百三十三話
シュバルツ達からすればスライムもコバットも今更、脅威になるような魔物ではない。
だが、問題はその数だった。
倒しても倒しても後続のスライムとコバットが現れる。
アイテムボックスに収まりきる量ではなかった。
シュバルツはアイテムボックスが一杯になる度に倉庫区画に飛び、一時保存をしていた。
コバットは食用になるし、スライムはスライムで色々な使い道がある。
それとは別に回収しないと倒したコバットとスライムが邪魔で満足に戦闘するスペースが確保できないという問題もあった。
「それにしても数が多いですね・・・」
「ほんと、嫌になっちゃう・・・」
「地元の冒険者はどうしたんですかね?」
「あぁ・・・。それは・・・」
サイファーの話では地元の冒険者は戦争に巻き込まれるのが嫌で隣国に逃げて行ったらしい。
そして、戦争は終わったがほとんどの冒険者が戻ってきていないとのことだ。
居心地が思っていた以上によかったり見捨てて逃げて戻ってきにくいのだろう。
数の減った冒険者も他の依頼で忙殺されていて迷宮が後回しにされた結果がいまだ。
シュバルツはこっそり倉庫区画のランクをG+(Gプラス)に引き上げた。
元々、色々ため込んでる上に今回の討伐物で流石に収まりきらなくなってしまったからだ。
休憩を挟みつつ、スライムとコバットの討伐を続ける。
1層をくまなくまわり打ちもらしがないことを確認して2層目に突入する。
見慣れた棍棒を持ったゴブリンが向かってくる。
シュバルツは次々にマジックミサイルで頭部を撃ち抜いていく。
他の面々もそれぞれゴブリンを一撃のもと屠っていく。
討伐証明の左耳と魔石を回収してシュバルツは火魔法で遺体を焼く。
迷宮ではそのまま放置しても迷宮に死体が吸収されると言われているが流石にこの数の吸収を待っていては戦闘するスペースがなくなってしまう。
5人が倒し、シュバルツはひたすらゴブリンの死体を焼くという流れ作業が完成した。
焼かれたゴブリンの遺灰は1時間ほどで消えていく。
異空間で休憩を取りつつもなんとかゴブリンの大軍も処理を終えることが出来た。
2層のゴブリンを全て倒して異空間で長めの休憩を取る。
ひたすら同じ作業をするというのは中々精神にくるものがある。
特に迷宮に入るようになった期間が短かったマリルとレベッカは疲れて見えた。
シュバルツはそんな2人を労わるように料理を振舞う。
3大欲求の1つとも言われる食欲を満たすだけでもストレスは軽減される。
お腹が満ちれば睡眠をしっかりとり迷宮に戻った。