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月下の皇帝 後編

 手下のモルセーグを喰らい体力を回復させた様子のエンペラー・モルセーグ。体力を回復されたが、その分モルセーグの数は減っている。


 てか、もう食べ終わったのかと思ったらまだ足りなかったのか、次を食べてるんだよな、あいつ。そうだ、俺も今のうちに回復しておこう。






 さて、お互い休憩タイムを終えて、再び向かい合う。モルセーグが取り巻き兼エネルギータンクなのだとすれば、どんどん削っていったほうがいいだろう。


 朧影で分身を生み出し、モルセーグ削りを任せる。本体である俺はエンペラーの方だ。


 血液を利用した加速、遠近どちらも可能な攻撃、そして全身を覆う鎧。どれも厄介だが、攻撃系はなんとか捌ける。


 問題は鎧なんだが、あれも血液の減少に伴って強度が落ちるんじゃないか?だとすれば、アイツの攻撃を耐えきれば確実に勝てるはずだ。とはいえ、耐久戦は性に合わないんだよな……。


 全身が鎧に覆われているとはいえ、動きやすさの確保のためにところどころ鎧に守られていない場所がある。


「狙いは鎧と鎧の隙間だな」


 エンペラー・モルセーグも他のモンスター同様、首を落とせば流石に再生できないだろうから首を狙いたいが……。


「そう上手くはいかないよな」


 上空から降り注ぐ真紅の刃。だが、これまでのものよりも小さく数が多くなっていることによって、攻撃範囲が増して避けにくくなっている。


 追尾するように降り注ぐ無数の刃を空中のモルセーグを盾にして回避していく。一つ一つが小さくなった影響か中々攻撃が止まない。モルセーグ達も自分達が盾にされていると気づき、上空へと逃げていく。


 数は多いが……中々こっちの動きについて来れてないな……?


「だったら……!」


 グロリアスの効果で自身を強化し、全力で走る。後ろに多くの刃が降り注ぐのを感じながらただひたすらに走り続ける。スタミナに気を配りつつ、チャンスを探す。


「今だ……!」


 ようやく相手の攻撃が終わり、接近するチャンスが訪れる。地面を蹴り、空中へ身を投げる。ジャンプする距離を短くし、等間隔の足場にテンポよく飛び移るかのように上へ上へと駆けていく。


 ある程度接近したところでスキルの効果を乗せて、両足で大跳躍。一気にエンペラー・モルセーグとの距離を詰める。その速度はエンペラー・モルセーグのそばを通り抜けそうな程に速い。




「ギアーズ・シフト」




 スキル「ギアーズ・シフト」によって速度が力へと変わる。その力をフルに刀に伝えるなら踏み込みが必要だろう。


 ここで忘れちゃいけないのが、風域は空中でジャンプをする足場を生み出す能力じゃない。スタミナを代償に一定時間空中に留まることができる能力だ。


 イカロスの風域の効果時間をフルに使い、何もない空中に目いっぱい踏み込み、そして朧をエンペラー・モルセーグの胴体目掛け振り抜く。




 その刃は堅固な鎧の守りを超え、胴体に一筋の大きな傷跡を残す。




 それと同時にイカロスの風域の効果が切れ、俺の体を支える足場がなくなる。俺が空中で戦うすべを失った今は、エンペラー・モルセーグにとって絶好の機会だろう。だからこそ、なるべく空中にいる時間を減らしたい。そのために――――――






――――――エンペラー・モルセーグの胴体を蹴り、地上に向かって飛ぶ。


 これで地上に着くまでの時間は短縮できるが、落下ダメージをどうにかする必要がある。まあ、これに関しては対策済みだ。




「ナイスキャッチ」


 下で待機していた分身が俺の体を受け止める。それなりの衝撃はあるが、地面に着地するよりかはいくらかましだろう。


 胴体に大きな傷を負ったエンペラー・モルセーグ。再びモルセーグを用いて、体力の回復を図るが、そのモルセーグたちは朧影の分身と先ほどの自分の攻撃で数を大きく減らしていた。


「これだけの数じゃ、全快は無理だろ?」


 焦るように近くにいるモルセーグを手当たり次第に食らいつくエンペラー・モルセーグ。しかし、残りわずかであったモルセーグはあっという間にいなくなってしまう。体力と血液は完全に戻ることはなかったようだ。胸の傷が癒えていない。それでもなお、血を、肉を求めるエンペラー・モルセーグ。






「な……、こっちに来るのかよ……」


 なりふり構っている余裕はないと、ターゲットをこっちに向けてきたな。朧影を全て解除し、こちらへ向かってくるエンペラー・モルセーグを迎え撃つべく、こちらも刀を納刀しタイミングを見計らう。


 全速力だったのだろう。こちらが刀を抜くよりも早く、エンペラー・モルセーグの牙が肩に突き刺さる。突き刺さった牙の痛みと血を吸われるような不快感が襲ってくる。一心不乱に体力を回復しようとするエンペラー・モルセーグ。外敵の目の前だというのに、相手は気にしていない様子。


 体力は減っていくが、これはまたとないチャンス。目の前にはむき出しの敵の弱点。


「くら、え!」


 右手に力を込め、首周辺の鎧の隙間目掛け、朧を振るう。左肩を咬みつかれている影響でうまく力が入らない中、再び朧影の分身を呼び出し攻撃に参加させる。






 こっちの体力が尽きる、あるいは相手が体力を回復するのが先か。こちらが相手の首を斬り、止めを刺すのが先か。






「終わりだ……!」


 朧がエンペラー・モルセーグの首を斬り飛ばす。首を飛ばされてもしばらくエンペラー・モルセーグの体は消えなかったが、それでも首を飛ばされたことでエンペラー・モルセーグの体力は尽き、後にはドロップアイテムだけが残った。




「勝ったぁ……」


 レベルも上がったな。スキルはどうなったかな……?


「よし……!これでいけるか……?」


 待ってろ、神域の塔。今度は正面から乗り込んで攻略してやるからな……!

ウルトラマンR/B見直してますけど、やっぱり面白いですね。


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