百十七話
湿地帯での戦闘は思っていた以上に大変だった。
足がとられ思ったように動けない。
重い鎧を着ているフランは特にその影響を受けていた。
比較的まともに動けたのはミミだけだった。
シュバルツは魔法を中心に動いた方がよさそうだ。
フランとシズノには時間を稼いでもらい、シュバルツが魔法で援護。
ミミは皆のフォローをすることで決まった。
シュバルツ達はリザードマンがいると思われるポイントまで歩いていく。
リザードマンはすぐに見つかった。
こちらを発見したのだろう。
真っ直ぐリザードマンが向かってくる。
こちらは自由に動けないというのにリザードマンの動きは機敏だった。
作戦通りシズノとフランが前に出て防御に徹する。
シュバルツは距離のあるうちにとマジックアローで牽制する。
牽制のつもりで放ったマジックアローはリザードマンの頭部を吹き飛ばした。
「えっと・・・」
「シュバルツ様・・・」
「うわぁ・・・。これって作戦いらなかったんじゃ?」
「きっと、たまたまですよ」
3人からないわーという声が聞こえるようだ。
シュバルツはリザードマンを回収しながら誤魔化すように言った。
「まぁ。何はともあれ倒せるなら楽でいいじゃないですか」
「次!次に行きましょう!」
シュバルツ達は次のリザードマンを求めて湿地帯を進んだ。
リザードマンは次から次へと見つかった。
ほとんどはシュバルツの魔法で片がつくが、数が多いと撃ちもらしも出る。
きっちりフランとシズノが時間を稼ぎミミもフォローする。
シュバルツは味方である3人に当たらないようにマジックアローの軌道を制御しながら確実に数を減らしていく。
基本的にシュバルツはリザードマンの頭部を狙っていた。
というのも、リザードマンの皮は防具に加工できる。
そのお値段は中々いいお値段がする。
肉も筋肉質ではあるが癖がなく美味で好んで食す者もいる。
買い取り金額を少しでもあげようと思ったら倒し方にも工夫がいるわけだ。
湿地帯の半分ほどを駆除したところでシュバルツ達は近くの村に引き上げた。
流石に暗い中、リザードマンの相手をするわけにはいかない。
村に着いたシュバルツ達は村長の家に招かれた。
村長は冒険者が泊まることに慣れているようで精一杯の歓迎をしてくれた。
夕食を頂き、シュバルツが生活魔法のクリーンで全員の汚れを落とし客間で眠りについた。
ミミとシズノは流石に遠慮してくれたのでシュバルツは久しぶりに1人で眠ることができた。