百二十二話
念の為、騎士達には何かあったら呼び出してほしいと言ってシュバルツは錬金術工房に戻った。
栄養ドリンクを量産しつつも次は何を作ろうかと頭を悩ませる。
この日は結局、いい案が浮かばないまま作業を終えた。
夕食後、いつものようにシュバルツの部屋に集まる。
恩恵ポイントの為に、コボルト平原を周回する。
ミミとシズノは最近では魔法を組み合わせた戦い方を模索しているようで色々試していた。
シュバルツとフランはそんな2人をいつでもフォロー出来るように立ち回る。
「さて、恩恵ポイントも集まってきましたしどうしますかね?」
今は修行部屋で休憩中だ。
「新しいエリアを開放するのも面白そうですけど既存のエリアをランクアップさせるのもよろしいかと」
フランが代表してそう言ってくる。
「では、初心者の草原のランクでもあげてみましょうか」
「異議な~し」
初心者の草原のランクをあげてみると既存のエリアはそのままに第2層が追加された。
シュバルツ達は早速、初心者の草原の第2層に移動する。
そこには様々なスライムがいた。
シュバルツ達が近づいても襲ってくることはなく非アクティブらしい。
シュバルツはスライムを鑑定してみる。
赤い色のスライムはフレイムスライム。
水色のスライムはウォータースライム。
緑色はウィンドスライム。
茶色のはロックスライムとなっている。
試しにスライムの核を潰してみる。
スライムは簡単に倒れドロップ品を残して消えていった。
魔石と何やら色のついた小石のような物を落とす。
「これは・・・。純度は低いですが魔法石のようです」
魔法石とは武器や防具に属性を付与する際に使われるものだ。
赤なら炎属性の攻撃をできるようになったり耐性を得られたりする。
「へぇ・・・。これがそうですか」
シュバルツは勿論、ミミもシズノも話には聞いていたが実際に目にするのははじめてだ。
「とにかく集めてみましょう」
シュバルツ達は手分けして属性のついたスライムを狩ってまわった。
その結果、大量の魔石と魔法石が手に入った。
修行部屋に戻ると珍しく名無しの鍛冶がいた。
「お前ら、面白物を手に入れたようだな。使い方を教えてやるよ」
シュバルツ達は名無しの鍛冶の後を追って、工房区画の鍛冶工房までやってきた。
事前、準備として魔法石を各属性ごとにまとめる。
名無しの鍛冶が工房の奥から持ってきたのは何やら型のようなものだった。