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超!・ブラック残業

「あー…今回もダメだったかぁ…!」


森の奥からそんな悔しげな声が聞こえてくる。


「お!ちょうどいい。SIN Z君、急いでくれたまえ!」


「ああもう…こんなマッチポンプもどきのようなやり方、意味あるんですか!?」


そう。俺たちは、救護で通知が入らないことをいいことに、対象が窮地に至るまで物陰で隠れるという救難要請者に怒られても文句の言えない方法をとっているのである。


「早く行ってくれ!いい場面だぞこれはぁ!」


「はいはい。わかりましたよ!」


俺は木の影から飛び出し、トドメを刺そうと手斧を振りかぶるオークを蹴り飛ばす。


一撃で蹴り飛ばすことができたのは相手がオークであったからである。


なぜなら一部の人型モンスターは、人間と弱点が同じであり、俺はいわゆる弁慶の泣きどころ。脛を蹴り飛ばしたからだ。


なんて、小学校低学年が書くような、「意見の後に適当な理由を付け足すだけの文章」になってしまったが、指摘されようがこれ以上にいうことはない。


「っと…大丈夫?」


地面に座り込むフルアーマーのおっさんを引っ張り起こしながら俺はそう問いかける。


「あ、ああ。ありがとう…にしても君強いね」


「そーでもない。っつーか、脛が弱点ってのだけ知っとけば特に強くないモンスだけど…もしかして知らない?」


「脛が弱点…そうだったのか…」


おっさんが嘆く様を見てても別に面白くもなんともないので俺は立ち去ろうとする。


「ま、待ってくれ!」


「なんだ?野郎と話してる趣味はないし、先生に長話すると怒られるから早めにいきたいんだけど…」


「君の名前だけでもちょっと教えてほしいんだが…いいか?」


なんだ。名前か。名前も売ってけって先生にも言われたし、それなら問題ないだろう。


「『SIN Z』ってんだ。できれば名前を売っていきたいからな…よろしく頼む。じゃ!」


そうして俺はそこから飛び退き、先生を小脇に抱えて船まで戻る。


「で、後何件やるんですか…」


走りながらも俺は先生に残りの仕事内容を問いかける。


「ン?今日はもう終わりでいいよ。日も跨いだしね」


「マジで!?」


「おや、まだ働きたかったのかい?」


「いや本当にやめてください」


っしゃあ!!終わったぁッ!ってか日にち跨いだんか…有給の申請めんど…


そう思っているうちに船は街につき、先生から別れの挨拶もいただいて、ゲームをログアウト…


「ふあぁ…あれ?どうしたんですか?」


と思ったが、途中から寝こけやがっていた鎧が起きてきたのを見て、一発全力で殴ってからログアウトするのだった。


ちなみに、鎧の叫ぶ声はやけに耳に残った。

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