四十六話
「本日のご用件はなんでしょうか?」
受付嬢は先ほどの騒ぎなど知らないとばかりに対応してくる。
「魔石の買取と討伐証明部位の提出。それと森で取れた物の買取をお願いします」
「こちらの札を持って解体所へ行ってください」
「はい」
シュバルツとフランは裏の解体所へ向かう。
解体所の職員に声をかけ成果物を取り出していく。
魔石はもちろん討伐証明のゴブリンの耳。
薬草に食べられる果物などだ。
「少しお待ちください」
解体所の職員は手慣れた手つきで品質などを調べていく。
「どれも状態がいいですね。これを持って受付に戻ってください」
「ありがとうございます」
解体所の職員は感心していた。
昨日の時点で職員の間でちょっとした話題になった。
大量の魔物素材の搬入。
需要はあるのに素材が集まらなかった。
それを解消できるかもしれない新人冒険者。
期待するなというほうが無理だろう。
きっと、あっという間にランクを駆け上がっていくだろう。
受付に再び戻ったシュバルツとフランは列に並ぶ。
ほどなくして受付嬢に呼ばれ解体所で受け取った紙を渡す。
「少々お待ちください」
受付嬢はそう言って席を外し袋を持って戻ってくる。
「こちらが報酬となります」
「ありがとうございます」
受け取った袋は今日もずっしりと重い。
シュバルツとフランは冒険者組合を後にする。
今日は遅くなってしまった。
夕ご飯には間に合わないかもしれない。
そんなことを思いつつ城への道を歩ていく。
「ちょっと待てよ」
後ろから声をかけられる。
誰かつけてきているなと思ったら冒険者組合で絡んできた男だった。
「また、貴方ですか・・・」
「かなり儲けたみたいだな。金を置いてけよ」
「それは恐喝で犯罪ですよ?」
「力のない奴は何を言っても無駄だ」
そうって男は剣を抜く。
「どうしようもない男もいたものです」
フランは胸元から笛のようなものを取り出す。
それを口に咥えて鳴らすと「ぴっー」っと音がなる。
「てめぇ・・・」
男はどこか焦ったような態度をとる。
しばらくすると笛の音を聞きつけた衛兵達が集まってきた。
フランは冷たく言い放つ。
「恐喝の現行犯だ。捕縛せよ」
衛兵達はあっという間に男を取り押さえ手に縄をかける。
「シュバルツ様が望めば刑を追加できますがどうしますか?」
冒険者として活動しているときは貴族というのを出したくない。
「いや。いいよ。処罰は任せる」
「わかりました」
シュバルツとフランは後は衛兵達に任せ城への道を急いだ。