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エデン・ヒストリア 〜言語習得から始まるゲーム攻略〜  作者: ラー油
異端者は舞い降り、世界を駆ける
3/79

お待たせ、世界

 いったんログアウトして親友に連絡をしたら思いっきり笑われた。どうやらあっちも俺がなんて言っていたかわからなくて困惑してたらしい。


 困ったことになったぞ。攻略サイトを見てみたが、「言語を理解できない」というデメリットについての情報はなかった。つまり、これまで確認されたことがなかったデメリット効果を俺が引いたということだ。異端者はもともと人気のなかった出自・出身だったらしいし、未確認のものがあってもおかしくはないだろう。と、とりあえずログインして現状をしっかり把握しよう……。






 さて、あらためて説明を読んだわけだが……、まずこのデメリット効果は俺がこの世界の言葉を習得したとシステムが認めた時点で解除されるそうだ。一応マニュアルのようなものもあるが、まあ難しい。なんか色んな国の言葉をごちゃ混ぜにした感じの言葉だ。なんで受験が終わってからやるゲームで、また勉強みたいなことをしなくちゃいけなくなってるんだ……。


 しかも厄介なことにウィンドウのメニューもログアウト以外基本使えないし、適当に操作しても反応しない。「さっさと言葉を覚えろ、覚えるまで先に進むことは許さん」そんな運営の意思を感じる。


 このゲーム一度キャラメイキングを終えると、そこから変更することができないのでやり直しがきかない。つまりゲームを進めるには、自力で言語を習得するしかないわけだ。


 バグの可能性を考えたが、それもたぶん違うだろう。


 ぶっちゃけ、運営に問い合わせてアカウントリセットみたいなことができるならそれも悪くないだろう。しかしだ。大勢がプレイしているゲームにおいて、自分しか知らない情報があるかもしれない。なんて考えたらワクワクしてきたし、その可能性を手放したくはない。ということで、このままゲーム続行。やれるところまでやってみよう。


・1日目

とりあえずあ行っぽい部分から始めることにした。マニュアルっぽいものもあるが役に立つ気がしない。どうする?






・10日目

なんとか理解したきた。50音に対応してるっぽいのは開発したのが日本だからか?











・18日目

ストレス発散ということで試しにフィールドに出てみる。素手でもモンスターに勝てないものかと試してみたが、まあ無理だった。せめて、防具があれば……。


ちなみに数日後に聞いた話だが、インナー姿で奇声を上げるヤバイプレイヤーがいたと少し話題になったそうだ。













 まあなんやかんやで、大体1か月経った。初めは訳が分からなかったがだんだん法則やらなにやらに気がつき始めてから、複雑すぎて暗号みたいなこの言葉を覚えるのも楽しく思えるようになっていた。


「縺ゅ?繝シ、菴輔@縺ヲ繧九s縺ァ縺吶°?」


 ん?またか。今日も好奇心で話しかけてきたプレイヤーが来たが軽く返事をして終わりだ。どうせ聞き取れないだろうし、気にしない。それよりもあと少しで終わるのだ。気にしている余裕はない。


 ウィンドウをにらみつけ、口に出して覚えていく。それをこの約1ヶ月繰り返してきたわけだが……。


「お、なんか出てきた」




 ついに、俺の前に『あなたは、言語を理解した』という表示されたウィンドウが表示された。




 おお!街の方から聞こえてくる人の言葉がしっかりと聞き取れる言語になっている。ついに―――


「ついに……、ついに……終わった……。ようやく言葉を覚えたぞ!!!」


 おっと、あまりの嬉しさに周りの目も気にせず叫んでしまった。さっきの青年が驚いている。見た目とかは全く気にしてなかったけど、高校生ぐらいかな?とりあえず事情を説明するべきだろうか。


「ああ、ごめん。嬉しくてつい」


「えっと……。何してたんですか?それに言葉覚えたって?」


「うーん……。そういう縛り……?」


「はあ……?」


「異端者ってあるじゃん?それのせい」


「ありましたね、そんなの」


「そうそう。それのせいで今までまともにプレイできなかったんだよ」


「へぇ、よく我慢できましたね……」


「俺もそう思うよ。見たところそちらも初心者?」


「はい。あ、すいません。友人との待ち合わせがあるので……、これで……」


「ああ。早く行ってあげな。それじゃ」


 いい子だったな。異端者について少し喋ってしまったが、そこはまあ……気にしないようにしよう。


 思い返せば約1か月、色々あったような……なかったような……。やっとウィンドウも操作できるようになってまともにプレイできるようになったし、色々見て確認しなきゃな~。楽しみだ。






 こうして約1ヶ月の時を経て、1人のプレイヤーのゲーム攻略はようやく始まったのであった。

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