四十一話
迷宮に早く入りたい気持ちもあるが今のランクでは入場することができない。
実績を積み上げてランクを上げる必要がある。
幸いにも常設依頼として魔物の納品がある。
そういうわけでシュバルツとフランは迷宮都市アリスの外に広がる草原にきていた。
「シュバルツ様。ここでは、スライムや角兎などの弱い魔物ばかりです」
シュバルツが気配探知で気配を探るとあちらこちらに魔物の反応がある。
「ここはいい狩場ですね」
「この街に来る冒険者は迷宮が目的であまりこちらには来ませんから」
「よし。早速、狩っていこう」
シュバルツは無詠唱で魔法を使う。
使い魔法はマジックアローの改良型であるマジックミサイルである。
マジックミサイルは追尾機能があり大雑把に撃っても魔物にあたる。
「シュバルツ様。魔法も使えるのですね。それも無詠唱で」
「えぇ。真面目に練習してきましたから」
倒したスライムを回収に向かう。
スライムの死骸から魔石を回収してフランが鞄にしまう。
「その鞄は・・・・?」
「マジックバックです。お館様が必要になるだろうと用意してくれたんです」
シュバルツはアイテムボックスを持っているがこれはあまり公表しない方がいい情報だ。
「お爺様には感謝しないと」
「さぁ。次々行きましょう」
フランのテンションが高い。
嫌々付き合っているのでないと知れて安心した。
シュバルツは魔法以外にも剣と槍も試してみる。
わかっていたことではあるがここいらに魔物では敵にならない。
途中、フランから魔物の解体の仕方を教えてもらいながら夕方まで狩りを続け換金の為に冒険者組合を訪れる。
冒険者組合は冒険を終えた冒険者でごった返していた。
「これは時間がかかりそうですね」
「そうですね・・・」
「シュバルツ様。私が並ぶのであちらで休んでいてもいいですよ?」
そう言って示された先は酒場だった。
酒が入っているのか騒いでいる冒険者もいる。
「いえ、初めての換金ですし僕も付き合いますよ」
ほどなくして順番となる。
「ご用件はなんでしょうか?」
「魔石と魔物の素材の引き取りをお願いします」
「わかりました」
「ここでは出しきれないので広い場所はありますか?」
「裏手に解体所がありますのでこちらの札を持って行ってください」
「ありがとうございます」
シュバルツとフランは裏手にまわる。
そこは広い空間となっておりここなら成果の魔物を全て出せそうだった。