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大いなる翼を広げ

「はい、というわけでここからは山下りの時間です」


「「「はぁ……」」」


「そこ、ため息をつかない。今日中にリスポーン更新しとかなきゃ」


「そうだけどさぁ……。ねぇ?」


「誰のせいでこんな疲れてると思う?」


「俺ですね、はい」


「文句言ってないでさっさと行こう。もうすぐ夜だ」


「はいよ〜」






 極光来鳥グロリアスとの激戦を終え、無事に素材も必要な分集まった。ある程度の準備は王国で済ませてはいるものの最終調整なんかも必要になるだろう。俺なんかこれから装備を作るわけだし。


 そういう理由もあって今から向かうのはレイドボスが出現するエリアの最寄りの街だ。そこで最後の準備をして、当日はレイド開始の時間に合わせてエリアに移動するというのが今後の予定だ。


「登るよりは楽でいいな」


「そ、そうだね……」


「もう少しスタミナ鍛えたら?」


「そう、だね……。まさかこんなに疲れるとは……」


「まあ、リアルでも体力はないからなぁ、シューガ」


「運動神経は悪くないのにね」


「自分でも、わかってるよ……」


「もう少しでふもとだから頑張ろうぜ。そしたら休憩な」


「よし……、頑張ろう」




 山を下ってからは特に何もなく目的地へと到着した。エリアボスの有無はやはり大きいと感じた。不必要な戦闘を避けるだけでも移動の効率が段違いだ。


「よし、リス地更新っと」


 これで万が一やられても大丈夫だな。さて、今日はこれで解散だ。


「みんな、今日はありがとう。おかげで万全の状態でレイドに挑めそうだ」


「いいよ、楽しかったし」


「うん!私も」


「まあ、ちょうどいい腕試しにもなったしね」


「何かあればできる範囲で協力するから言ってな」


「それはもちろん」


「よし、俺は装備作ってもらいに行ってくる。また明日な」


 さてと、早速ウォーグのところへ行こうか。






「お、来たな」


「ああ。持ってきたぜ、頼まれてた素材」


「流石だな。よし、俺は工房に引き篭もる。明日中に完成させる。待っててくれ」


「わかった。忙しいとは思うが、装備の点検もお願いしていいか?」


「任せろ。お前さんには万全の状態で戦って欲しいからな」


「それじゃ、頼んだ」


「おう、頼まれたぜ」






 翌日、ログインしたはいいもののメインの装備もほとんど預けてあるし特にできることはないんだよなぁ。


 それにしてもプレイヤーが多い。攻略サイトとかにあったスクショに写っていたプレイヤーの数と比べて圧倒的に多い。皆考えることは同じなのだろう。


「そこのお兄さん、よければお茶でもしない?」


 ん?ナンパか?いつウォーグから連絡あるかわかんないし、断るかな。って――――――


「なんだ、焔か」


「なんだとは失礼な。バレないように可愛らしい声を出したというのに……」


「見た目もプレイヤーネームも変わんないんだからどうせバレるだろ」


「私の場合はそうかもしれないね。ただ気をつけることだ。見た目やプレイヤーネームを一時的に変える方法がないわけじゃないんだから」


「それ、大丈夫なのか?PKとか」


「そこは大丈夫。そういった用途には使えないように色々工夫されてるらしいからね」


「それで?何か用事か?」


「いや、特には。たまたま君を見かけたから声を掛けただけさ」


「よう、完成したぞ」


「っ!びっくりしたぁ……。ウォーグか」


「そんなにか?」


「そんなにだよ。もう完成したのか?」


「ああ、知り合いが手伝ってくれたからな」


「ねえ、ねえ!」


「何だよ……、焔」


 叩くな、叩くな。痛いっつーの。


「彼が君の装備を作ったっていうNPC!?」


「そうだけど……?」


「そうか……彼が……。初めまして!私の名前は焔、彼の友人だ」


「そうか、嬢ちゃんも鍛治師か?」


「はい!今度ぜひお話を!」


「お、おう。機会があればな……」


「夜火くん、頼んだよ」


「わ、わかった。もう行っていいか?」


「あ、すまない。いってらっしゃい」


「それじゃ」


「後で装備を見せて欲しい」


「耳元で囁くな、堂々と言え」


「もういいか?」


「あ、悪い。すぐ行く」


「頼んだよ、本当に」


「わかったって」






 さて、やってきましたウォーグの工房。


「さっきの嬢ちゃん、焔だったか?鍛治師だろ?」


「ああ、鬼牙も焔が強化した武器だぞ」


「ほぉ……、あれをあの嬢ちゃんが、ね」


「なかなかのもんだろ?」


「ああ。さて、切り替えてお前さんの装備の話をしようか」


「楽しみだ」


「さて、こいつだ」


「おお……」


 目の前のスタンドにかけられた防具。これが新装備なのだろう。白が基調のデザインだがところどころに緑や黄色の装飾が施されている。


「見てないで装備してみな」


 言われるがままに装備していく。


「おお……!すごいな、これ」


 今までの防具も良かったが、それ以上だ。軽くて動きやすい。それにもかかわらず防御力はさらに上がっている。今回は以前の防具のようにベースに別の装備を使うのではなく完全な新規作成らしいが、以前の防具の使いやすかった効果も一部付与されているらしいのは本当にありがたい。


「そういえば、この防具の名前は?」


「そうだな……。うーむ」


「決まってないのか?」


「いや、いくつか候補はある。ちょっと待て……、そうだな……。よし、これにしよう」




「『グロリアス・ウイング』シリーズ。これがその防具一式の名だ」


「グロリアス・ウイング……。結構そのまんまだな」


「はっ、笑うなよ。知り合いにもそう言われたがシンプルなのが一番だ」


「それもそうかもな」


「さて。点検も終わってるぜ。準備は大丈夫か?」


「そうだな。後はグロリアス・ウイングの効果に慣れるぐらいかな?あそこ、また借りていいか?」


「もちろんだ。好きに使ってくれ」


「よし、やるか〜」

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