表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エデン・ヒストリア 〜言語習得から始まるゲーム攻略〜  作者: ラー油
異端者は舞い降り、世界を駆ける
2/79

初めまして、世界

 話は約1か月前にまでさかのぼる。


 大学受験を終え、親友に誘われ購入したゲーム「エデン・ヒストリア」。発売前からすごい評判だったらしく、自分も先に体験版をプレイしてみたけど確かにすごいゲームだった。これまで色んなフルダイブ型のゲームをプレイしてきたが、グラフィックや五感の再現性はこれまでやってきたどのゲームよりも優れていたように感じた。


 受験と時期が被ったからサービス開始からプレイすることはできなかった。しかし、受験を終えた今ようやくプレイできる。このゲーム、ストーリーもあるのだがそれはまだ始まっていないらしい。なんでも調整のためだとか。とりあえずストーリーが始まるのに間に合ったのは運がよかったな。久しぶりにやるゲーム、それも完成度の高いゲームだ。楽しみに決まっている。


「そろそろ約束の時間だし、ログインするか」


 同じく受験を終えた親友とは、同じ日に始めようと約束をした。今日がその日だ。


 専用機器を装着。ベッドに横たわり、ゲームを起動。軽やかな起動音と共に、俺の意識はゲームの世界へと旅立つ。






 目を開けば、一面真っ白の空間。ここは初期設定をするための空間かな?目の前に表示されたウィンドウには『あなたはこれまでにフルダイブ型VRゲームをプレイしたことはありますか?』と表示されている。受験前は色んなゲームをやっていたし、これは『はい』だ。


 次は、プレイヤーネームや容姿の設定。


 プレイヤーネームはいつもと同じ「夜火(よか)」に決めた。本名である「持月燈夜(とうや)」の燈夜の燈の漢字に含まれている「火」と「夜」を並び替えたものだ。だいぶ無理矢理な気もするだろうが、小さいころ仲が良かった友達に提案されて気に入ってから、ずっとこのプレイヤーネームを使い続けている。


 さて、次は容姿の設定だ。これはリアルのものをベースにしつつ、あまり似過ぎないように調整していく。


「髪の色は……、黒のままでいいか。目は……青くするかな」


 そんな感じで少しずつ容姿をいじっていく。しばらくして容姿の設定が終わった。そうしたら次は最初の「職業」と「出身・出自」の決定だ。


「どれにするか迷うな……」


 このゲームにはいくつかの職業や出身・出自というものがあり、どれを選ぶかで実際に戦闘で使用する武器の適正やプレイヤーのステータスにかかる補正などが変化するらしい。


「武器は色々使えた方がいいから……。職業は無難に傭兵かなぁ……」


 傭兵は全ての武器にある程度の適性がある。剣士などには劣るが、使いたい武器みたいなものは今のところ特に決まってないし、とりあえずこれでいいだろう。


「問題は出身・出自なんだよな」


 一般人、貴族、野生児、遭難者、まだまだ種類がある。出身・出自はステータスの補正以外に、変わったメリットやデメリットを持つものが存在する。例えば遭難者は、チュートリアルが終わるといきなりモンスターのいるフィールドに放り出される。その代わり、スタート地点がランダムなため、まだプレイヤーが到達していない場所にたどり着ける可能性がある。こんな感じだ。それにしても数が多い。悩むな……。










「よし、これに決めた」


 悩んだ末、俺が選んだのは「異端者」。ステータスの補正が特別高いわけでもなく、複数のデメリット効果、それもプレイヤーによって変わる内容が明かされていないデメリット効果という一見するとハズレっぽい出身・出自。とはいえ、それに見合うだけの「情報」というメリットが与えられるらしい。この情報についても具体的なことはわからない。ただ、このゲームに存在する「ユニークモンスター」と呼ばれる世界に1体しか存在しないモンスターなどに関連するオンリーワンな情報であることは確からしい。


 運営曰く、とんでもないデメリット効果も存在しているそうだ。選択しているプレイヤーも少ないらしいが、もともと縛りプレイとか少し変わったプレイスタイルを開拓するのが好きなタイプだから、これでいいだろう。


「よし、設定完了っと」


 ウィンドウの設定完了ボタンを押すと、景色が一変する。視界中には宇宙が広がり、目の前に一つの惑星が見えてくる。そして、突然音声が流れてくる。


 どうやらストーリーのプロローグを読み上げているらしい。









 長かったプロローグをまとめると……、まず目の前にうかんでいた惑星がゲームの舞台となる「エデン」らしい。そしてエデンには、かつてとんでもない文明が繁栄していたが、「厄災」とやらの影響で崩壊、今の姿になったそうだ。そしてプレイヤーは「異界人」と呼ばれ、この世界を自由に駆け巡る。そんな感じらしい。


 うーむ、厄災とやらがラスボスなのだろうか。かつて繁栄していた文明があったという設定的に未知の技術とかSF要素もありそうだが、初期設定や体験版ではそれに関連する要素は見かけなった。確か1年経った今でもそういった類のものは見つかってないらしいし、今後来るっていうストーリーの進行とかで解放されるのかな?


 プロローグを聞き終え、出てきたウィンドウには『始まりの街「アイアス」に転移しますか?』と表示されている。チュートリアルとかはないのね。まあいいや。『はい』を押す。


 まずは親友と合流して、それから……、などと今後のことを考えているうちに、いつの間にか見知らぬ街に立っていた。ここがアイアスか。とりあえずウィンドウを出して、ステータスでも見て待っているか、と思ったが何かウィンドウに出ている。


「えーと、『異端者を選択したあなたには様々な制約が課されています。しかし、その対価としてあなたには秘匿情報が与えられています。これはあなたの成長やストーリーの進行によって徐々に解放されていき、やがてあなたに大きな力をもたらすでしょう。』ね」


 その制約とやらがデメリット効果のことか。とりあえず目を通してみる。何々……。


「『あなたはこの世界の言語を知らない』?どういうことだ……?」


 続きを読もうと思ったタイミングで親友がやってきた。この街に来るのに俺より時間がかかってるし、なんか装備がしっかりしているこっちはインナー姿だぞ。まさかあっちはチュートリアルがあったのか?


「おっす」


 早速声をかける。変な顔をされた。


「繧?≠縲∝、懃↓」


「え?今なんて言った?」


 あっちの声が変な感じに聞こえる。英語とかそんな感じの言語っぽいんだが、じゃあ英語かと言われるとそうでもない。変な言葉だ。


「どうした?普通にしゃべれよ」


「縺ゥ縺?@縺溘?」


「いや、なんて言ってるかわからん」






ん?ちょっと待て。『あなたはこの世界の言語を知らない』?まさか……。




『あなたはこの世界の言語を知らない』

あなたはこの世界の人類の言語を習得するまで、他のプレイヤーやNPCと会話ができません。また、ウィンドウの操作が一部制限されています。






「なるほどね……」


「ふっっっっざけんなやぁぁぁぁぁ!」


 思わず叫んだわ。え、もしかして詰んだ?

夜火以外のプレイヤーの声は適当に打っています。いつかしっかりとしたルールとか決まりを作りたいですね。


追記

文字化けさせることにしました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
最初が尋常じゃなくキツイ代わりに他の異端者デメリットと違って言葉を覚えさえすればデメリット無しでメリットを享受出来ると...そう考えると大当たりよな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ