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エデン・ヒストリア 〜言語習得から始まるゲーム攻略〜  作者: ラー油
異端者は舞い降り、世界を駆ける
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鉱山・爆発・レアアイテム

 第2の街「ブレーサ」。近くに鉱山があり、鍛冶が盛んなこの街には武器や防具を売る店が多く存在している。


「とりあえず宿屋に行って……、その後はリスポーン地点の更新かなぁ……」


 リスポーン地点は宿屋で部屋を借り、ベッドで寝ることで更新されるシステムだ。近くの宿屋を探しつつ、よさげな防具がないか物色しながら街を歩く。このゲームの時間は現実のものとリンクしているので今は夜なのだがそれでもそれなりに人がいる。中には初心シリーズの防具をつけてる人もかなりいるな。そういえばこの街で初心シリーズの装備方法を教えてもらえるんだっけな。なら宿屋の後はそこに行こう。


 宿屋でリスポーン地点を更新し、初心シリーズを生産しているという鍛冶屋?にやってきた。鍛冶屋というか工場みたいなんだよな。とにかくでかいし、雰囲気が工場っぽいんだよな。そして、かなりの人が出入りしている。ここでプレイヤー全員分の初期装備を用意しているんだとしたら納得できるほどの大きさだ。受付嬢みたいな人もいるし。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか」


「ええっと、装備の修繕と強化の依頼ですね。後、この防具の装備方法を教えてもらいたいです」


「かしこまりました。少々お待ちください」





 すごいな、大企業みたいだ。受付の近くのベンチで言われた通りに待っていると担当の鍛冶師であろう人物がやってきた。


「はじめまして。今回の依頼を担当させていただきます。アルムと申します」


「はじめまして。夜火です」


「よろしくお願いいたします。早速ですが私の工房に行きましょうか」


 アルムさんに連れられ、彼の工房に向かう。ただまあ……広い!そして部屋が多い!彼曰く、これらの部屋は全て個人の工房で、ここに勤めている人たちには皆、自分の工房が与えられるそうだ。個人の工房を持ち、店を出す人もいるとか。そうして、ブレーサについて色々聞いているうちに彼の工房に到着する。中に入った時の印象は「整理整頓のしっかりされた工房」だ。


「ここが私の工房です。どうぞこちらにおかけください」


「失礼します」


「さて、今回の依頼は装備の修繕と強化。後は初心印の防具、その装備方法を知りたいとのことですね。まずは初心印の防具の件から始めましょうか。防具を出していただけますか?」


「わかりました」


 インベントリを操作して、初心シリーズの防具を取り出す。ここで、ふと気になったことを聞いてみる。


「俺みたいにこの装備の装備方法を知りたいっていうお客さんは多いんですか?」


「そうですね……。めったに見かけませんが、時折いますね」


 そうか……。異端者を選んでいて、俺と同じように防具を付けれなかった人はいるのか。


「さて、説明しながら私が実際に装備させていただきます」


 アルムさんの説明はとても丁寧で、無事初心シリーズの装備を装備できるようになった。




「さて、武器の修繕と強化の依頼に関してですが……。この街の近くの鉱山、ブレーサ鉱山には様々な鉱石が存在しています。次の街シートナとの間に存在しているので一度採掘後再びブレーサに戻ってきてもらうことにはなってしまいますが、そちらで鉱石を採掘していただき、手に入れた鉱石で装備を強化する、というプランを提案させていただきます」


 なるほど、鉱山があるのか。確かに鉱石を掘ってきて素材が増えれば、作れる装備の種類も増えるだろう。断る理由もない。


「わかりました。それでお願いします」


「ツルハシは受付にて貸し出しをしております。ぜひ、そちらを利用してください」




 さて、鉱山か……。夜だけどまだ19時過ぎだしそれなりに人は多いんだろうなあ……。人が多ければ採れる素材も少なくなる。まあ、いい装備を作れるためだ。気にせずさっさと行ってこよう。


 受付でツルハシを借りて、早速ブレーサ鉱山に向かった。






「あいつ、何か違和感が……」


 そうつぶやく人物がいることには気づかずに。






 ブレーサ鉱山にやってきたわけだが、実は一つ気になったことがある。このゲームにおいて、「プレイヤーの経験」はスキルの習得にかかわる要素の一つだ。そこで俺は思った。剣を振る感覚でツルハシを振っていれば、その経験が次のレベルアップで攻撃スキルの習得につながるのでは?と。馬鹿なことを言っている気もする。そもそも剣とツルハシは形も用途も違いすぎる。とはいえだ、絶対にそんなことはないと言い切れるか?そう、物は試しだ!






「何あの人、変な動きしてるけど通報した方がいいかな?」


「いや、ツルハシ持ってるから鉱石を掘ってるんでしょ、変な動きだけど」






 いや、うん。わかってたよ……。変なプレイヤーとして見られてるのはひしひしと感じてた。流石に鉱石を掘るだけなのにやたらジャンプしながら掘ったり、抜刀ならぬ抜ツルハシしたりしてたら変な奴でしかないわ。とはいえ、次のレベルアップまでは続けてみたいしなあ……。よし、人のいなさそうな奥の方に進むか。




 さて、地下深く、奥の方へと進んでいったらやたらと道が荒れているところを見つけた。進んでみるとそこは真っ赤に輝く鉱石が大量にある空間だった。


「おお!なんかレアなの発見したか!?」


 早速、採掘するか。ツルハシを握る手に力を入れて、思いっきり振る。次の瞬間――――――




 俺は爆発に巻き込まれて死んでいた。




 リスポーンした後、すぐにあれが何なのかアルムさんに聞きに行ったところ。


「それは、ダイナマイトニウムでしょう。ちょっとの衝撃で爆発するので危険性が高い鉱石ですね」


 とのこと。とはいえせっかく見つけたんだ。なんとかあれを採取したい。どれぐらいのパワーなら爆発させずに採取できるか、ひたすら検証するとしよう。


 そこから先は地獄だった。


 まず、爆発しない力加減を探すまでに何回も死に、爆発しない力加減で鉱石を採掘するまでに何回も死んだ。ようやく掘れたら今度は欲が出てきて、追加で掘ろうとすれば気を抜いた瞬間にまた死んだ。ここまで何回死んだかはもう覚えてない。デスペナルティも気にせず掘り続けた結果、戦果は十分だ。


『ダイナマイトニウム:30個』


「なんとかこれだけかき集めたぞ……!」


 少ないと思うかもしれないが、これが限界だった。大量にあったダイナマイトニウムも爆発の影響でどんどん数が減っていったでこれだけの数しか採れなかった。とはいえ、戦果はこれだけじゃない。


『輪廻の錆白(せいはく)


 輪廻の錆白は素材用アイテムだ。それもかなりレアらしい。ダイナマイトニウムの採取中、たまたま埋まっているのを見つけた。見た目は錆びついていた鉱石で、レアアイテムって感じの見た目とは思えないんだが、この見た目はアイテムの性質のせいだ。魔力を吸収する性質を持つ輪廻の錆白は、吸収した魔力を錆として蓄える。この性質のせいでこんなに錆ついているのだ。これ、うまくいけば絶対に良い装備になる。


 素材もいい感じに集まったことだし早速、アルムさんのところに行こう。

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