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三十九話

「シュバルツ。お前のことはシュタイナーから聞いている。魔法に剣と槍。弓術も頑張っているそうだな?それは先ほどの戦いぶりを見ていればわかる。だが、同時に心配でもある」

「えっ?」

「人の憎悪とは恐ろしい。特に力を持った権力者のそれは想像を絶するほどだ」

「そうなのですか?」

「儂も長い間、政治の世界にいたからな。シュタイナーに家督を譲るまで心が安らぐ日はなかったよ」

祖父が長い間、苦しんでいたのが言葉の端々から感じ取れた。

「お爺様・・・」

「お前の父であるシュタイナーには兄妹がおった。政治に巻き込まれて亡くなった者もおる・・・。儂はこれ以上、家族を失いたくないんじゃ」

「僕は死にません。家族を守ってみせます。その為には力が必要です」

「その通りじゃ・・・。それで迷宮に挑みたいのか」

オグワールはシュバルツが生き急いでいるように映る。

「お前はまだまだ幼いんじゃ。儂の目が黒いうちは守ってみせる」

先ほどまでの沈んだ雰囲気と違い覇気に満ちた強い目をしている。

「お爺様。ありがとうございます」

「お前に同行する騎士を選抜するから少し待ってくれ。防具や武器も用意させよう。じゃが、必ず無事に戻ってくるんじゃぞ」

「はい」

シュバルツはオグワールの温かい心に触れて元気をもらった。

やる気が全身に満ちているのがわかる。

一度、自室に戻り修行部屋へと移動する。

「にゃんにゃ?いいことでもあったかにゃ?」

クロはそう惚けてくるがシュバルツは気にしない。

「ええ。とっても」

シュバルツは装備を確認してそのままゴブリンの洞窟に移動した。

襲いかかってくるゴブリンを魔法と剣で次々に仕留めていく。

まだまだ足りない。

もっともっと強くならなければ。

シュバルツは休憩を挟みつつもアイテムボックスがいっぱいになるまで狩りを続けた。

修行部屋に戻ったシュバルツを寝ころんだ姿勢でクロが出迎える。

「お疲れにゃ」

「今日はこれぐらいにしとこうかな」

「あんまり根を詰めすぎないようにするにゃ」

「心配してくれてありがとう」

そう言ってシュバルツは現実世界に戻っていった。

少しのんびりすると食事ができたと使用人が呼びに来る。

席には母であるマリアンヌが座っている。

オグワールの姿はなかった。

それが寂しかった。

あまり親しくしていると敵を刺激する。

オグワールなりの不器用な優しさなのだろう。

用意されていた料理は豪華な物だった。

シュバルツは食べ過ぎと思えるぐらい料理を堪能するのだった。

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