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月下の強襲

もう11月終わるの……?

 不思議な人と会ったな……。勢いに負けてフレンドになったけど、まあいいか。


「ジャラーク渓谷にいい出会い、ね」


 いい出会いがあるとは言ってたけど、具体的なことは何も言ってなかったんだよな……。スピカが怪しい組織の手先じゃない確信はないが……、なんとなく嘘はついてない気がする。まあ行ってみるか。






「懐かしいな」


 それなりに時間をかけてジャラーク渓谷手前までやってきた。極光山から向かうとなるとそれなりに時間がかかるかと思ったが、光来撃を使いながら進んだら案外すぐ着いた。光来撃、便利な力だ。


 それにしても、ここのボスであるロックァード・クロウと戦ったのも随分前の出来事に感じる。まあ、あいつとの戦い以降、色々と濃い出来事があったからそんな感覚になるのも当然の事かもしれない。ジャラーク渓谷に戻る、ということはエリアボスのいるエリアを通り抜けなきゃいけないんだが、まあ当然いるよな。


「クアアアアアア!」


 エリアボスであるロックァード・クロウ。あの時は4人だったが、今回は一人だ。とはいえ、あの時とは比べ物にならないぐらい俺は強くなった。一人でも余裕だろ。




 ロックァード・クロウの動きに大きな変化はなく、以前戦った時の相手の動きを思い出しながら戦う。腕を打ち鳴らし岩を落とす技も岩を落とすだけならスキル無しでも回避できるぐらいには、ステータスが上がっていた。岩を落とせてもその落下速度は変わらないから回避はたやすい。


 スキルによる強化を受けた攻撃は簡単にロックァード・クロウにダメージを与えていき、あっという間にロックァード・クロウを追い詰める。


「クアアアアアア!」


 叫びながら腕を再び打ち鳴らすロックァード・クロウ。この行動には見覚えがある。




「揺れるな……」


 そう、地面を揺らし足場を不安定にする技だ。少し前の俺だったらただ空中に逃げることしかできなかったが――――――


「――――――今なら……」


 スキル「ヴァルアブル・ジャンパー」は足元が不安定であっても、その影響を大幅に減らしてくれる。揺れる地面を蹴り、空中へ。


 その瞬間を待っていたとばかりに、空中に身を投げたこちらに向かって飛翔するロックァード・クロウ。空中にいる時に体を動かすのは地上にいる時と比べれば難しい。以前までの俺であれば、ロックァード・クロウの攻撃を受け止めるしか選択肢はなかっただろう。しかし、イカロスを手に入れた今なら……!


「クア!?」


 突如、空中を蹴り急接近してくる獲物にロックァード・クロウが驚く。狭い部屋の壁や天井にぶつかるスーパーボールのように何度も何度も空中を蹴り、ロックァード・クロウを混乱させる。完全にこちらの動きを追えなくなったその瞬間に――――――




「終わりだ」


 相手の首元へ接近し、その首を落とす。


 そうして、ロックァード・クロウは体力が尽き、その体を光に変えた。






「イカロス、悪くないけど……」


 イカロスの能力で空中に生み出した足場を利用した空中ジャンプは方向転換も可能で便利だ。しかし、足場に一度着地し、再びジャンプする関係でスピードが一度リセットされてしまう。


後、一回試したからわかるんだが、光来撃使用時のスピードのままイカロスで方向転換しようとすると、風域に着地した瞬間、勢いを殺すために足が犠牲になる。風域に着地時のダメージ軽減があっても、あくまで軽減であって大幅なダメージは普通に致命傷だ。


「風域がゴムみたいになったら最高だけどなあ」


 まあ、ないものねだりをしたって仕方がない。現状の手札でどう戦うかを考えることが大切だ。











 それは突然にやってきた。







 上空から突然、斬撃のような攻撃が飛んでくる。空を見上げれば、そこにいたのは巨大な蝙蝠のような見た目のモンスター。全身を真紅の鎧で包んだそいつの周辺には何本もの刃が浮かんでいる。周辺には似たような見た目だが、迫力が劣るモンスターの群れ。


「エンペラー・モルセーグ、か」


 モルセーグ……、意味は蝙蝠か?だとしたらちょっと安直すぎやしないか?まあ、いいや。こいつがスピカの言ってた「いい出会い」か?ユニークモンスターではないが、レアモンスターっぽい見た目ではある。どんな素材を落とすかはわからないが、戦わない理由はない。それに――――――




「グロリアスとロックァード・クロウじゃ物足りなかったし、ちょうど相手が見つかったな」

ウルトラマンアーク、面白くて気づいたら全部見てましたね


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