十八話
シュバルツは自重せずにスライム狩りを続ける。
経験値は少ないのだろうが狩猟本能が刺激されているのか苦にならない。
それと同時にそこらに生えている草も鑑定のスキルで調べる。
使えそうな雑草は生えていないが色々な種類があるのだなと思う程度だ。
薬草なんかを集めたいなら恩恵ポイントを消費して森を開放する必要があるのかもしれない。
まぁ、今はそんなことはどうでもいいか。
遊びでマジックアローを放つ。
マジックアローは弧を描きながらスライムに向かっていく。
追尾機能が追加されておりシュバルツはこれをマジックミサイルと呼称している。
マジックミサイルはスライムを捕らえ爆発した。
「よし。いい感じだな」
追尾するマジックアローというのは実は既に存在していたが爆発まではしない。
シュバルツのオリジナル魔法だった。
他の初級攻撃魔法もアレンジできないかと色々やっている。
例えば火属性の初級攻撃魔法ファイアアロー。
普通のファイアアローは精々触れた部分が火傷をする程度のものだがシュバルツの物は違う。
標的に当たると魔力が広がり死ぬまで燃え続ける。
シュバルツはこれをナパームアローと名付けた。
誰も止めず人が居らずこんな感じで遊び感覚で凶悪な魔法を生み出し続けている。
目標としていた多重詠唱もいつの間にか取得していた。
多重詠唱にもランクがあるようでG-(Gマイナス)となっていた。
満足したシュバルツは修行部屋へと帰還した。
「どうだったにゃ?」
「いやぁ。楽しかったよ」
「それはよかったにゃ」
「そろそろ1回戻るね」
「また来るのにゃ」
シュバルツは体感時間で数か月を過ごしたのち現実世界に帰還した。
神々は悠久の時を生きているわけでシュバルツの滞在期間を気にするものは誰もいなかった。
運動場に出ると騎士達の訓練に混じって父親であるシュタイナーが剣を振るっていた。
シュバルツはじーっとその姿を見る。
視線に気づいたのかシュタイナーが機嫌良さそうに近づいてきた。
「そんなに見てどうした?」
「僕も武術を学んでみたいです」
予定では7歳で習うことになっている。
だが、そこまで待つのは待ち遠しい。
というわけで我儘を発動してみた。
「うむ。まだ早い気もするが体力作りを頑張っているしな。基本だけでも教えてあげよう」
「ありがとうございます」
シュバルツはすかさずカウンター(素振り)を取得して心の中でガッツポーズをするのだった。