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八十七話

少年は剣を大きく振りかぶり突撃してくる。

シュバルツは必要最低限の動きで躱す。

大きくバランスを崩した少年にあえて何もせず構えるのを待つ。

やるなら徹底的に心を折らなければ意味がない。

その後も、少年は力任せに剣を振るうがシュバルツに届くことはなかった。

「はぁはぁ・・・。どうなってやがる?」

「もう、気は済んだかい?」

「まだまだ・・・」

少年はそう言って突撃してくる。

シュバルツはそれをかわし、軽く少年を小突いた。

少年はバランスを崩して転んでしまう。

「やりやがったな・・・」

結構な勢いで転んだはずだが闘志はまだ衰えないらしい。

ガッツは中々あるようだ。

シュバルツは少しだけ本気を出すことにした。

少年が打ち込んでくるのに合わせて剣を振るい少年の剣を大きく弾く。

何度もそれを繰り返す。

「畜生。お前、何なんだよ・・・」

少年は肩で息をしながら叫んでくる。

最後にシュバルツは少年の剣を吹き飛ばして首筋に剣を当てた。

「どうしますか?」

「糞・・・。お前が強いのはわかった。でも、諦めるわけにはいかないんだ」

「ふむ・・・。何やら事情がありそうですね。よかったら話してみませんか?」

「お前に言っても何もできやしないさ」

「これでも僕はこの地を治めるクロイツェン公爵家の一員です。領民が困っているなら力になりましょう」

「なっ・・・」

少年はシュバルツが名乗ったことにより顔を青くしている。

ただの子供だと思っていたのが貴族だった。

普通の人は貴族には絡まない。

難癖をつけられて特権で裁かれるなんて今のこの時代、珍しくもない。

「どうしますか・・・?」

少年は真剣に悩んでいるようだ。

自分の命より大切な物があるのだろう。

「い、妹が病気なんだ・・・。治すために金がいる」

「なるほど・・・。とにかく一度、妹さんを見てみましょう」

「本当に助けてくれるのか?」

「えぇ。これでも回復魔法の使い手ですからね」

シュバルツは気軽く請け負った。

「ところで、君の名前は?」

「カインだ」

「僕はシュバルツ。よろしくね」

「シュバルツ様。よろしいのですか?」

「手に負えなければ教会を頼ろう」

冒険者組合を出たシュバルツ達はカインを追いかける。

カインの家は貧民街にあるらしい。

カインは辛うじて雨風がしのげるであろう家に入っていった。

「今帰ったぞ」

「げっほごっほ。お兄ちゃん・・・お帰り」

かすれた声で女の子の声がする。

だいぶ妹さんの体調は悪そうだ。

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