百五十一話
食事をとり、マリルと共に城を出る。
店のある地域に到着するとマリルは迷うことなく、1つのお店にはいって行った。
そこにはぬいぐるみがいっぱいある。
マリルは、様々なぬいぐるみを手にとっては棚に戻すを繰り返していた。
シュバルツを思い出したように、マリルが話しかけてくる。
「シュバルツ様は、どれがいいですか?」
「う~ん・・・。この黒猫がいいかな」
何となく獣神であるクロを思わせる人形である。
「なるほど・・・。そういえば、修行部屋にいる猫ちゃんに似てますね」
「そうそう、可愛がりたいんだけど、撫でさせてくれないからね」
クロは、神というだけあって気位が高いのだ。
気安く触らせてはくれない。
「よし、私はこの子にします」
そう言って、マリルが手に取ったのは茶虎の猫の人形だった。
それぞれ、猫の人形を購入して抱えながら店を後にする。
「まだ、時間はあるけど、どうする?」
「最近、人気の喫茶店があるのでそこに行きましょう」
マリルに案内され、オープンテラスのある喫茶店に入る。
席に座り、飲み物を注文する。
飲み物が出てくるまで、マリルはずっと購入した茶虎の猫人形を撫でていた。
その後は、適当に店をまわり、ブラブラする。
意外なお店もあったりして、楽しい一時を過ごした。
城に戻ってきたシュバルツは今度はレベッカと街に出かける。
レベッカが連れてきたのはオペラハウスだった。
楽団による演奏が奏でられている。
この世界にきてから、音楽を聴くのははじめてだ。
前世では学校のイベントでホールで演奏を聴いたことはあるが、特に何も感じなかった。
だが、こういうのも悪くないなと思う。
演奏が終わり、オペラハウスを後にする。
「シュバルツ様。どうでしたか?」
「何て言うか、迫力があったね」
「それがまたいいんですよ」
「機会があったらまた来たいな」
「はい。その時は是非、お供させてくださいね」
5人とのデートのようなものを終えた、シュバルツは自分の部屋にいた。
慣れないことをして、精神的な疲労のようなものを感じる。
だが、それぞれ、楽しんでくれたようでよかった。
ベッドで横になるといつの間にか、眠ってしまっていた。
シュバルツが目覚めるとパーティーメンバーが集まっていた。
どうやら、自然と集まったようである。
「起こしてくれたらよかったのに・・・」
「いえ、シュバルツ様の寝顔が可愛くて」
女性陣はそう言って微笑んでいた。