百四十一話
シュバルツ達は日常に戻ってきた。
迷宮に潜り、異空間で修業する日々。
冒険者組合から復帰してくれてよかったと安堵の声が聞こえた。
シュバルツ達がいない間も、他の冒険者は活動していた。
しかし、持ち込まれる素材が少なく増員した解体所の職員は暇を持て余していたらしい。
このままでは解雇するしかないという話もあったようだが、シュバルツ達が戻ってきたため、雇用を継続するということになった。
リザードマンの皮製の防具は人気であるが、加工できる職人の数には限りがある。
シュバルツ達は需要を見ながらリザードマンを狩りにいったり牛蛙を狩りにいったりしている。
異空間も順調に拡張している。
森をG+(Gプラス)に上げ、鉱山のランクをFに。
倉庫区画をF-(Fマイナス)に。
後は各種狩場もランクを更新している。
ゴブリンの洞窟とオーク村にワームの森をGランクにあげた。
新規区画としてミミとシズノの要望により果樹園を取得した。
同じ果物でも色々な種類を試したいということで色々な品種を恩恵ポイントを消費して植林してある。
2人は食べ比べをするといってここ数日、果樹園通いをしている。
騎士であるフラン、マリル、レベッカからは要望を受けて戦闘ゴーレムを用意した。
設定で様々な戦闘パターンを試せる上に破損しても時間経過で修復するとんでもな性能である。
シュバルツは基本的に新しく入手出来るようになった薬草で薬を作ったり無名の鍛冶の指導の元、鍛冶に励んでいる。
それぞれに充実した日々を過ごしているなか、冒険者組合から呼び出された。
シュバルツ達は何事だろうかと冒険者組合に向かう。
受付嬢がシュバルツ達に気が付き、すぐに組合長室に通された。
「マーセルさん。お久しぶりです」
「わざわざすまんな」
「いえ。それで、どうしたんですか?」
「旧、マールタル王国から出稼ぎにきた奴らがいてな・・・」
「それの何が問題が?」
「どうもお前らが関わっているという情報を得てな」
一瞬、何を言われたのかわからなかったがもしかしてと思い確認する。
「来たのは子供達ですか?」
「試験して、実力があるのはわかったんだが、見た目で他の冒険者共に絡まれててな」
「あぁ・・・。それはありそうですね」
過去にシュバルツも絡まれたことがあった。
「そこで、提案だ。餓鬼共の為にもクランを作らないか?」
「クランですか・・・?」
それは考えてもなかった提案だった。