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九十九話

母親であるマリアンヌがそろそろ出産という頃に公爵領全体を揺るがす知らせが入った。

隣国であるマールタル王国が戦争を仕掛けてきた。

公爵であり父親であるシュタイナーが騎士団を伴って出陣したというものである。

迷宮都市アリスからも支援の為、北と西を守護する騎士団が出撃準備をしている。

支援物資として食料やら回復薬やらを軍が集めている。

その影響は当然、民にも広がる。

ただで、さえ食料の備蓄が少なくなってくる時期だ。

そこでシュバルツは祖父であるオグワールにある相談を持ち掛けた。

「僕の備蓄している食料や回復薬を提供できますがどうしますか?」

「お主が危険に晒されないか?」

祖父であるオグワールの懸念はもっともだ。

シュバルツを守る為に隠し続けていた秘密の一部を暴露するようなものだ。

「では、残った騎士団や衛兵で押さえつけますか?」

短期間であればそれも可能だろう。

だが、統治に影響を与えるのは間違いない。

「すまぬな」

オグワールはシュバルツに頼ることを決めた。

シュバルツは異空間に入り倉庫から大量の食料と回復薬をアイテムボックスに入れて戻ってきた。

この城にはいくつかの倉庫があるのだが物資を持ちだした後の為、空いている倉庫がある。

そこにシュバルツは持ちだしてきた食料と回復薬を出していった。

「お主がおれば戦略が覆りそうだな」

この時代、戦争が起きた際に籠城戦というのも珍しくない。

籠城側が粘り勝つか包囲側が粘り勝つかというものだ。

どちらも肝になってくるのは消耗品をどれだけ集められるかだ。

シュバルツがいればそれが覆る。

軍事的に見てそれほどシュバルツの備蓄というのは恐ろしいものだった。

「不足しているならまだまだありますけど?」

「いや、誤魔化すにしても時間は置いた方がいいだろう。今回はこれで十分じゃ」

「それでは僕は迷宮に行ってきますね」

「うむ。ほどほどにの」




シュバルツはパーティーメンバーと合流して迷宮に入った。

だが、フランから怒られてしまった。

自分では平静を保っているつもりでも父親であるシュタイナーが出陣したことにより動揺していたらしい。

本音で言えば駆けつけて力になりたい。

だが、年齢を考えれば誰もが止めるだろう。

今は少しでも力をつけるべき時期だ。

冒険者組合で実績を積み重ねランクを上げて世間から認められる。

将来的に必要になると思えることを1つ1つこなしていくしかない。

シュバルツは心を落ち着け目の前の魔物に意識を集中した。

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