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月下の皇帝 前編

ようやく時間が取れたので更新再開。

 突然襲ってきたエンペラー・モルセーグとその手下達。エンペラー・モルセーグは優雅に上空に佇んでいる。


 攻撃を仕掛けてきたのは皇帝の手下、モルセーグ。巨大な蝙蝠としか言いようがない見た目のモンスターだ。撃破は容易だが、いかんせん数が多い。


「ほっ、はっ、よっと」


 上空からの体当たりを回避。背後から振り下ろされる腕を後ろに飛び上がって避ける。空中に身を投げた瞬間に噛みつこうとしてきたのは、空中を蹴って接近し、真っ二つにする。


「あの高さなら大丈夫だな」


 イカロスの隠されていた能力の名は「焼け落ちるイカロス」。一定の高度を越すとイカロスが燃えて、その能力が一時的に全て失われるデメリット効果。


 極光山頂上付近までは大丈夫だったし、ここぐらいの高さなら心配はないだろう。さっきからこっちを見下してる皇帝様を落としてやろうじゃないか。


「ふっ」


 地面を蹴り、真っ直ぐエンペラー・モルセーグの元へ向かっていく。当然モルセーグ達が妨害しようと襲いかかるが、イカロスの効果を駆使して攻撃を回避していく。


 近づくほどにモルセーグの数は増え、攻撃を激しくなっていく。この状況を改善する最適解はこれだろう。


「幻霧」


 霧によって視界を奪う。それと同時に何体か分身を呼び出し、モルセーグの処理をさせる。


 分身がモルセーグ達を処理する間もただ真っ直ぐエンペラー・モルセーグの元を目指す。眼前まで迫ったその時、エンペラー・モルセーグが動く。


 「ッ……!クソッ……」


 正確にこちら目掛けて突進してきたエンペラー・モルセーグ。その攻撃を朧で受け止めるが、イカロスによる空中での踏ん張りには時間制限があり、エンペラー・モルセーグの突進の勢いを相殺するには時間が足りない。


「この……、野郎……!離せよ……!」


 どうにか突進を受け流したいが、朧にガッチリ噛みつかれてしまった。どうにか離させようとするがなかなか上手くいかない。


「仕方ない……」


 朧をインベントリに閉まう。それと同時に空中を蹴り、突進の軌道上から抜け出す。下を見れば、地面に向かって突進を続けるエンペラー・モルセーグの姿が見える。


「このまんま地面に激突してろ」


 そんな俺の思惑を裏切るように、地面ギリギリで方向を変え、激突を免れるエンペラー・モルセーグ。




 エンペラー・モルセーグの全身を覆う、真紅の鎧が泡を吹きながら姿を歪ませる。次の瞬間――――――




――――――翼の先端から噴射された血液のような液体による加速を受けたエンペラー・モルセーグが再び迫る。


「マジか……!」


 朧は再装備できてはいるものの、回避する暇もないほどの速度で迫るエンペラー・モルセーグ。その口が開かれると同時に、エンペラー・モルセーグの前方の空中に巨大な真紅の牙が出現する。


「一か八かだ……」


 スキルの効果を乗せて空中を蹴り、回避するのではなく、あえて接近する。急接近した俺の後ろで真紅の牙が閉じた音が聞こえる。目の前にはエンペラー・モルセーグ。再び空中を蹴って、加速。納刀した朧を抜き去り、その顔を斬りつける。


「硬いな」


 真紅の鎧、その防御力は確かなようで全力の抜刀攻撃もそれほど大きなダメージにはなってなさそうだ。そして、モルセーグはまだまだいるから、気を抜けない。モルセーグの対処をしながら、エンペラーの方も対処しなくちゃいけない。とはいえ、モルセーグは防御力は大したことないから何とかなりそうだ。しっかり急所を狙えば一撃で倒せるしな。問題はエンペラー・モルセーグだ。


「あぶなっ」


 エンペラー・モルセーグが翼を羽ばたかせると同時に空中に無数の刃が生み出され、射出される。それを回避しながら地上へ降りる。


 そろそろあれが何か確信が持ててきた。エンペラー・モルセーグの攻撃は血液を利用したもので確定でいいだろう。さっきの攻撃も地面に当たってしばらくしたら液体になった。となれば、あの鎧も血液なんだろうか。


 ここで疑問がある。あの血液はどこから持ってきてるか、だ。血液はモンスターとはいえ有限なはず……。自分のものを利用しているのだとすれば、いつか限界が来るはずだ。


「やっぱりそうか」


 空中にたたずむエンペラー・モルセーグの動きが最初よりも不安定だ。


「貧血なんだろ、お前」


 これなら、攻撃を回避し続ければ先に相手がダウンするんじゃないか?




「――――――!!」




 突然、エンペラー・モルセーグが声を発する。蝙蝠の鳴き声は基本人間には聞こえないという。だから、見た目からの判断ではあるが、とにかく何かをモルセーグに伝えたような気がする。


 予想は的中し、モルセーグ達がエンペラーの近くに集まりだす。そして――――――






――――――モルセーグたちがエンペラーに食べられた。






「うわぁ……」


 あまりにもショッキングな光景に思わずそんな声が出てしまった。しかし、そんなことを言っている暇はない。どう考えても、あれは減った血液やらエネルギーやらの回復行動だろ。てことは、あれは阻止しなきゃまずい。


 地面を蹴り、エンペラー・モルセーグの補給を妨害するべく、空中へ身を投げる。しかし、少し遅かったらしい。


 眼前に迫る真紅の刃。それを朧で何とか防ぐ。攻撃を防ぎ、空を見れば体力を奪われ、消失していくモルセーグ。そして、血液を補充して全快した様子のエンペラー・モルセーグがそこにいた。

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