四十三話
日中、フランと共に魔物を狩ったシュバルツであるが物足りなさを感じていた。
そんなわけでゴブリンの洞窟に向かい存分に暴れまわる。
どれだけ狩ってもゴブリンが尽きることはない。
シュバルツは魔法と剣と槍をバランスよく使う。
どれか1つを突出して鍛えることも可能だが色々出来た方が戦略の幅が広がると思うからだ。
本音では弓の腕も磨きたいが1人では接近された際に危険なので諦めている。
ここのところ武神のアシストは使っていない。
恩恵ポイントの消費の問題もあるが今の体では武神の技術を全て吸収するのが難しいからだ。
それに、最適解を常に得続けるのはただして正しいのか。
最短で強くなるにはいいのだろう。
だが、時間は無限にあるのだ。
自分自身の力で試行錯誤し努力することに意味がある気がするのだ。
そんなことを考えながらゴブリンを倒し続けた。
休憩の為に修行部屋に戻ってきたシュバルツにクロが当然のように語りかけてくる。
「毎日、頑張ってるにゃね」
「自分は才能があるわけではないからね」
前世で運動は嫌いではなかったが成長するにつれ運動する時間などなくなっていった。
平和な日本という国に生まれこの世界のように戦う必要などなかった。
学歴も大して高くない。
そんな自分が出来ることはコツコツ頑張ることだ。
日々の努力が結果に繋がる。
努力は決して自分を裏切らない。
「錬金術の神と魔神から伝言にゃ。恩恵ポイントで交換できる物に錬金術書と魔術書を追加したらしいにゃ」
「本当?それはありがたいな」
錬金術も魔術も新たな師を得たことで出来ることが増えている。
それでも年齢を理由に教えてもらえることは限られていた。
この空間ではどれだけ無茶をしても問題ない。
シュバルツは早速、リストから本を選ぶ。
錬金術書は次の通りだ。
初級 1000ポイント。
中級 5000ポイント
上級 10000ポイント。
シュバルツはお試しで初級の本を購入する。
魔法書も似たような感じだった。
とりあえず全属性の初級本を購入した。
まずは、魔法から試してみようと本読んでいく。
読んだら実際に試してみる。
イメージがうまくできていないのか失敗することもあったが諦めずにトライする。
シュバルツは初級の魔法を全て使えるようになるまで修行部屋に留まった。
その期間は実に半年ほどの時間だった。
クロはその姿を見て呆れていた。
よくも飽きずに続けられるものだなと。