百四十三話
クランハウスに到着して現在の生活状況を聞く。
「ちゃんとご飯は食べてる?」
「正直、ぎりぎりであんまり食べれてないかな」
冒険者は体が資本だ。
その為には、食事をしっかりとること。
「はぁ・・・。仕方ないな」
シュバルツは保存のきくものをアイテムボックスから取り出していく。
女子組の方もフラン達がいるので食事はなんとかなるだろう。
「他に困っていることは?」
「金を稼ごうにも運搬手段がなくて・・・」
食事状況を聞いてわかっていたが手押し車とかを買う余裕はないだろう。
「それに関しては考えがあるから少し待ってね」
マジックバックは無理にしてもマジックポーチぐらいなら魔道具屋に在庫があるだろう。
明日、確認して買ってこよう。
「後はお金を渡すから必要な物は買うように」
そう言ってシュバルツは銀貨を100枚渡す。
当面の生活費としては十分だろう。
「ありがとうございます」
小さな子がお腹を抱えながら言ってくる。
「お腹すいた・・・」
食材は渡したがこのメンバーの中で料理を作れる者はいるのだろうか・・・。
「ちなみに料理経験は?」
全員が横に顔を振っている。
「今までどうしてたの?」
「女子組が作ってくれてました」
女子組をこちらに呼ぶわけにもいかない。
「よし、料理を教えるから一緒にやろうか」
こうして、シュバルツの料理講座がはじまった。
慣れない手つきで野菜や肉を切っていく。
怪我した者も出たがその場で治療して料理を続ける。
野菜は不揃いだし肉が繋がっていたりしたがご愛敬だろう。
毎日、自分達でやっていれば慣れてくるだろう。
料理が出来上がった頃、コンコンと扉を叩く音がした。
開けてみればフラン達だった。
「さて、僕はそろそろいくけど、大丈夫かな?」
「後は食べて寝るだけなので」
「この辺りは治安はいいけど戸締りはちゃんとするんだよ」
そう言ってシュバルツはクランハウスを後にした。
城へ戻る道すがら情報交換をする。
女子組にもフラン達が備蓄していた食料を提供したとのこと。
作り慣れた子が何人かいて食事の心配はなさそうだ。
城へ戻り、夕食を食べ本日もシュバルツの部屋に集まった。
いつも通り狩りをしてから自由時間を迎えた。
他のパーティーメンバーは何やら作業があるそうでシュバルツは1人、森で薬草採取をしてから回復薬を作る。
時間となったので本日の作業は終了だ。
合流したシュバルツはクランメンバーの男子組の着替えを渡された。
少々、庶民が使うには贅沢な仕様ではあるが衛生的に考えたらあったほうがいいだろう。