二十七話
シュバルツは今日もシェリー姉様と本を読んでいた。
今、読んでいるのは昨日に引き続き錬金術関係だ。
専門用語がでてきたりして詰まるとシェリー姉様が解説してくれる。
「錬金術の本は面白い?」
「興味深いです。出来るなら実際にやってみたいですけど」
「そう。なら、アルシェ姉様のところに行ってみましょう」
シェリー姉様はそんなことを言ってくる。
「アルシェ姉様って錬金術をやっているんですか?」
「一言で言えば錬金術馬鹿」
シェリー姉様からそんな悪口が出るとは予想外だった。
図書室を出てきたことのない区画をあるく。
しばらく歩くと独特な匂いがしてくる。
「はぁ・・・。何度嗅いでもこの匂いは慣れないわね」
シェリー姉様は1つの扉を躊躇なく開いて中に入っていく。
シュバルツもそれに続いた。
「あら。シェリーがここに来るなんて珍しいわね」
「今日は見学にきたの」
「そっちの子は?」
「弟のシュバルツ。いつか会ってみたいっていってたじゃない」
「あらあら。貴方がシュバルツなのね。可愛い顔して」
何やら肉食獣に見られているような気分になってくる。
「手を出したらダメだからね」
シェリー姉様はそう言って釘をさしていた。
「アルシェ姉様。はじめまして。錬金術にお詳しいんですか?」
「私は新薬の開発をメインにしているの」
「新薬ですか・・・?」
「この世界にはまだまだ脅威となる病気があるわ。私はそれらを治せる薬を作りたいのよ」
どこの世界でも病気はある。
それはこの世界でも変わらないようだ。
「シュバルツは錬金術に興味があるの?」
「はい。出来ればやってみたいんですけど」
「そうね・・・。簡単な薬を作ってみましょうか」
「いいんですか?」
「いいのよ。未来への投資というところね。貴方の発想が私の夢を実現してくれるかもしれないし」
アルシェ姉様は本気でそう思っているようだった。
「よろしくお願いします」
準備を終えたアルシェ姉様の指示で薬草をすり潰す。
すり潰した薬草の量を図り別の容器に移す。
続いて魔石を砕き重量を図った後、容器に入れてかき混ぜる。
液体の色が深緑色から青に変わる。
最後に保存の為の瓶に出来上がった薬を入れる。
出来上がった薬を鑑定してみる。
回復薬 ランクG-(Gマイナス)となっていた。
「これが錬金術・・・」
「思っていたより簡単でしょ?」
「はい」
「他にも作ってみたい物があったらいってね。手伝ってあげるから」
「ありがとうございます」
シュバルツのスキルに錬金術G-(Gマイナス)が増えていた。