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三十五話

「迷宮都市は私の父。つまり、お前のお爺さんが管理している」

「今からお会いできるのが楽しみです」

「最初はいい顔をしないだろう。だが、頑張るんだぞ」

「はい」

話が終わったところで廊下からどたばたと足音がする。

扉が乱暴に開かれる。

「シュバルツ。無事か?」

「怪我はない?」

そう言って入って来たのは兄妹達だった。

全員と一度に会うのははじめてだ。

「お前達・・・」

シュタイナーはそう言ってため息をついている。

「僕なら元気ですよ」

「必ず犯人は突き止める」

その言葉にシュタイナーは止めに入る。

「その意味はわかっているのか?」

「母上達の誰かでしょう。実の母親だったとしても許せることではありません」

兄妹達の気持ちはありがたい。

だが、実の親子で殺伐とした関係は望んでいなかった。

「そのお気持ちだけで嬉しいです」

「お前達にも言っておく。シュタイナーとマリアンヌを避難させることにした」

「場所はどこですか?」

「迷宮都市の予定だ」

「迷宮都市・・・。なんでそんな場所に」

「これ以上、犯人側を刺激しないためだ」

「もっと別の場所もあったでしょう」

兄妹達は納得していないようだ。

「それはそうだが・・・。シュバルツが頑張っているのは知っているな?」

「はい。毎日見てましたから」

「様々な人に触れ多くの経験を積み成長してほしいのだ」

獅子は我が子を千尋の谷に落とすともいう。

「僕は大丈夫です。必ず成長して戻ってきますよ」

「あぁ・・・。せっかく仲良くなったのに・・・」

「定期的に手紙を送りますから」

「絶対よ。忘れたら許さないからね」

「はい」




それからはシュバルツは異空間で修業をしつつ現実世界でも忙しく動き回った。

数日後、迷宮都市に向かうために馬車に乗り込む。

シュタイナーは勿論のこと他の兄妹達も見送りに来てくれた。

「忘れ物はないな?」

「はい。ありません」

「マリアンヌお母様。どうかお体を大切にしてください」

「ええ。ありがとう」

「そろそろ出発いたします」

御者がそう言い馬車は動き出した。

周囲は護衛の騎士達が固めている。

シュバルツは窓から身を乗り出し見送ってくれる家族に手を振り続けた。

姿が見えなくなり姿勢を正したシュバルツにマリアンヌは語りかける。

「こんな風に見送ってもらえるなんて思わなかったわ」

「へへ。皆、いい人達ですよ」

「そうみたいね」

マリアンヌとシュバルツはゆっくり会話を楽しみながら馬車の旅を満喫していた。

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