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恨みつらみの恐ろしきこと

 さてと、ヨミは焔ともう少し話しているとのことで先にクランハウスから出たわけだが、この後どうするかな。シューガとの打ち合わせまではまだ時間があるけど、まあ先に行ってればいいか。ヨミにその旨を伝えてから集合場所へと向かう。






「おっす」


「やあ、クラン訪問はどうだった?」


「すごかったよ。いい経験になった」


「そう、それはよかったね。まあ、その話はまた詳しく聞かせてもらうとして……、ヨミさんは?一緒じゃないの?」


「さっきメッセージが来たけど、まだあっちのクランハウスにいるっぽい。装備のことで色々話し込んでるらしい」


「了解。さて、明日からのことについて話し合おうか。といってもみんなの要望を聞いてスケジュールを立てるだけなんだけどね」


「まあな」


「夜火の欲しがってる素材を落とすモンスターがいるのは確か極光山の山頂だっけ?」


「ああ」


 王国を出て、さらに進んだ先にある山「極光山」、そこに目当てのモンスターである光来鳥グロリアスがいるとの話だ。


「寒いらしいから寒冷対策は必須かな?」


「そうだな。そこら辺の対策アイテムってすぐに揃えられるっけ?」


「多分大丈夫。提案者である夜火にお金は出してもらいたいけどね」


「そこら辺は任せろ。大会の賞金でなんとかなる範囲なら全額出す」


「よし、じゃあ寒冷対策は後でするとして……、素材集めが終わった後はそのままレイド戦の会場近辺の街まで直行で大丈夫?」


「ああ。工房へは街にさえ着けばすぐに行けるから問題ない」


「素材の量はどれぐらいなんだい?」


「そもそも光来鳥グロリアスがかなり大きめのモンスターらしくて、2体も倒せば十分って言ってた。レアドロップの素材もあるらしいけど、それが出るまで粘ってる時間もないから今回は使わないって話だ」


「強さは?」


「ユニークと比べたら可愛いもんだってさ。4人なら苦戦はしても負けることはないと思う」


「了解。できればもう少し情報があると助かるかも」


「わかった。それはこっちで調べとくよ」


「よし、後は……」


「そうだ。うちのクランに入りたいっていうプレイヤーが」


「そうなの?知り合い?」


「うーん、今日知り合ったばっかしだけどまあ知り合いだな。今はヨミと一緒にいると思うんだけど、焔って名前のプレイヤー。鍛冶師だ」


「へえ、鍛冶師か。うちのクランにはいないし、ありがたいね。一回会って話してみたいな」


「それなら……、明日装備を受け取りに行くからその時でどうだ?」


「こっちはそれで構わないよ。焔さんにもそれでいいか聞いておいてもらえるかい?」


「わかった」






 そうしてシューガと今後のことについて話したり、それとは関係ない雑談をしてその日はログアウト。いよいよ明日から連休。素材集めにレイドボス。どれも楽しみだ。






 さて、おはようございます……。ただいまの時刻は朝の7時。せっかくの休みだが早起きしなくちゃいけないっていうのは少しテンションが下がるな……。焔にはシューガと話をした後に連絡を入れた。今日の集合は9時でそのタイミングで焔とも会うって話になったんだが、装備を確かめてほしいとのことで俺だけは8時に行かなくちゃならない。


「とりあえず、朝ご飯食べよう……」


 朝ご飯、大事。何食べるか……。






 さて、ログインしてレグルスのクランハウスへ向かう。8時前だが休みだからか人は多い気がする。いけない、いけない。のんびりしている余裕はないし、さっさと向かおう。






「やあ、待っていたよ。朝早くからすまない」


「おっす。それでもうできたのか?」


「ああ。完成しているよ」


「よくできたな」


「ふふ、昨日は少し調子が良くてね。柄にもなく徹夜で作業をしてしまったよ」


「そうなのか。ありがたいけど、無理はするなよ?」


「それはもちろん。体を壊しては本末転倒だ。さて、完成品を持ってくるから少し待ってもらえるかな?」


「わかった」




「さて、これが完成した鬼牙(オーガ)怨風(うらみかぜ)」だ」


「なんというか……、禍々しくなったな……」


 狼牙の刃はこう……爽やかな感じの緑色だったんだが……。強化を経て、赤黒い刃になっている。それに合わせて鞘の見た目も変わっているんだが――――――


「そのボロボロの布とかどうやったんですかね……?」


 ボロボロの布とかがまとわりついていて本当に禍々しいんだよなぁ……。鬼哭丸は確かに怨念を操るモンスターだったが、あいつの素材を使うだけでここまで見た目が変わるのか。


「まあ見た目は素材の影響もあるけど、私の趣味も少し入っているというか……。まあとにかく性能は申し分ないはずだ」


 まあ攻撃力も大幅に上がっているし、狼牙の時の抜刀速度を上げる効果は健在だ。それに加えて戦闘時、攻撃対象に対して負の感情を向けているプレイヤー、NPCの数とその感情の大きさに応じて追加で攻撃力が上がるとかいう効果がついている。


「プレイヤーの感情ってどうやって調べてるんだろうな」


「そこは私のも未知の部分さ。とりあえず感想を聞かせてもらえないか?」


「いい出来だと思うよ。ありがとう」


「ふふ、そういってもらえて何よりだ」


「報酬はどうする?」


「ああ、これぐらいでどうだろう?」


 ふむ、これぐらいなら何とかなるな。


「ほい。これで大丈夫か?」


「ああ。確かに受け取ったよ。シューガくんだったかい?彼らが来るまでうちの訓練場でそれを試してみれはどうだい?」


「いいのか?じゃあ遠慮なく」


 ふふふ、新しい武器だ……。どんな感じだろう、楽しみだ。






 その後シューガ達が来るまでの間、軽く素振りをしたり、レグルスのメンバーと軽く模擬戦をしたりした。


「何してるんだよ……」


「ん?悪い悪い、新しい武器を試してまして……」


「ほら、そこまでにして。焔さんはどこ?」


「もう少しだけ……」


「早くしてもらえるかい?」


「はい。すいません」

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