五十一話
無事に冒険者組合で換金を終えたシュバルツとフランは帰ろうと冒険者組合の外に出る。
だが、騒ぎが起きていることに気づいた。
「何事でしょうか?」
シュバルツとフランは気になり騒ぎの中心に向かっていく。
「お前ら見せもんじゃねえぞ」
騒ぎを起こしていると思われる男がそう言い放つ。
「はなしてください・・・」
そう弱弱しく言っているのはミミとシズノだった。
「今日が借金の期日だ。金が払えないなら奴隷になるしかないんだよ」
どうやらミミとシズノが危険を冒してまで森で採取をしていたのはお金の工面の為だったようだ。
「お金なら準備できますから」
「そう言って逃げ出すつもりなんだろう」
男達は2人を逃がさないようにがっちり手を掴んでいる。
年頃の女の子が奴隷になったらどういう目にあうかはあきらかだ。
「どうしますか?」
「関わったのに無視するのもね。幸い、お金には余裕がある」
借金の全額を払うのは難しいかもしれないが利息分ぐらいは払えるだろう。
「お前達。ちょっといいか」
「げっ。騎士かよ」
男達はフランの格好を見て嫌そうな顔をする。
奴隷商というのは後ろ暗い商売だ。
ましてや取り立てなんてしてる連中の立場はかなり悪い。
騎士であるフランを見て警戒するのも無理はない。
「こちらのお方が用があるとのことだ」
シュバルツはそこで前に出る。
「餓鬼がなんのようだ?」
「不足している額はいくらですか?」
「1人銀貨10枚。2人合わせて銀貨20枚だ」
その額はかなり高い。
恐らく闇の金貸しだろう。
だが、ここで不正を問い留め揉めるのも面倒だ。
「銀貨20枚ですね」
シュバルツは銀貨20枚を取り出し男に渡す。
「確かに受け取ったぜ」
男達は早々に去って行った。
「シュバルツ・・・。助けてくれてありがとう」
ミミとシズノは申し訳なさそうな顔をしている。
「いえ、2人共怪我はありませんか?」
「うん。大丈夫」
「こんな時間ですし、よかったら僕の家に来ませんか?」
「いいの?」
「迷惑じゃないですか?」
「迷惑だなんて。部屋なら幸い沢山ありますから」
「宿代も正直きつかったんだ。助かるよ」
「それでは行きましょうか」
フランは何も言わなかった。
一般街を抜け高級街へ抜ける。
警備の兵は素通ししてくれた。
高級街を抜け4人で城への道を歩いていく。
「ねぇ。どこまで行くの?」
「もう少しですよ」
シュバルツはあえて行き先を継げなかった。
きっといえば2人は遠慮する。
そしてとうとう城へとたどり着く。
「ここって・・・」
「ここが僕の家です」
シュバルツはにっこり笑いながらそう告げたのだった。