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天空行きは天翔る船で

青い空 白い雲 そして…


「下側に尖っている土色の物体…ねぇ」


「ふぉぉぉぉーー!空島ってやつですね!初めて見ました!」


「あー…そこまで珍しかないぞ?」


空島を珍しがる鎧の横でゲーム上のタバコもどき…通称草タバコを吸いながら空島を眺める。


空島自体は珍しくない。と言っても、奥側の端が見えないレベルの空島というのはそれでも珍しいし、それが何個も連立してるってのはデータサイズとしてとんでもないはずなのでしっかり見入っているのは否定できない。


と言っても重くならないのが現実。それもそのはず、あの空島たちに実態はないのである。


空島というのはプレイヤー個人。またはギルドやパーティなどで入る、個別生成型なのである。


つまりあれはただの演出で、あそこまでとんでも掴むことはできないんだろう。


誰もやってないためここまでくると推論になってしまうがな。


もしかしたら外殻だけ判定があるかもしれないし、そもそも妨害が来ていけないのかもしれない。


そんなことを考えながらも俺は我を取り戻し、鎧の頭を軽く叩く。


「ほら。そろそろ空島行くぞ。先生待たせてるんだから」


「えー?もうちょt「さっさと行くぞ」ちょ、痛いです痛いです!」


最近では鎧の弱点もわかってきた。関節部の隙間に短剣を刺すと痛いのだそうだ。まぁそりゃ当然か。


後は辛いものが苦手とか…そのくらいしかないが、まぁそんなことはどうでもいい。片手で鎧の一部を握って引きずり運ぶ。


奇異の目で見られるのも慣れたものだ。


「せんせーい。遅れてすいませーん」


その声に先生は本から目を離さずに反応してくる。


「ああ大丈夫だ…私との約束よりもその鎧の方が良かったんだろう?」


「は?何言ってんですか?早く空島行きますよ?時間押してんですから!」


めんどくさい先生はさっさと力押しで進むに限る。嬉しそうな声を出しながら体を少しくねらせる鎧に忌避感を多少覚えながらも、先生が立ち上がって歩くのに俺はついていく。


「まぁいい。さてSIN Z君。今回の目的は覚えているね?」


「えーっと…なんでしたっけ?」


「救難要請システムの実験だよ。忘れたのかい?」


「あぁあーー」


救難要請システム。


それは空島に参加したプレイヤーが、緊急事態に陥ったことを伝え、それを了承したプレイヤーが救助しにいくというシステムだ。


フレンドを助けにいくか、サーバー上からランダムに助けに行くか。


その二つを選ぶことができる。


ちなみに選定基準は基本的にレベルで、信号を出したプレイヤーよりレベルが高いことが最低条件…らしい。


ということで本来の目的である先生描くヒーロー漫画のモデルのため、先生基準のいいシーンがゲットできるまで、これを連続してやり続けようというのが今回の目的である。


さて、今の救助要請件数は…


「うげっ!」


「ほう…?」


そこには1000をゆうに超えるとんでもない量の救助要請が記されていた。


「恐ろしいですね…こりゃあ」


「ああ。だがこれはモデル候補が大量ということじゃないか…!50は連続していこうか!」


「はい…はい⁉︎」


「ああだがそれだけだとあたりに出会えるかわからないな…やはり当たるまでやるべきだな!」


「いやいやいやいや!」


「ン?何だいSIN Z君?早く行こうじゃないか?」


「はぁもう…わかりましたよ!やればいいんでしょやれば!」


「よく言った!さぁ行くぞ!」


俺が先生にそういうように仕向けられていたと気づくのにそれほど時間はかからなかった。


だがこうなった先生がかなり面倒なのも事実。つまり聞かざる終えなかったというわけだ。


「ほらほら!早くのりたまえ!」


先生は船…船といっても飛行船のようなものではない。ガチの船だ。


空を飛ぶらしい。間違いなくおかしいって…


俺と先生にドン引きの鎧が船の乗り込むと、乗り込み口が閉まる。


それと同時に船内放送が流れ始める。


中世のような船なのにスピーカーが生えているのは違和感しかないというか…


[はーい。本船は救護船です!今回の救護先は〜]


そこまで聞いて俺は耳を塞ぐ。


これから幾度となく聞くこの放送に、嫌気がさしたのだ。


そのまま甲板に出て地上を見下ろす体制に入る。


「豪速で空を駆るこの船だが、揺れは全くない。


俺は一つ、ため息をついて、甲板に座り込むのだった。

設定集

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草タバコ

そこらへんの薬草を包むだけで作れるお手軽さからそう呼ばれるだけで、正式名称は薬草式安価煙草。

命名者も草タバコを使っているので、あんまりこの正式名称に意味はない。

===

救護船

探索船と救護船の二つが空島へ行く方法で、それ以外は現状見つかっていない。

ちなみに特に意味はないが、現在の救護船の利用回数は探索船の10分の1以下である。

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