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動ク鎧

意識が復活したとき、視界には真っ白で見覚えのある天井がいっぱいに映る


そこで俺は意識が完全に途切れた瞬間、セーフティによって強制ログアウトが行われたのを認識する。


「ッハーー…何やってくれてんすか先生…」


電子情報であるはずにもかかわらず痛みがいまだに残る顎をさすりながら再ログイン手続きを行う。


起動スイッチを最後に押し、ヘッドセットを被って寝そべる。


起動(アクティベート)


視界が暗転し、次の瞬間には顎を殴られたその場所に復帰していた。


「おお。お帰り、早かったね」


「…どうも先生。いたかったですよ」


へらへらとした顔で座ったまま見てくる先生の横に座ってそう言う。


「ところで先生。コイツ(人型鎧)ってログアウトで消えないんですか?」


「ああ。ログアウト前に休眠状態にしないと消えないね。注意しておいてくれ…というか初回のログアウトでそれのチュートリアル入るはずだが…いや。まだログアウトをしていないのか」


「そうですよ。ノックアウトでの緊急ログアウトでしたからね」


そこまで言って恨みがましい目で先生を見るも、先生は応える様子もなく、話を続ける。


「ところで、今はこの鎧の話だろう?君、本当に喋れるのかい?」


「ハイ!もちろんです!発声機構が備わっているタイプの欲望という相棒(デザイア)ですから!」


「フムゥ…今までにそんなタイプが生まれた報告はない…SIN Z君、個室で話そう。此処では人目が多い」


「了解しました…って、個室なんてどこに…?」


先生がかなり深刻そうな顔をしてそういうが、アテがそもそもあるのかどうか…


「このゲームでは盗聴系スキルはまだ見つかってないんだ。宿屋で十分さ」


「了解しました」


そして俺たちは先生に続いて歩き、宿屋に入るのだった。




<><><><><><>





「と、言うことでSIN Z君も認識しているだろうが、この情報は重要性が非常に高い」

「絶対に漏らさないのは当然として…ここからはコレの情報を聞き出そうか」


そこまで先生が言うと、鎧が話し出す。


「すみません。「コレ」呼ばわりはやめていただけないでしょうか?一応私も女なので…」


そこで先生は初めて。それも俺が担当になってからすら一度も見たことのないような驚愕の表情を見せる。


「本当かい⁉それは済まなかったね…そうだ、SIN Z君。女性ということだし、名前を付けてあげたらどうだい?」


「…先生、それってコレが野郎だったらどうなってました?」


「名前とか付けようと思わなかったろうね」


当然のように時代遅れな男女差別的発言を先生がするのに俺は少し頭痛がしてくる。


「先生。というより、重要なのは戦闘性能じゃないですか?」

「性能が結局では重要でしょう」


「ノンノンノン!感情があるって以上、仲良くするに越したことはないだろう!」

「というより、本人…まぁ人ではないが、本欲望という相棒(デザイア)の目の前で話すというのはどうなんだい…?SIN Z君?」


「別に…とりあえず、人がほぼいないっていうような狩場とかないですか?」


「あるにはあるが…強いぞ?」


心配しているような口調で、興奮した表情でいるという感じで、感情を抑える気のない先生は話す。


「上等です…と言いたいとこですが、あくまで実験なんでフォローお願いしますよ?」


「いいだろう。だが、面白そうだったら止めるかもね?」


「…鎧。頼んだぞ」


「了解いたしました!」


ため息を吐きながら命令した鎧が喜ぶさまに違和感を抱きながら、俺は部屋から出ていく先生についていくのであった。

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