後〜
「にしても遅いぞクソ探偵!ちょっと翻訳したら気まずい雰囲気流れてるって。
まだみたいなんでトイレ行っていいですよ。」
うるさい!!こっちはあと少しだ。こりゃすごいぞーー!
「あれ。チャットになんか書いてる?
ワトスンくん、行kwoう。
これに20分かけたの!!」
「何かおかしいか?タイプライターを使ったんだ。壊れてたから少し時間がかかったがな。話すだけじゃ伝わらないこともあるのさ。」
タイプミスも探偵の醍醐味。それがわからないのは三流大学生といったところか。
そして、ここから本格的な捜査を始める。まずはドラゴンの種類を分けたい。
「赤井さん、赤くないさん、ちょい赤さん、血赤さんにしよう。翻訳頼む。」
我ながらいい名前だが、クソ大は指示されて納得していない様子だ。まあしょうがない。どれだけ天才探偵といえども今回が初陣。知名度がないのでどれだけ天才的なことを言っても理解されない。知名度があればどんなにゴミでも納得される社会を僕はこの時間で変える!
「翻訳より先に時間について説明しますね。それがいいですよね。」
勝手に説明するな!ドラゴンも叫んでるじゃないか。みんなも疑問に思ってるのか。なぜこいつが仕切っているんだ、って。言葉がわからなくても通じるんだな、天才は。
「ありがとうございます納得してくれて。ドラゴンさん達。まず13時にこのホテルに僕たちが来ました。そして15時にエゾさんがドラゴン4匹を連れここに。そして今から1時間前19時に僕がビールを買いに行きその間に殺害されました。」
そして僕が20時20分ごろここにきた。
というかクソ大学生ども7時間ホテルいたの!?ここなんもないよ!ゲームの中だよ!
「まあいい。まず赤井さんからエゾさんについて何か知っていることありますか?あとアリバイと伝えたいことも。」
フッ。ここでも探偵スキルが活きていることをドラゴン達は知らない。
「翻訳します。あの人は優しいやつだ。いつもご飯をくれたんだけど、今日はくれなかったの。俺は少食だけど他のやつは結構食うわ。そして私はトイレに行ってたわ。」
ドラゴン用のトイレってまずどこにあるんだ?大体そこら辺の草むらでするだろ。そこはいい。だけど僕のスキル、プロフィール帳と矛盾しているぞ?「赤井さん、男の娘なんですか?」
「翻訳します。なんでそれをっ!あとちなみに俺は男の娘いいと思いますよ!!!」
なんか冷めるな。「翻訳します」、これ何?いらなくね。だが部下の失敗は許すのが上司だ。
あと何男の娘って、いやドラゴンにそういう概念あるんだ。あと最後のフォローいらないでしょ。お前はネットで読み漁ってるだけだろ。
「赤くないさん翻訳します。僕は何もやってない!確かに彼のことは憎かったけど、それでも餌をくれるだけ感謝してたよ!だから殺すなんてできない。あと僕はその時間飛んでたよ!」
こいつ勝手に進めてんな。僕翻訳してなんていってないよ。あと飛んでたよ!、が元気すぎるな。しかも飛んでたって証拠ないよな。ただプロフ帳にこいつだけ飛翔可能って書いてるからまああり得るか。
「します、翻訳。ちょい赤さん。おま、まじで!えぐっ!犯人扱いされてるわー!笑えへんって!でもでも、俺犯人でーす!
ウッソー!!」
おもんなーー!!!こいつ、まじか・・・絶句でしょこれ。ほんとに鳥肌たったんだけど。こいつ、もう犯人じゃなくても殺したほうがいいな。あと最初なんでキショ大倒置法使ったの?あと名前キショいけどこれ僕が考えたからなんも言えないな。
「最後、血赤さん。あのー、まじで有能気取ってますけどキモイですからね。格好似合ってないですよ。ゲーム内だからって探偵やるんだったらちゃんと似合うもの買ってください。あと、お前まずそう。腹減ってるけど君いらないです。」
「あのさ、無償で頑張ってんのこっちは!!お前ら全員殺すっ!!!死ねっ!!いいよ探偵やめますよ!でもお前らだけはどんな職業になっても殺すからな!むしろ探偵弱すぎね!!何プロフ帳ってスキルゴミすぎるって!!」
我ながら取り乱してしまった。ああ少し怒りすぎたな。
ギヤアオオオオオ!
ホテルが更に燃えていく。まあいいでしょ。こいつらが悪いからな!
「だが、血赤さん。あなたは犯人ではない。なぜならもし4人を食べたとしたら、お腹いっぱいだからだ!!」
「まあそうでしょ。あと血赤っての良くないですよ。なんか他の色っていうので犯人扱いしてる感じでてますから。以後気をつけて。」
キショ大は上から目線だが言っていることは真っ当だ。
・・・どうしよう!もうないぞ言うこと。これ終わったって、こ、もう!
「うっす。あのあなたもこのゲームやってたんすか?」
「いやまあ、今ちょっと行き詰まってて。」
「俺も変な奴に絡まれて嫌な気持ちになってたんですよ。だからヤニ吸おうかなってw」
気持ちーーー!初めてだけどタバコよりもいいな、パイプ。
「パイプって、探偵みたいっすね。そういえば今探偵の変な奴に絡まれて大変だったんですよ。」
すぐに戻ろう。こいつキショ大だわ。確かに金髪でガリガリだからちょっと気になってたんだけど。てかゲーム内とそんなに姿変わってないんだけど。ナルシズムの原液みたいな人間だな。
パイプを吸った後ゲームに戻る。そんな時だった。燃えたホテルに光る血のついた指輪。そしてこの事実が指し示すのはある一つの結末だった。
「犯人がわかりました!犯人は、
赤井さん、あなただ!」
当然のように咆哮をあげる赤井さん。だがもういい。ここには証拠がもうないからな。
「どうして、どうしてそう思ったの!私は犯人じゃない!彼のことは殺してない!」
何も言わずに翻訳したな。まあいい。
「赤井さん、ボロを出しましたね。それがあなたが犯人という考えの正しさをより強くする。
まずあなたとあの、そのはい・・・なま、え、え、あドラゴン使いの人は付き合っていました。」
耐えたーー!名前なんて覚えてねーよ。
「この指輪、あなたのでしょう?サイズがピッタリですよ。でも、あなたは今心底驚いているんでしょう。恐らくドラゴン使いの人はプレゼントしようとしたんでしょう。サプライズで渡したかった。だからあなたは知らない、今初めて知り驚いている。ても血がついていることにはそんなに驚いていないみたいですね。それもそのはず、キショ大パーティを食べたのはあなたですね!」
「すいません、あの。なんか俺違和感あったんですけど、最初あなた俺のことイキ大って言ってたんですけど?いつからキショ大になったんですか?」
あれ?え、僕なんか名前忘れすぎじゃない。それよりもこいつ空気読めなすぎじゃね?カスすぎる。
「あの!!!真面目なとこなの!!!見てわかんねーかなカス、カスタード!カスタード大、カス大。もういいです、お前カス大、はいそれで統一します!」
我ながらムキになってしまった。だがもうわかっているんだすべて。
「だが直接殺したのはあなたではなくドラゴン使いだ。指輪の近くで殺したんでしょう。あなたは男の娘でドラゴン使いの恋人ですよね。あの人じゃなくて彼って言ってましたし。まあそこらへんで関係がこじれてドラゴン使いを殺したんでしょう。」
「でも彼って普通に、」
「お前もう黙れよ!!僕が今いいところじゃん!!彼って彼氏にしか使わないよね、じゃあ赤井さんが犯人です、ちゃんちゃんで終わりでいいじゃんこれ以上伸ばさなくて良くない?なんか言えよカス大!」
これで事件が終わった。ドラゴン使いの浮気が原因らしい。僕はそこら辺はどうでもいい。事件解決によるレベルアップができたからね。
「なんか満足そうっすね。いいことあったんすか?」
喫煙所でキショ大と話を交わす。自分の正体がバレるのは好ましくない。だから颯爽と出ていくことにした。
「また会えねーかな。あの探偵。」
助手としてフレンド申請しとくか。
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