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百六十八話

兄妹達が慰問に向かうとのことでシュバルツはそれに同行している。

周囲は騎士達が固めており安全は確保されている。

だが問題がないわけではなかった。

多くの遺族は受け入れてくれたが、精神的に不安定となっており、罵声を浴びせかけてくる人もいる。

騎士達は止めようとしたが、シュバルツ達はその罵声を受け入れ落ち着くまで話を聞いていた。

守るべき領民を守れなかったの事実だからだ。

クロイツェン公爵家に落ち度がなかったとしても事実は事実として受け入れる。

全ての遺族のもとを訪れ謝罪を続けた。

城に戻ってきたのはすっかり日が落ちた時間だった。

「皆、お疲れ様」

「お疲れさまでした」

遺族の怒りを受け止め続け精神的な疲労がなかったわけではない。

だが全員が不満を言うことなく気持ちを入れ替えていた。

「さて、明日からはどうする?」

「迷宮都市に来たんだから迷宮に行ってみたい」

「ふむ・・・。気持ちはわかるけどそれはやめておいたほうがいいだろうな」

「何でですか?」

「公爵家の権力でごり押しをすればいけるだろう。だが、多くの冒険者はそれを良く思わないだろう」

シュバルツの例のように冒険者組合はランクを重要視する。

そこには権力者だからといった理由はない。

実績が全ての世界だ。

そこでシュバルツは代替え案を出す。

「迷宮は無理でも草原ならいけるのでは?」

草原は冒険者になりたての初心者が行く場所だ。

冒険者の真似事をするなら十分だろう。

「私はそれがいいと思う」

「私達は残るわ」

そう言ったの姉様達だった。

「何かしたいことでもあるのかい?」

「ええ。上質なシルクがあるって聞いてね」

「そうそう。見せてもらったけどあんな上質なシルクは今まで見たことはないわ」

「へぇ・・・。迷宮都市アリスでシルクが手に入るとは聞いたことがなかったけど・・・」

シュバルツは事情を察した。

恐らく使用人の誰かが姉様達に話したのだろう。

シュバルツとしては姉様達にシルクを提供してもいいだろうと考えている。

後で準備しておこうと心のメモに書きこんだ。

不公平にならないように兄様達にも何か用意したほうがいいだろう。

「兄様達は何か欲しい物はないんですか?」

「そうだなぁ。シュバルツが送ってくれたナッツや木の実はよかった」

「後で用意しときますね」

倉庫区画にはまだまだ在庫があるのでそれを放出すればいいだろう。

明日の予定も決まったところで食堂に移動して兄妹全員で夕食を食べた。

自室に戻ったシュバルツは異空間に移動して、兄妹が欲しがっていた物や気に入りそうな物をアイテムボックスに入れていった。

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