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エデン・ヒストリア 〜言語習得から始まるゲーム攻略〜  作者: ラー油
異端者は舞い降り、世界を駆ける
1/79

プロローグ

初投稿・初執筆です。

 フルダイブ型VRゲームが一般的なものとなって数年、多くの人々が仮想現実の世界に魅了された。現実ではありえない経験を得ることができるフルダイブ型VRゲームに老若男女を問わず多くの人々が夢中になった。


 初のフルダイブ型VRゲームが発売され現在まで、名作と呼ばれるものから駄作と呼ばれるものまで数多くの作品が生み出されてきた。


 そんな時代に、とあるVRMMORPGが発売される。


「エデン・ヒストリア」


 「あなただけの歴史を」というキャッチコピー。舞台は「エデン」と呼ばれる惑星。プレイヤーには無数の選択肢が与えられる。レベルを上げ強力なモンスターを倒すもよし。闘技場でプレイヤー最強を目指すもよし。鍛冶をはじめとする生産系に力を注ぐもよし。現実と見間違うほどのグラフィック、完璧といっていいほどに再現された五感、本当に生きているかのようなNPC。


 これまでに発売されたゲームとは一線を画すエデン・ヒストリアは、発売前に配信された体験版から高評価を受け、多くの人々がサービス開始を待ち望んだ。そして、いざサービスが開始すれば、多くの人々がエデン・ヒストリアに魅了された。


 エデン・ヒストリアの人気は、サービス開始から1年程経った今でも衰える様子はない。今日もまた数多くの新規プレイヤーたちがエデン・ヒストリアの世界へ足を踏み入れていた。






「ここが始まりの街アイアスか」


 プレイヤーネーム「ネコ丸」。高校受験を終えた彼は、今日この世界に足を踏み入れたプレイヤーの一人である。


「ん、なんだあの人?」


 多くの初心者が訪れるこの街は、今日もにぎわっていた。そんな街の人目につかなそうな場所に、ウィンドウを眺め、悩んでいる様子の一人の青年がいる。


「何してるんだ、あの人?」


 彼がそこで見たものは、チュートリアルで装備するはずの防具もつけていない初期のインナー姿のプレイヤー「夜火(よか)」。彼はぶつぶつと何かをつぶやきながら、頭を悩ませている。


「あのー、何してるんですか?」


「險?闡峨r隕壹∴縺ヲ繧九s縺?繧」


「え?」


 好奇心で声をかけたら、未知の言語で返事をされたことに驚きを隠せないネコ丸。


 多くの人々がプレイするこのゲームには、言語の自動翻訳機能が搭載されている。外国語はリアルタイムで自分が設定した言語に翻訳されるはずだが、突然知らない言葉で返事をされたことに動揺する。






 もし、私たちが暮らす現実ではない別の世界が舞台のゲームで、その世界独自の言語が発達しているという設定があったとする。きっとその言語についての知識がなくともゲームをプレイするのには何一つ問題ないだろう。







 だがもし、その世界独自の言語についての知識を持つことが求められたら?ゲーム側から何一つサポートされることなくその知識を身につけろと言われたら?あなたはそのゲームにどんな評価を下すだろうか?






 なぜ夜火の言葉は未知の言語に聞こえたのかネコ丸が頭を悩ませている間も彼はウィンドウをにらみつけ何かを考えている。しかし突然、様子が変わる。


 夜火は体を震わせながら立ち上がり、何かを操作して―――


「ついに……。ついに……終わった……。ようやく言葉を覚えたぞ!!!」


今度はネコ丸にも聞こえる言語で、そう叫んだ。






 夜火


 彼は少しだけ有名プレイヤーだ。その理由は単純。






 彼がこの街を訪れてから今日まで、彼は初期のインナー姿のままアイアスにとどまっていて、未知の言語を話していたからだ。






 これは軽い気持ちで選んだ初期設定によって、この世界独自の言語の習得を強制され、約1ヶ月もの間始まりの街にとどまることとなったプレイヤーの物語だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白そうな設定ですね!
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