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翼は焼かれど夢は朽ちず、再び空を翔ける 其の一

 週末がやってきた。エンペラー・モルセーグとの激闘以来、大した出来事はなかったが再挑戦に向けてある程度準備を進めた。




 現在地は「神域の塔」1階。前回は中央の吹き抜けたところから一気に頂上を目指した。その結果、何とか天井に近づいたものの、直前で妨害を受けた。


「まだ攻略者はいないみたいだし、俺が1番に攻略したいよなぁ」


 今回は正攻法での攻略に挑戦しようと思う。時間はかかるかもしれないが、いくつか懸念点があるからな。


 まず、イカロスが頂上で燃えるんじゃないかというもの。正確な距離は把握していないからわからないが、頂上付近でイカロスが使えなくなる可能性は十分にある。


 次に前回落下する俺に攻撃を浴びせた影達。各階層にいる敵であれば、正攻法で攻略していれば、あれが襲ってこなかった可能性がある。


「さて、やりますか」


 螺旋階段を登っていく。どこか神々しさを感じさせる装飾が施された階段を登り、2階にたどり着く。


「うお……、びっくりした……」


 突然世界が切り替わるような感覚に襲われる。気がつけば階段も中央の空間も失われ、2階層が円形の部屋と化している。そして、中央には――――――






――――――「神影 スティア」






 以前見たゼウラウスだかと同じ、神影モンスターが立っていた。


 そのシルエットはどこにでもあるような少女だが、神聖さを纏っている。




『己が存在を示せ』




 ウィンドウにはそう表示されている。クリア条件はスティアの撃破、か。


「さて、お手並み拝見」


 朧を構え、敵の様子を伺う。


 先手はスティア。手を胸の前で組み、何かを祈る。次の瞬間、スティアの心臓から炎が生み出され、広がり炎の波が生み出される。


「いきなり広範囲攻撃か」


 部屋の直径と同じだけの幅がある炎の波。回避するなら――――――


「上だな」


 早速イカロスの力を活かす。エンペラー・モルセーグ戦でやった時のように足場を飛び移る要領で細かくジャンプし、高度を上げていく。


 炎の波を乗り越えて、スティアを正面に捉える。イカロスの効果で空を蹴り、一気に距離を詰める。


「くらえ……!」


 上段から朧をスティアへ向け、振るう。




 ギィィィィィィン!!!




「んな……」


 朧の一撃が何かによって阻まれる。スティアが武器を振るい、それとぶつかった訳ではない。スティアの眼前の空間、そこに存在する見えない壁に朧の一撃が防がれる。


「バリアとかそっち系か?」


 すぐさま距離を取りながら、朧の一撃を防いだ仕組みを探る。炎の波は背後で壁とぶつかり、霧散している。しかし、霧散した火の粉は燃え上がり、炎の弾丸となってこちらへ向かって飛翔する。


「面倒だな……!」


 まっすぐこちらへ飛んでくる火球。それは意思を持っているかのような動きでこちらへ迫る。


「だったら、あの時みたく……」


 動く気配のないスティアへ敢えて向かっていく。背後に火球が迫るのを感じながら、タイミングを見計らう。火球を限界まで引きつけ、飛び上がる。


 勢いづいた火球はすぐに方向を変えることができず、スティアに直撃する。


「どうだ……?」


 火球は何にも遮られずスティアに直撃したようだ。問題があるとすれば……、本人はピンピンしてることだな。


「直撃しても大したダメージになってないのか……」


 バリアは発動していなかった。いや、発動しなかったのか?だとしたら条件は何だ?それを探るためにも――――――


「ひとまず攻撃あるのみ!」


 スティアは再び炎を生み出し、その形を変えている。やがて、槍の形を成した炎がこちらへ飛んでくるのを姿勢を低くし、回避する。


「くらえ……!」


 スティアの目の前で思い切り左足を踏み込み、腰を捻る。そして、右足で蹴りを放つ。


「ちっ……」


 蹴りによる攻撃は再び何かに遮られる。力を入れれば壊せそうな感覚があるが、それにどれだけの力がかかるのか。


「んあ?」


 スティアに蹴りを入れた右足に突然大きな力が働き、全身が弾き飛ばされる。その勢いで壁へ激突する。


「反射……?だとしたら、朧の時は何でしなかった……?」


 条件がますますわからなくなる。敵意や殺気か?だとしたら、朧の攻撃を反射しなかった理由がわからない。


「考えろ……。何かあるはずだ……」


 朧による攻撃は全て弾かれないか確かめるか。目の前に迫る炎の槍を回避しながら、朧による攻撃を試みる。横一閃に振るわれた朧は変わらずバリアに遮られ、ダメージを与えることは叶わない。


 全力で押し込むと、ヒビが入るような感覚が生じた。朧で斬りつけた場所に向かって、今度は左の拳を振るう。


 再びヒビが入る感覚が生じるが、同時に拳を押し返そうとする力が加わる。左拳は弾かれ、バランスを崩したところで、スティアの頭上に炎の武器が次々と生み出される。


「ヤバ……」


 何とか地面を蹴って、その場を離脱する。転がるように回避し、すぐに立ち上がり追撃を回避する。


「大体わかったぞ……!」


 武器による攻撃は多分防がれるが反射はされない。逆にパンチやキックによる俺自身の体を用いた攻撃は弾かれる。多分これだ。


 魔法が使えれば、さらに条件を絞り込めそうではあるが、いかんせん魔法職は取ってないからな……。


「刀でバリアは崩せそうだし、やるか……」


 これまで何度かやってきた必殺コンボ。魔力をグロリアスに流し込み、解き放つ。


 光来撃による加速。これによって一度離れたスティアの元へ再接近。その勢いをギアーズ・シフトによって力へと変える。フルパワーの抜刀攻撃。


 朧がスティアを守るバリアとぶつかり合う。そして――――――




――――――バリアを破った。


 心地よい音共に崩れるバリア。朧な刃の勢いは衰えることなくスティアの首へと向かう。しかし、朧の刃がスティアの首を斬ることは叶わなかった。


「固い!?」


 バリアを破ったと思ったら次はこれか。どれだけ押し込んでも斬れない。いや、でもこれまでと違って相手も必死というか、押し込もうとする力に抗っては感じがある。


「ちっ……!」


 朧で首を斬るのを一旦諦め、蹴りを放つ。


「え?」


 スティアの顔目掛けて容赦なく放たれた蹴り。それをスティアは――――――




――――――なぜかしゃがんで()()()。これまでの神聖さはそこにはなく、怯える少女の姿がそこにはあった。


 朧の一閃を避けず、蹴りを避けたのはなんでだ?あの場所が重要なのか?それともバリアが切れたから?いや、でもこれはチャンスだ。


 姿勢を低くし、スティアの足を払う。驚くほど簡単に転んだスティアに追撃を加える。少女の体はあっさり吹き飛ばされ、床を転がる。


 祈りを捧げるスティアの姿はまさに神といった感じだったが、吹き飛ばされて焦る様子は見た目にあっている印象を抱く。


 意を決したかのように走り出したスティアの背後に炎の巨人が現れる。その姿は以前見たゼウラウスの姿を炎にしたかのよう。


 上空から炎の槍が迫る。しかし、その速度はあまりに遅く――――――






――――――首を斬り飛ばすには十分だった。






 なんで最後はあんなにあっさりいけたんだ?まあクリアしたらわかるか。


 スティアを撃破したことで部屋は元に戻り、次の階への階段が出現している。


「さて、回復したら次行くか」

今日12月26日で投稿してから1年が経ちました。

応援してくださる皆様のおかげで何とか続けられています。

これからも応援よろしくお願いします。

そのうち活動報告でもう少し色々話そうかと思います。


カクヨムへの投稿を始めることにしました。一日一話のペースでこっちに追いつくまでは投稿しようと思います。


評価・ブックマーク・感想等お願いします。まだ評価ポイントを入れてないよ、という人は入れていただけると力になります。


改めて、これからも応援よろしくお願いします。

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