友人との合流
さて、第4の街ディトルにやってきたわけだが噴水はどこにあるんだ?
「あれか」
割とわかりやすい位置にあったな。街への門をくぐると目の前に大きな噴水が見えている。早速そこへ歩いていくと、秀我、いやこっちではシューガか、まあとにかく友人たちの姿が見える。
「お待たせ」
「おっ、来たね。やあ、早かったじゃないか」
「ユニークモンスターの武器のおかげだな。で、あっちの2人がそうか?」
「ああ。プレイヤーネームもみんな前と変わってないよ」
「あら、もう来たの?また遅れてくるのを楽しみにしてたのに……」
「もう、そんなこと言わないの。こっちでは初めましてだね。夜火くん」
「そうだな。ヨミ」
美夜をひっくり返してヨミ、なかなかにシンプルなネーミングである。残りの2人はネーミングセンスが終わっているので本名を少しいじった程度のプレイヤーネームである。俺の場合、原型はほとんど残ってないが……。
「さて、ようやく4人が揃ったね」
元々4人で同じ日にプレイする予定だった。しかし色々あってメイはひと足先にプレイを始め俺たちを待っているはずが、俺が異端者の制約のせいで先に進めず、先に進んでもらうよう言っていたのだが――――――
「俺としては、先に行っててくれてよかったんだけどな」
「この街に戻る用事があってね。ちょうどいいから待とうって話になったのさ」
「さて、4人揃ったわけだし。フレンド登録しよう!」
ヨミの提案でフレンド登録を済ませる。フレンド登録をすることで相手がログインしているかどうかわかったり、ゲーム内でメッセージが送れたりと色々とできることが増える。
「それで?クランを作っていう話はどうなったの?」
「事前に調べておいたし準備はできているから、もうやってしまおうか」
シューガの話によると、クランの設立はメンバーが3人以上いればすぐにできるそうだ。クラン名、初期メンバー、新規メンバーの受け入れについてなどの設定を済ませればクランの設立は完了だそうだ。初期メンバーはこの場にいる「夜火」、「シューガ」、「yomi」、「MAY」の4人。新規メンバーについてはクランリーダーとなったシューガの認証制となった。問題は――――――
「クラン名……なんだよなぁ……」
「そうね。私とシューガくんはネーミングセンスがないからあなたたち2人で決めてもらえると助かるのだけど」
「と言われましてもねぇ……。パッと思いつくようなものでもないし……」
「うーん……。『エレティコス』っていうのは?ギリシャ語で異端者って意味なんだけど……」
「俺は確かに異端者選んでるしそれでいいけど……。他は?」
「いいと思うよ。僕以外みんな異端者だと思うし」
「どういうこと?」
「そうか、まだ知らなかったっけ?メイさんは最初、出身・出自を放浪者にしたらいきなりユニークモンスターと遭遇してるんだよ。ヨミさんも加護授かりし者っていうのを選んでかなりレアなのを引いてる。ある意味異端者の集いだろう?」
「その話が本当なら確かに異端者っぽいやつらばっかだな」
とりあえずいい案も出なかったのでクラン名は「エレティコス」になった。後からでも変えられるらしいし、名前はそんな重要でもないだろ。
「さて、クランも作ったし、パーティを組んで会場である次の街へ行こうと思うけど、何かやっておきたいことはあるかい?」
やっておきたいことか……。アイテムはほとんど揃えてあるし……、あ……。
「なんかいい感じの職業ない?いつまでも初期職業なのもどうかと思って」
「そうだね……。日本刀をゲットしたんだっけ?夜火は剣道経験者だし、侍とかいけるんじゃないかな?」
侍か……、なんか良さげだ。
「ちょっと確認してきていいか?」
「ああ、僕たちもそれぞれ準備しておくよ。とはいえ今日次の街まで行こうとすると夜遅くになりそうだ……。進むのは明日にしよう」
「私とヨミは必要なものを揃えたら今日はログアウトすることにするわ」
「了解、また明日な」
さて、俺も新しい職業に就けないか確認したらログアウトしよう。