表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/169

百三十八話

シュバルツ達が食事を終え、店を出ると痩せた子供達と遭遇した。

子供達はそれぞれ掃除道具と思われる物を持っている。

「彼等は・・・?」

「あぁ・・・。奉仕活動の子供達ですね」

「奉仕活動?」

「先の戦争で父親が亡くした子供達が多いんですよ。そうすると生活に支障が出まして・・・。そういった子供達向けに簡単な仕事をしてもらっています」

「簡単な仕事ですか?」

「街の清掃活動とかですね。ちなみに発案者は王太子殿下です」

マルセイユ王国では戦死者の家族には手厚い手当が出る。

だが、敗戦国であるマールタル王国の家庭にまで配慮するのは難しかったのだろう。

そんなことをしていてはいくら資金があっても足りない。

「我々も何とかしてあげたいところですが、最低限の食料を配給するのやっとの状況です」

「シュバルツ様。何とかしてあげられないでしょうか?」

「一時的な施しは出来るけど・・・」

一度、贅沢を覚えてしまえば我慢出来ていることが出来なくなる。

それを考えると容易に手を出すのはまずいかもしれない。

「何かするにしても王太子殿下と相談してからかな?」

シュバルツのその発言に護衛をしている騎士達は安堵していた。




シュバルツ達はサイファーに会うために城への帰路についた。

途中、清掃活動をしている子供達を何組も見かけた。

町全体で考えれば想像以上に、戦災孤児の数は多いのかもしれない。

護衛の騎士にそのまま案内された室内に足を踏み入れると大量の紙に囲まれたサイファーがいた。

「やぁ・・・。どうしたんだい?」

「仕事中すみません。よかったらこれをどうぞ」

シュバルツは思わず栄養ドリンクを渡してしまった。

「これは?」

「疲れの取れる薬です」

「それはありがたい」

サイファーはまよわず栄養ドリンクを飲み干した。

「おぉ。これは凄い」

「よかったらもう何本かどうぞ」

シュバルツが追加で栄養ドリンクを渡すとサイファーは嬉しそうな顔をしていた。

「ありがとう。いくら、仕事をしても仕事が減らなくてね・・・」

「よかったら手伝いますけど?」

「書類の整理だけでもしてくれると助かる」

シュバルツ達は手分けして書類の整理をはじめた。

読んでみてわかったが、重要な物とそうでない物が混ざっている状況だった。

最初はサイファーに聞いていたが要領を掴んだシュバルツ達はテキパキと書類をわけていった。

そのおかげで日が暮れる頃には書類の山はマシになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ