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五十八話

「話を戻そう。受け入れてもらえるかの?」

「えぇ。私は異存はありません」

仮面の貴婦人は頷く。

先ほどの脅しもあるがゴルゴンも仮面の貴婦人に逆らえないのか了承した。

「上手く話しがまとまってよかったわい」

「それにしてもその歳でこれほどの人物とは。恐ろしいものです」

「自分の感情を制御できない未熟者ですよ」

「それを自覚しているなら十分でしょう」

仮面の貴婦人は恐ろしい人物だ。

さり気なく観察していたが得体のしれない何かを感じ取っていた。

「おまけ。というわけではないですが、困った依頼がありましてね」

仮面の貴婦人は明るい調子で喋り出す。

「公爵家の関係者を殺してくれという依頼なのですが」

「なんじゃと・・・?」

「まぁ、最後まで聞いてくださいよ。その依頼を断ることにしましたから」

対象は恐らくシュバルツとマリアンヌなのだろう。

「その心境は?」

「将来有望そうな若者です。我々ともうまく付き合ってくれることを祈っておりますよ」

仮面の貴婦人はそれだけ言って部屋を出ていった。

ゴルゴンは慌てて追いかけていく。

「ふむ。怪我の功名というべきかの」

「お爺様。あの人物は只者ではありませんね」

「本気で狙われていたら守りきれるか不安が残るところじゃった」

しばらく沈黙が部屋を満たす。

空気をかえるようにシュバルツは声を出す。

「さて、これで2人は自由の身です。頑張ってくださいね」

「ありがとうございます。このご恩は忘れません」

ミミとシズノはそう言って感謝の言葉を述べてくる。

「そろそろ戻りましょうか」

「はい」

シュバルツは3人を連れて練兵場に戻った。

解放された気持ちからかミミとシズノは張りきっているように見える。

それを見てシュバルツの気持ちは救われていた。

身を守る為にこの街にきたが敵はまだ諦めていなかったのだ。

安全を守る為には兄妹達の言う通り排除するしかないのだろうか。

身内同士で争うのは愚かしいことだ。

できることならこのまま放っておいてほしい。

時間はシュバルツの味方ではあるが不意をつかれたら母であるマリアンヌを守れないかもしれない。

その日からさらなる力を求め、修行空間への滞在時間が増えていった。

その様は見守っているクロが心配する程である。

クロからの相談を受けて神々も議論をかわしていた。

そして1つの決断を下した。

不届き者の心にどうか届きますようにとの願いを込めて。

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