百四十九話
朝早くに、フランがシュバルツの部屋を訪ねてくる。
シュバルツを抱いて寝ていたミミとシズノは不満そうだったが、シュバルツは2人を説得して着替えをすませる。
今日のフランは、正装である鎧を脱ぎ、乗馬服姿だった。
「シュバルツ様。よろしければ、遠乗りに行きませんか?」
「構いませんよ」
厩舎に行き、愛馬にまたがり、街を出る。
10分ぐらい馬を走らせフランが止まる。
周囲は見晴らしの良い草原だった。
風が通り抜け、日の光が気持ちいい。
「さて、朝食にしましょう」
朝食はまだだったが、フランが用意してくれていたらしい。
「ありがとうございます」
受け取った籠の中にはサンドイッチが入っていた。
「はじめて作ったので、うまく作れているかわからないのですが・・・」
フランは不安そうな顔をしている。
シュバルツはサンドイッチを1つ、手に取る。
そのままかぶりつく。
「とっても美味しいよ」
シュバルツがそう告げるとフランは笑顔を見せてくれた。
普段は凛々しいフランであるが、こうしていると年相応の少女のように見える。
シュバルツはフランの知らない面を知れて嬉しく思った。
食事を終え、シュバルツは欠伸をしてしまった。
「シュバルツ様。よろしければ、少し横になりませんか?」
「では、少しだけ・・・」
2人でゴロンと横になる。
何を話すわけでもないがこうしてのんびりするのも悪くない。
シュバルツはいつの間にか眠ってしまったようで、フランに起こされる。
「シュバルツ様。起きてください」
「う~ん・・・。あと少し・・・」
「そうもいきません。そろそろ、戻らないと他の子に怒られてしまいます」
他の子という言葉で、シュバルツは起き上がる。
「そうだったね・・・」
今日はまだ、予定がある。
少しぐらい遅れても大丈夫だと思うがそういうわけにもいかないだろう。
シュバルツとフランは草を食んでいた馬に乗り、帰路についた。
城に戻った時には、制限時間ぎりぎりだった。
厩舎に馬を戻しフランとの時間は終了した。
城の入り口では次の相手である、シズノが待っていた。
「お待たせしました」
「時間ぴったりなのが、フランさんらしいわね」
「確かに・・・」
「さて、それじゃ、お買い物に行きましょう」
シズノはシュバルツの腕をとり、上機嫌で歩き出した。
どうやら、お目当てのお店があるようだ。
どこに連れて行かれるかはわからないが楽しみにしておこうと思うシュバルツであった。