九十四話
シュバルツ達はいつものように冒険者組合でオークを換金していた。
そこで解体所の職員からあるお願いをされた。
「お前さん達、牛蛙を倒してきてくれないか?」
「牛蛙をですか?」
「あぁ。オークと大して強さはかわらない。肉の値段も変わらないが肝が薬の材料になってな」
「なるほど・・・。薬の材料が足りないのですね」
「話が早くて助かるよ」
説明しておくとこの世界にいる魔物の牛蛙はその名の通り牛ぐらいのサイズがある。
だが肝心の薬になる肝は少量しか取れない。
大量に運ぶ手段がなければ他の魔物を倒す方が利益になったりする。
「大した力にはなれないが指名依頼扱いにするから頼んだよ」
解体所の職員はそう言って作業に戻っていった。
3人にはいつものように酒場で待ってもらいシュバルツが受付に並ぶ。
順番はすぐに回ってきた。
シュバルツは票を渡し受付嬢は袋に入った貨幣を取りに行く。
戻ってきた受付嬢はシュバルツにお礼をいう。
「冒険者組合の依頼を受けていただきありがとうございます」
「いえ、手間もそれほどかかりませんから」
「最近の冒険者は利益ばかりを追い求める人が多くて・・・」
「それは仕方ないでしょう。冒険者も食べていかなくてはいけませんから」
冒険者というのは金を稼げるように見えてそうでもない。
多くの冒険者はマジックバックなど持っていないし装備の維持にもお金がかかる。
怪我をした間、しのぐだけの貯金も必要になってくる。
「大丈夫だとは思いますが気を付けて行ってきてください」
「はい。それでは」
シュバルツは3人を迎えに行って帰路についた。
いつものように夕食後、異空間で修業をして眠りにつく。
翌日、朝食を食べてから牛蛙が出る迷宮に向かった。
迷宮を管理する兵士にDランクの冒険者であることを証明し中に入る。
入り口近辺では同業者の姿が見える。
シュバルツ達は効率よく狩る為、迷宮の奥へと向かった。
途中、休憩を挟んだりはしたがアイテムボックスがいっぱいになるまで牛蛙を狩った。
女性陣3人も牛蛙に対するマイナスなイメージはないらしく問題が起きることはなかった。
最後に脱出の転移陣を使うためにボス部屋へと挑む。
そこには大量の牛蛙が溢れていた。
全て討伐して次々にマジックバックに収める。
ボス部屋の情報は仕入れていたので計画通りだった。
冒険者組合で牛蛙を全て引き取ってもらった。
シュバルツ達があまりにも多くの魔物を収める為、人員を新たに雇ったらしく無事に全てを引き取ってもらえた。