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エデン・ヒストリア 〜言語習得から始まるゲーム攻略〜  作者: ラー油
異端者は舞い降り、世界を駆ける
26/79

影より現れるメイド 前編

 さて、第5の街イルスに着き、セーブポイントも更新した。早速だが――――――


「やるか」


「ええ」


 割と前からしていた約束だ。このゲームの闘技場のことは知っていた。そして、闘技場で戦うことは前々から決めていたことなのだ。


 なぜそんな約束をしていたのか、それは俺とメイが出会うきっかけを知る必要がある。




 高校1年の時ハマっていたゲームがある。そのゲームは高層ビルが立ち並ぶ街でプレイヤー同士で倒し合いナンバーワンを決めるといった感じのゲームなのだが、そのゲームで俺には何人かライバル的人物がいた。そいつらとはランク帯が同じこともあり対戦することが多かったわけだが、その1人がメイだ。


 まさか同じ高校だとは思わなかったし、たまたま廊下でシューガにメイとの試合の愚痴を言っていたら、ちょうど本人がすれ違うなんてことがあるとは思ってもいなかった。まあそれ以来の友人としての付き合いが始まったわけだ。




 そのゲーム以外でもちょくちょく競い合うことが増え、このゲームでもどちらが強いか決めようということで大会の練習も兼ねて戦うという話になったのだ。


「闘技場って誰でも使えるのか?」


「ええ。申請さえすれば誰でも使えるそうよ」


「よし、さっさとやろう」


「全く、2人とも少し落ち着いたらどうだい?」


「いいや、こいつは絶対に負かす」


「あら、ずいぶん強気ね?2ヶ月も足止めされていたけれどハンデは必要かしら?」


「あ?負けた時の言い訳にはちょうどいいかもな?」


「はぁ……。この2人はどうしてこうなんだか……」


 悪いなシューガ、こればっかりはどうしようもないのだ。さっさと手続きを終えて、試合をしようじゃないか。






「さて、ルールも設定し終わったし始めるか」


 闘技場はかなり細かくルールを決めることができるようだ。今回のルールは、お互いレベルは50で統一。スキルは現在所持しているもので、回復アイテム等の持ち込みはなし。時間帯の設定もできるそうなのでこれは昼に設定する。なるべく大会に近いルールにするためだ。


 フィールドは円形のコロシアム。互いに武器を構え、準備は万端だ。開始の合図はシューガに任せ、開始の瞬間を待つ。


「じゃあ行くよ……。始め!」


 先手必勝!朧を最初から使う予定はなく、今の武器は純白の剣(レフコース)とラスティ・ホワイトの二刀流だ。侍の補正は乗らないが気にしない方針でいく。「ダイナマイト・エンジン」で加速、一気に距離を詰める。


 メイの攻撃手段、現状わかっているのは2つ。ジャラーク渓谷でのモンスター戦で使っていたナイフ、エリアボス戦で見せた糸。この2つが今わかっている攻撃手段だ。ナイフは問題ない。糸は視認できない程の細さのものを使われたら詰みだ。だからこそ、糸を使う余裕を与えないよう序盤から接近戦を仕掛けていく。


「ハッ!自慢の糸はどうした!」


「調子に乗っていられるのも今のうち……よ!」


 2本の剣による連続攻撃を仕掛けるも、いつ展開したかわからない糸が俺を襲う。だがそれを「縦横無尽脚」を使い、勘で避ける。ついさっきまで俺がいた場所を糸が通り過ぎ、風を切る音が聞こえる。


「どんな速度だよ……」


「今度は私の番ね」


 こちらに向かって走り出すメイ。糸はメインウェポンじゃないのか?とりあえず迎撃のため、こちらも接近し剣を振るう。


「なっ!?」


 突然メイの手に現れたのは、メイの体を隠すほどの大剣。盾のように地面に突き刺された大剣に俺の攻撃は阻まれる。大剣の後ろにいるであろうメイに攻撃を加えるため、回り込むように移動するがそこにメイの姿は見当たらない。


「は?どこいっ……」


「ここよ」


 メイは大剣の影から現れ、そして俺の首へとナイフを振るう。




 メイがプレイ開始直後に出会ったユニークモンスターの名はシャドウストリクス【闇夜幻影】。闇に紛れて獲物を襲うシャドウストリクス、その特殊個体である。初期装備でシャドウストリクス【闇夜幻影】を撃破したメイが手にしたのはユニークジョブ「闇夜幻影」。その能力の一つが影に潜む能力である。




 「ラビット・フット」発動。効果で強化された跳躍力によってなんとか攻撃を避けることに成功する。


「どう?いいユニークジョブだと思わない?」


 あれが言ってたユニークモンスターとやらの撃破報酬か?能力は影に潜るだけじゃないはずだ。影に潜るのに条件はあるのか?しかも能力は最低でもあと一つはあるはず……。とりあえずこっちも出し惜しみしてる余裕はない。


「ユニークモンスターの力はこっちにだってあるんだよ!」


 武器を純白の剣(レフコース)から幻霧刀「朧」へと変更する。


「それが例の武器ね。どんな能力かしら?」


「教えるわけないだ……ろ!」


 地面に足が着くと同時に再びスキルで加速し接近する。朧はまだ鞘の中だ。スキル「抜刀術」はパッシブスキル、まあ要するに常に発動している。腰の左側にぶら下がる朧に手を掛け、抜刀。狙うは一撃必殺、相手の首だけだ。


 首を切らんと振られた刀が空を切る。そこにメイの姿はなく、あるのはただ一枚の布と――――――




 布によって生み出された影だけだ。




「制限なしか!?」


 影からの奇襲を警戒し、バックステップで急いでその場から離脱する。考えろ……、何か条件があるはず……。考えられるのは……。


「影のサイズか?」


 ここまで影に潜れているのはどれも、メイの体を覆い尽くすような大きなアイテムによって生まれた影だ。それが正しいか正しくないかはともかくとして対策は容易だ。


 ラスティ・ホワイトの「フラッシュ・リペア」で影を消してしまえばいい。


 ただ回復アイテム等の持ち込みは禁止されているため、ラスティ・ホワイトに直接魔力回復ポーションをかけ、チャージするあの方法は使えない。


 しかし今俺の手には朧がある。MPは分身用にも残しておきたいからガッツリチャージはできないが……。


「幻霧」


 朧から生み出される魔力の霧を広げることなく全てラスティ・ホワイトは吸収させることで刀身に魔力を貯めるのだ。


 さあ、勝負はまだまだこれからだ。

戦闘描写難しいですね

後編は今日の夜か明日の昼にはあげます

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