百四十五話
男子組が狩場に選んだのはスライムやホーンラビットと言った非アクティブな魔物の生息する草原だった。
獲物をみつけては複数人で囲み、安全に狩っていく。
狩りについては問題ないようだ。
が、周囲の警戒が疎かになっていた。
何も危険は魔物だけではない。
むしろ、人のほうが危険な場合もある。
シュバルツはずっと後をつけてきている男達の存在に気づいていた。
問題は夕方となり街に戻ろうとしたところで起きた。
「おい。餓鬼共。荷物を置いていけ」
男達はそういって、剣を抜き脅してくる。
「誰が、渡すか」
男子組もそれぞれ武器を構え徹底抗戦の構えだ。
脅迫してきている男達はたいした腕ではない。
が、このまま放置すれば怪我人がでるだろう。
「はぁ・・・。仕方ないか」
シュバルツが剣を抜き前に出る。
「シュバルツ・・・?」
「脅迫の現行犯で捕縛します」
シュバルツはそれだけ告げると男達の方にゆっくり歩いていく。
ぱっと見では油断だらけだ。
だが、見る人が見ればわかる。
そこに隙など存在していなかった。
それがわからなかった男達が襲い掛かってくるがあっという間に武器を弾き飛ばし一発ずつ、男達を殴る。
男達はそれだけで動けなくなる。
「さて、終わりましたね」
シュバルツはロープを取り出して男達を縛っていく。
「武器は回収しといてください」
男子組はその言葉で行動を開始した。
「やっぱ。シュバルツはすげぇな」
「何したのか見えなかった・・・」
シュバルツは動ける程度に男達を治療して街の衛兵詰め所に連行する。
衛兵は最初ぽかんとしていたがシュバルツが公爵家の一員であるメダルを取り出すと態度が一変した。
公爵家の一員であるシュバルツに喧嘩を売ったのだ。
よくて犯罪奴隷といったところか。
シュバルツ達は衛兵に後を任せそのまま冒険者組合に向かった。
受付に全員で並ぶ。
少々、人数が多いが文句を言う冒険者はいなかった。
解体所で狩ってきた魔物を取り出し、票を受け取る。
票を受付に出し代金を受け取る。
「1日でこんなにも・・・」
これだけ稼げれば十分やっていけるだろう。
まぁ、今日のようなトラブルがまた起きるかもしれない。
数日は安全の為に見守る必要がありそうだが。
シュバルツはクランハウスまで男子組を送り届た。
迎えに来た、パーティーメンバーと合流して城へと戻った。
女子組の方も狩りに出たそうだが特にトラブルはなかったようだ。
安全の為に、数日は見守るということで意見が一致したのだった。