二十五話
森エリアには様々な動物や使えそうな草が生えていた。
全てを確認したわけではないが食べられそうな果物や木の実などもありそうだ。
適当な草に鑑定をしてみると薬草と出る。
動物はとりあえず放置して次々に草に鑑定をかけていく。
精霊の目も試してみる。
木で遮られた先も遠くまでよく見える。
たまたまそこにいた動物が微弱ではあるが魔力を放っているのも確認できた。
使い方によっては色々便利に使えそうだ。
シュバルツはアイテムボックスがいっぱいになるまで森の探索を続けた。
そろそろアイテムボックスのランクを上げてもいいのかもしれない。
恩恵ポイントは魔眼関係で大量に使ってしまったのでまた貯めないといけないが・・・。
修行部屋に戻ったシュバルツは倉庫に移動してアイテムボックスのアイテムを保管した。
「ふぁ・・・」
思わず欠伸が出る。
今日のところはそろそろ寝ようと現実世界に戻って眠りに落ちた。
翌日、ぎりぎりまで惰眠をむさぼったシュバルツは食事をとり魔法を教えてもらうためにリリーを待つ。
「おはよう」
「おはよございます。そちらの方は?」
「シスターのフルンよ。今日は回復魔法を教えてくださるわ」
「よろしくお願いします」
フルンは籠を持っていた。
中に入っているのは鼠だ。
「まずはお手本を見せるわね」
そう言ってフルンは中の鼠を取り出すと傷つける。
「かの者の怪我を癒したまえ。ヒール」
すると鼠の傷はあっという間に治る。
「それでは実際にやってみましょう」
どうやら鼠を使っての実地練習のようだ。
フルンは再び鼠に傷をつける。
シュバルツは手をかざし魔法を唱える。
「かの者の怪我を癒したまえ。ヒール」
シュバルツの放った回復魔法では完治しなかった。
「もう一度」
シュバルツはもう一度回復魔法を放つ。
今度は傷を完治させることができた。
「反復練習が重要です」
フルンは再び鼠に傷をつける。
シュバルツは言われた通り何度も回復魔法を使用する。
昼間まで鼠の受難は続いた。
「本日はこれぐらいにしときましょう」
「ありがとうございました」
「明日は教会にお越しください」
フルンはそう言って帰っていった。
「なんで教会に?」
「教会には奇跡をすがって怪我人や病人がやってくる。その手伝いをして回復魔法の練度をあげろってことだよ」
リリーはそう説明してくれた。
人相手は少し緊張するな。
後で修行部屋で練習しよう。
そう決めたシュバルツであった。