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広がる縁

ローグライク難しいですね……

「初めまして。話題かどうかは知りませんけど、夜火です」


 王国へ来て2日目。俺はリオンさんのクランにやってきている。そこで武器を探しているという話をしたらプレゼン会が始まり、それがひと段落した段階で紹介されたプレイヤー。焔さん、か。プレイヤーネームが漢字なのなんか珍しい気がする。


「あ、敬語は不要だよ。リオンさんの言う通り年齢は近いはずだから」


「了解。じゃあ遠慮なく」


「それじゃあ早速なんだが……、いい武器はあったかい?」


「モーニングスター」


「え!?夜火くん、あれ気に入ったの……?」


 ヨミさんや、なぜそんなに困惑しておられる?だって楽しそうじゃん、あれ。機動力に頼らないガッチリとした戦い方があってもいいと思う。


「へぇ……。でも、それは()()()()ってだけだろう?」


「ん?どういうこと?」


「まさか気づいてないのかい?君、剣とか刀の紹介をしてる時の方が真剣な眼差しをしてたよ。楽しそうだから気に入ってはいる。だけど本当はしっかりと自分の戦力になる武器を探しているんだろう?」


 うーん。そんな感じだったのか?さっきまでの俺。まあ言われてみれば確かに。モーニングスターは楽しそうって言う理由で気に入ってはいるし、ガッチリとした戦い方がどうのとか言ったけど、それは本心か?と聞かれると反応に困ってしまう。


「確かにそうかもしれないな。それで?焔さんは何を提示してくれるんだ?」


「さんは不要だよ。焔で構わない。うーん、そうだなぁ……。ひとまず手持ちの武器を見してくれないか?」


「了解」


 インベントリを操作して、手持ちの武器を一通り取り出す。


「はい、これで全部だ」


「ふむ……。いい武器だね……。少し待っててくれ」


 すごい集中力だな……。武器のステータスと実物を交互に見ながら何かを考えているらしい。にしても楽しそうだ。武器を見ている彼女の目の輝きがそれを物語っている。






「お待たせ。つい楽しくなってしまったよ。さて、私としては新しい武器を作る前に手持ちの武器を強化した方がいいと思うよ」


「というと?」


「そうだね……、とりあえず全部の武器に対する私の感想を話させてもらってもいいかな?」


「わかった」


「まず、純白の剣(レフコース)については私たち鍛治師がどうこう言うものじゃない。この武器の至る先はプレイヤーが決めるものだからね」


 なるほどね。確かに初心の剣は強化に使う素材に何を選ぶかで世界で一本の武器になる可能性を秘めた武器だ。プレイヤーが決める、か。ぼちぼちこいつの強化についても考えなきゃな。


「次はラスティ・ホワイトと鐘鴉双刃かな。これはほぼ完成系に近いからあまり強化の余地がない。攻撃力や耐久値を上げたり、新しい能力を足したりってことは出来なくはないけどそんなに急ぐ必要はなさそうだと思う」


「ふむ」


「幻霧刀「朧」についてはユニークモンスターの武器って時点でこれ以上強化はできない。それにしてもいい刀だね。能力もだけど攻撃力や耐久性も一級品だ」


 まあウォーグ産の武器だから性能はピカイチだろう。


「狼牙「疾風」、私としてはこれの強化がおすすめかな」


「理由を聞いても?」


「今のサブ職業は侍なんだってね。ということは物理型の剣士っていうのが今の夜火くんのスタイルなわけだ」


「まあそうだな」


「これからのビルドをどういう方向性で考えているのかはわからないけれど、ひとまずこの刀は使われているリソースの割に能力が少ないからね。一番強化の余地がある」


「なるほど?」


「それに風系統のモンスターの素材は武器にあまり向いていないっていうのもあるんだ。風の力を使えば剣を振るスピードを上げるなんてことはできるけど、それだけだ。風を生む魔法剣みたいなこともできなくはないけど、それだったら素直に魔法職についた方が強いしね。だから風系じゃない別の強化の方針を与えて朧と差別化した方が将来的に役に立つんじゃないかと思うよ」


 確かに狼牙は急いで作ったらしく、抜刀速度が上がる能力以外大した能力はない。焔の話を聞いた感じだと、多分俺のステータスやスキルが強化されていく度に今の狼牙が持つ能力は腐ってしまうということだろう。そう考えると確かに朧と差別化した方が戦術を増やすことに繋がるのかもしれない。


「なるほどね。参考になるよ。じゃあさ、狼牙の強化任せてもいいか?」


「へ?きゅ、急だね」


「あんだけ言ったんだ。何からしら案があるんじゃないのか?」


「わかった。任せてくれ。強化の方針は決まっているのかい?」


「いや、決まってない」


「それなら……とりあえず手持ちの素材を見せてくれないか?」


「ほい」


「うーむ……。そうだな……」


「いいのあるか?」


「これとかいいんじゃないかな。鬼哭丸の素材」


 あー、そんなのもいたなぁ……。朧であっさり倒したからか印象に残ってないからすっかり忘れてたけど。


「あのモンスターは怨念を力に変えるからね。その性質はきっとレイド戦でも役立つはずさ」


「そうなのか?」


「鬼哭丸の素材なら多分対象へのヘイトが高いほど攻撃力が上がるみたいな武器ができると思うんだ。運営の紹介じゃ、次のレイドボスは一つの文明を滅ぼしたという厄災が生み出したモンスターなんだろう?だったらきっとすごい恨みを買ってるはずさ。プレイヤーもあれに殺された人はそれなりにいるみたいだしね」


「へぇ……。じゃあ、それで。料金はまた後でいいか?」


「うん。構わないよ」


「思ったより仲良さそうだな」


「リオンさん」


「そうだ、焔。そいつのクランに入れてもらえば?」


「あれ?未所属なのか?」


「ああ。お姉ちゃんがここのクランに入っているから今はお世話になっているんだ」


「レグルスに入らない理由は?」


「私はいつかお姉ちゃんを超えたいんだ。ただ背中を追っているだけじゃ超えることはできないだろう?私は私だけの道を行くのさ」


「へぇ……」


「どうだ?悪いやつじゃないぜ」


「こればかりは俺1人じゃ決めらんないですね。相談はしてみます」


「本当かい?」


「ああ」


「そういえばヨミさんは?実は彼女の装備も見てみたかったんだ」


「あっちにいるぞ」


「わかった。君の刀の件は任せてくれ。明日には完成させておこう」


「任せた」


 さて、新メンバーの件とか明日からのこととかシューガに話さなきゃだな。にしても焔のやつ、すごいスピードでヨミの方に走ってったな。


「この後の予定は決まってるのか?」


「とりあえず友人に焔のことと明日からの予定について聞きに行こうかと」


「そうか。じゃあもう行くのか?」


「そうですね。ぼちぼち出発しようかと」


「わかった。いつでも歓迎するからまた来いよ」


「はい、ぜひ」

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