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呪剣士マディス  作者: 大島ぼす
第三章
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第49話 呪い

「この慮外者め! 姫から手を離しなさい!」


 マディスは王妃に扇子で殴られ意識を取り戻した。王妃の剣幕は凄まじく、マディスは慌てて弁解しようとした。だがその瞬間、女中の一人が悲鳴を上げ、叫んだ。


「王妃様! 姫様が!」


 姫は意識を取り戻したのか、ゆっくりと体を起こした。先程までいた空間とは違い、盲目の為か、目は開かないようだ。そしてか細い声を上げた。


「……マディス。どこにいるのですか?」

「は、はい。姫様。ここにおります」


 マディスはそう答え、姫の手を握ってあげた。


「ああ。マディス。夢では無かったのね」


 姫は泣きそうな声で語り、マディスにもたれ掛かった。マディスは姫を抱きながら、心から安堵した。姫の呪いは、ようやく解けたのだと。王妃は状況がイマイチ理解できなかったが、姫が意識を取り戻したということは、解呪が成功したのだと判断した。彼女も長い長い息を吐き、安堵した様子だった。


「があぁぁぁあぁぁぁぁ!!」


 その時突然、恐ろしい叫び声が聞こえてきた。どうも謁見の間からの様だ。マディスは姫を支えながら、何が起きたのかと、扉の方へ目を向けた。その時、控えていた女性騎士が剣を抜き、姫を抱いて無防備のマディスに切りかかってきた。


「呪剣士! 覚悟!」

「何ぃ!?」


 そう言いながら鋭い斬撃を放つが、彼女の剣がマディスに届くことはかなった。ドリスの上段蹴りが騎士の顔面に直撃し、彼女を部屋の隅まで吹き飛ばしたからだ。さらに女中の一人がスカートの中からダガーを取り出し、姫に襲い掛かった。


「ど、ドリス、姫を守るんだ!」


 その命にドリスは即座に反応し、今度はその場から即座に飛び蹴りを放ち、刺客を撃退した。とても人間にできる動きではない。マディスは一旦、姫を離し、呪剣を抜いて身構えた。


「王妃様、これは一体どういうことです!」

「わ、わらわにも何がなんだが……」


 王妃も混乱しているようだ。とにかく姫と王妃を守らなくてはいけない。この状況では誰が敵か味方か判別できない。今は、二人を連れて、謁見の間に向かうことにした。大魔道やグレイと合流する方が安全だ。


「王妃様、とにかく謁見の間に向かいましょう。本部長の側が一番安全です。すみませんが姫様の手を引いてあげてください。私は戦わないといけません。君達はここに隠れていてくれ。ドリスは姫様と王妃様を守ってついてこい」


 マディスは二人を連れ、謁見の間に移動を始めた。女中はもしかしたら刺客かも知れないので連れていけなかった。王妃は今の様子であれば味方と見ていいだろう。姫は盲目なので一人では歩けない。王妃がいて丁度良かった。


「姫様、ご不安でしょうが私が必ず守りますので安心してください」

「はい、マディス。信じていますよ」


 マディスが声を掛けると、姫は気丈に答えた。隣の部屋に向かうと、そこでは近衛騎士同士が戦闘を繰り広げていた。状況も不明で、マディスはどちらが味方か判別できないので、無視して移動するしか出来なかった。


 廊下に出て、前方をマディスが、後方をドリスが警戒しながら何とか謁見の間へ辿り着くと、何と魔物が飛び回っていた。レッサーデーモンのようだが、大魔道の魔法で撃退されている最中だった。大魔道の手から幾筋のもの光りの矢が放たれ、次々と撃ち落されていた。


「マディス! 無事なのね! 良かったわ!」


 ティアンナがマディスに気づき、声を掛けた。みな、国王の周りを円陣で取り囲み、守護していた。近衛兵や騎士たちは既に倒れ、無事なのは冒険者達と要人だけだ。マディスは姫と王妃を連れて急いで皆と合流した。


「おお姫、意識を取り戻したのか!」

「陛下! それより何が起きたのですか」

「う、うむ、急にラーズが苦しみだしてな。かと思えば近衛達の一部が謀反を起こし、その上魔物までいずこから現われ、儂にも何が何だか……」


 姫の手を引いて国王の隣に辿り着いた王妃が問い詰めると、王は弱々しく答えた。ラーズとは王弟の名前だ。それを聞いたマディスは、やはり黒幕は王弟だったのかと彼に目を向けた。彼は階段の前で地に伏して苦しそうだ。先程、姫が発していた様な呪いの波動を放ち、容易には近づけなかった。


 国王夫妻を尻目に、魔物を一掃した大魔道がマディスに話しかけた。


「マディス。よくやった解呪は成功したようだね」

「はい。解呪というより、呪いがあるべき所へ帰れと念じたら、どこかへ行ってしまいました」

「呪詛返しか……えげつないことするね、あんた。まあいい、これで姫に呪いを掛けたのが王弟だとハッキリしたね。……だが黒幕は別にいる。 ……ヴェルザリス! この陰険野郎が! 影に潜んで見ているんだろう! 姿を現しな!」


 大魔道がそう叫ぶと、何と王弟の影から、水面に浮きあがるようにして頭が顔を出し、そのままゆっくりと全身が出てきた。ドリスの髪色のような赤いローブに身を包み、フードを被っているので顔はよくわからないが、男のようだった。年ははっきりせず、これもドリスと同じで肌が青白く、目は金色に妖しく光り、口元は楽しそうに弧を描いていた。


「久しいな、エリザベス。相変わらず君には敵わんな。バレてしまったか」

「はん。アンタのやり口なんざお見通しだ。お前もこれで終わりだ。さっさと死にな」

「ハハ。君も変わらんな。もういい年だろうに、少しは落ち着いたらどうだ?」

「やかましい! アンタに年のことを言われる筋合いはない!」

「懐かしいな……学院ではいつもこうして喧嘩をしていたな」


 どうも二人には因縁があるようだった。ヴェルザリスと呼ばれた男はこの状況でも余裕そうで、遠い目をして在りし日の思い出に浸っているかの様だった。


「ば、ばあちゃん。知り合いなの? あの人なんか楽しそうだけど」

「ヴェルザリスっていってね。あたしの魔法学院での同期さ。在学中に賢者の称号まで授かるような優秀な男だったが、あたしに振られた腹いせに禁忌に手を出し、今じゃ悪魔崇拝者の頭目さ」

「ハハハ! それを言うなエリー! 顔から火が出るぞ! ……あの頃は楽しかったな。君の言う通り、私は学院始まって以来の秀才で、君は才女。学科は私がいつも一番だったが、実技は遂に勝てなかったな。そちらはお孫さんかね、昔の君とそっくりだ。……いささか太りすぎだがな」

「黙れ! お前にその愛称で呼ばれると虫唾が走る! 昔話はもうたくさんだ! さっさと死ね!」

「ばあちゃん! トドメはわたしにやらせて! わたしがあいつを殺すわ!」


 大魔道とマギーは、ヴェルザリスの指摘した通りよく似ていた。怒り方がそっくりだった。そんな二人の会話に苦しむ王弟が割って入った。


「ヴェルザリス! 話が違うではないか! 姫は死なず、どうして私がこんな目に会うのだ」

「殿下……運が悪かったですな。姫が死ねば、その呪いにより国王にも死が訪れるはずでしたが、なかなか姫が死なず、このような事態になるとは……稀にいるのです。妙に呪いに強い者というのが。かつて姫だけが生き残ったのもそれが原因でしょうな。あの時は姫が生き残ったおかげで殿下に疑いが掛からず、うまくいきましたが、今回はそれに足元を掬われましたな。……もっとも、あのような男が現われるとは私にも予想外でした。いやはや、私もまだまだ勉強不足でお恥ずかしい限りです」

「ラ、ラーズ、お前は何という事を……実の兄を呪い殺すなど!」


 衝撃の事実がヴェルザリスの口から語られた。過去の先王夫妻の死も王弟の仕業だったのだ。姫は言葉も出ず、全身を震わせた。その姫を国王が必死に抱きしめ落ち着かせようとした。


 ヴェルザリスは思う所があるのかマディスに目を向けた。


「…………」


 ヴェルザリスはマディスを凝視し続けた。正確にはマディスではなく、彼の呪剣に目が釘付けになっている様だった。やがてヴェルザリスは再び王弟に話し始めた。


「ふむ……まあいいでしょう。殿下、こうなっては殿下ご自身の力で場を切り抜けるしかありません。城内の近衛の大半は魅了されて混乱しておりますから、後はこの場の全員を皆殺しになさい。一段落ついた後は呪剣士が暴走して凶行に及んだとでも発表しておけば教会も納得するでしょう。なに、私も手伝いますよ。そしてこちらはお詫びに差し上げます。殿下の剣の腕前なら、この剣で冒険者どもを始末するのは容易いこと。大魔道は私が抑えておきますので、速やかにお願いしますよ。あの女は魔法に関しては正真正銘のバケモノですから、私でも長くは持ちません。ではご武運を」


 そう言いながら、ヴェルザリスは自らの影より、いかにも恐ろし気な大剣を取り出し、床に突き刺した。マディスはその剣より発せられる呪いに身震いがした。恐ろしい力を感じたのだ。


「まさか! あれは皆殺しの剣!? 悪魔崇拝者の手に渡っていたの!」


 エミリーが叫んだ。いつか聞いた恐ろしい呪いの剣を、この状況でお目に掛かることになるとは。ヴェルザリスが感心したような声で話し始めた。


「なかなか博識なお嬢さんがいるな。さて、エリザベス、五十年ぶりにやるとするか。あの頃はいつも君に負けていたが、今回はどうかな? 年老いた君なら私でも勝てるかもしれんな」

「御託はもうウンザリだ。ヴェルザリス……お前とあたしの仲だ。苦しまずに逝かせてやる」


 二人は互いに呪文を唱え、何と空中に浮かび上がった。超一流の魔道士のみが使える『飛翔』の魔法だ。二人はそのままバルコニーから王都上空に飛んで行き、見えなくなってしまったが、やがて凄まじい爆発音が聞こえ始めた。マギーがいつか大魔道が本気を出せば王都は更地になると言ったが、誇張ではなかったようだ。


 ヴェルザリスがいなくなると、まもなくして、謁見の間の一階部分に黒い穴のようなものが現れた。そこからレッサーデーモンが大量に出てきた。穴はすぐに消えてしまったが、どうやらヴェルザリスの置き土産の様だった。これにティアンナが即座に反応した。


「雑魚は私が引き受けるわ! グレイ! マディス! あなた達は王弟を仕留めなさい!」


 そう言い放つと、ティアンナが雷を身に纏い、レッサーデーモンの群れに突っ込んでいった。


雷撃波ヴァルボルト!」


 魔物の真っ只中で彼女が呪文を唱えると、彼女を中心に放射状にいくつもの雷撃が走り、カトンボのようにデーモンが落ちていった。レッサーデーモンは魔法耐性が強い魔物だが、彼女の魔力の前では意味を為さなかった。


 その後も、雷を帯びた槍を振るい、時に投擲し、次々と魔物たちは狩られていった。その戦いぶりは、勇ましくも気高く美しかった。彼女の二つ名の由来だ。


「ぐ、ぐぐぐおおおおおおおぉぉぉおぉぉぉぉおおお!」


 一方、王弟は苦しみながらも剣を手に取った。その瞬間、彼は獣のような咆哮を上げた。その顔には王族としての気品など既に無く、狂える猛獣のようだ。マディスはその表情から嘗て戦ったダグドを思い起こしたが、王弟から感じる狂気は、クスリの力を使用したまがい物ではなく、正真正銘の狂戦士そのものであった。


 そして王弟が、大剣を小枝のように振り回しながら襲い掛かってきた。これにグレイが立ちはだかり応戦した。グレイの盾は、邪悪な波動を放つ皆殺しの剣すら完全に防いでいた。傷一つ付く様子すら無かった。だが流石のグレイも、今の王弟相手では防戦一方で、反撃の術がない。元々、剣の達人でもあった王弟は、剣の呪いの影響もあり恐るべき強さを誇った。


「マディス! 俺が防いでいる間に、お前がやれ! 他の連中は国王を守れ!」


 グレイが必死に防ぎながら、マディス達に声を掛ける。今の王弟相手では生半可な攻撃は通用しない。中途半端な者が戦いに参加しても足手まといになるだけだ。


 マディスは国王や姫の守りをメンバーに任せると、自らは王弟を倒すべく身構えた。しかし、グレイと王弟の戦いぶりは激しく、常に物凄い速さで動き回っている。マディスとダグドが戦った時の比では無い。


 マディスは、好機は一度キリしかないと、奥の手の双刃剣を使うことにした。一撃の破壊力ならこの剣に勝るものはない。剣を背中から下ろし、攻撃のタイミングを伺う。しかし戦いは更に激しさを増し、なかなか狙いが定まらない。


(落ち着け……一撃、一撃でいいんだ。それで勝負が決まる。必要なのは、閃光のような鋭い一撃だ)


 マディスは無意識に剣を脇に構え、精神統一を図った。マディスは知らなかったが、それは極東の戦士達が使う構えの一つに似ていた。


 マディスがイメージしたのは、嘗て一度だけ見たレオンの剣だ。彼の放った目にも止まらぬ一撃。あれを再現する。周囲の喧騒など一切聞こえぬ程に、マディスは集中していた。独特の構えのまま、じりじりと二人との間合いを詰め、タイミングを推し量る。そして好機が訪れた。


「ぬお!」


 王弟が繰り出した両手持ちでの渾身の薙ぎ払いを受け、盾ごと吹っ飛ばされるグレイ。


「今だ!」


 その瞬間に生じた、王弟の硬直を見逃さず、マディスは双刃剣を一閃した。


 ブオォン! と空気を切り裂く音が響き渡った。斬撃の鋭さは凄まじく、王弟の両腕を切断し、彼の後方の柱まで剣圧で損傷をおっていた。王弟は両腕を失い、その場に膝まづいた。皆殺しの剣は、彼の両腕に握られたまま、地に落ちた。


「ぐは!」


 そしてマディスも、呪いの反動により腕に深い傷を負った。斬った瞬間に激痛が走り、双刃剣が手からすっぽ抜けてしまい、遠くへ飛んで行ってしまった。幸い、腕はつながっているが、血管を損傷したのか、夥しい血が流れた。


「「マディス!」」


 フェリスとラタンが慌ててマディスに近寄り、回復魔法をかけてくれた。痛みはひどいが、傷はすぐ塞がった。吹っ飛んでいたグレイもマディスに駆け寄った。良くやった! とグレイは労ってくれた。


「ラーズ……なぜこのような愚かな真似を……それほどまでに王位を望むなら何故言ってくれなかったのだ。お前ほどの男なら、余より、よほど良い王になったであろうに」


 決着がついたと見たか、国王が前に出て王弟ラーズに話しかけた。姫は王妃に預けられていた。王弟は剣の呪いから解き放たれたのか、正気に戻り息も絶え絶えに答えた。


「王位ですと? そんなもの私は欲しておりませぬ。私は不甲斐ない兄上達に代わって、王家を守れればそれだけで満足でした。……なのに! 兄上達は、わたしを王宮から追い出そうとしたではありませぬか! ラウルス兄上も、ラドム兄上も! だからこうするしかなかったのです! ……兄上達は、昔から私が居なければ何も出来なかったではありませぬか! 優柔不断で、家臣達も抑えられず、彼らの言うことを黙って聞くだけ。だから私が王家を守らねばならなかったのです! それを兄上たちは、奸臣かんしん共の讒言ざんげんを真に受け、台無しにしようとしたではありませぬか!」

「……な、何と。お、お前は昔からその様に考えていたのか? ……一体何がお前をそこまで突き動かしたのだ」

「……私は父上より、王家を託されたのです。本来であれば、最も優秀な私が王位につくべきだが、末子ゆえそれは敵わぬ。故にお前が兄たちを補佐し、王家を守護せよ、と!」

「……何と馬鹿げた思い違いを……父上の思いをそのように曲解するとは……」


 国王は力なく項垂れた。王家の家族関係は、市井の民のようにはいかない。決して世間の羨むような暖かい家庭とは言い難い環境であったが、それでも肉親同士の絆で結ばれていると国王は思っていたのだ。それが妄執の果てに兄夫婦を呪い殺し、姪を、そして自分をも呪い殺そうとするとは……


 一部始終を聞いていたマディスは、国王一家の事情は分からなかったが、王弟は父親の言葉に囚われてしまったのだと感じていた。父親からすれば、優秀な末の息子に期待しての言葉だったと思うが、王弟にとってはその期待が重く圧し掛かり、呪いとなってしまったのだろうと。


 国王の様子から、家族愛の無い関係だとは思えず、子供への愛すら何かが狂えば、呪いへと変貌してしまうのだろうか。そうぼんやり考えていた。


 だがその時、マディスは、王弟の体から発せられる呪いが、強まっていることに気が付いた。呪詛返しにより元から呪いで苦しんでいたはずだったが、先程までは皆殺しの剣の効力で、呪いを無効化したのか、苦しむ素振りも無く、縦横無尽に戦っていた。


 姫から帰ってきた呪いが今、王弟にどのように作用しているのか分からなかったが、とにかくこのままではマズイとマディスは察知した。


「王様、下がってください! 何か変です」


 マディスがそう叫ぶと、王弟の体に変化が現れ始めた。体の筋肉がどんどんと盛り上がり、やがて服がはじけとんだ、顔は醜く歪み、元の美丈夫の面影は消え失せていた。そして両断された腕までもが新たに再生され始めていた。


 見る見る内に、肌の色が青く染まっていき、体の大きさなど、元の五倍以上はあった。そして背中から大きな翼が生えてきた。その姿はまさしく魔物で、レッサーデーモンよりはるか高位のグレーターデーモンと呼ばれる姿に変貌していた。王弟は顔を国王に向け喋り始めた。


「兄上、このようなことになり残念です。もはやラディアは魔物の国として生まれ変わるしかありませぬ。この私のように。これよりは我こそがこの国の王。みな、王の前にひれ伏すがよい」


 驚くべきことに、王弟の意識はそのままであった。だが言っていることは滅茶苦茶だ。


「ヴオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!!」


 王弟は天を仰ぐと恐ろしい雄叫びを上げた。それは猛獣の咆哮といった生易しい物ではなく、地獄の亡者たちが一斉に上げた断末魔のようだった。


 王弟、いやグレーターデーモンを倒さなければ、この国は文字通りの地獄と化すだろう。マディスは痛む腕で呪剣を構え、悪魔と対峙した。

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