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百十六話

シュバルツ達が城に戻ると祖父であるオグワールが呼んでいると言われた。

シュバルツ達はそのままオグワールの執務室に向かった。

「すまんの。呼び出して」

「どうしたんですか？」

「朝はすまんかったの。緊急で指示を出す必要があっての。お主達も今日、依頼で魔物の異常発生を片付けてきたはずじゃ」

「もしかして他の場所でも起きているのですか？」

「かなりの広範囲で起きておる。シュタイナーが不在で動かせる騎士団も減っている。儂が采配するしかなかったからの」

オグワールは公爵家の当主の座は引退したが現当主であるシュタイナーを補佐する立場にある。

緊急時では色々しなければならないことがあるはずだ。

「すまんがお主達にも力を貸してほしい」

「わかりました。僕達にできることなら」

「助かる。まずはこれを見てくれ」

そう言ってオグワールは地図を出す。

「お主達にはこの辺りの魔物駆除を頼みたい」

オグワールが示したのは迷宮都市アリスから南に向かったところだった。

「魔物は何が出るのですか？」

「この辺りは湿地帯でな。リザードマンが多いかの」

「はじめて戦う相手ですね」

「リザードマンは器用に武器を使うので対人戦の練習にももってこいですよ」

フランはそう説明してくれた。

「聞いてる限り十分相手をできるじゃろう。だが、気をつけて行ってくるんじゃぞ」

「はい」

オグワールはまだ仕事が残っているそうでシュバルツ達は執務室を後にした。

食事を終え、今日はこのまま寝ることにした。

翌日の朝、朝食を食べ馬車に乗り込む。

流石に距離が離れているためオグワールに言って用意してもらったのだ。

御者はフランがしてくれている。

シュバルツは暇だったのでフランがどのように馬を制御しているのかずっとみていた。

「シュバルツ様。やってみますか？」

「いいの？」

「幸い、この辺の道は整っていますから」

シュバルツは手綱を受け取りフランの指示通りに馬を操る。

やってみると意外と簡単だった。

本格的に馬の乗り方を学ぶのもありだなと思う。

帰ったらオグワールに相談してみよう。

湿地帯の手前にある村に到着した。

馬車を預けてここからは歩きだ。

足が取られて歩きにくい。

この状態で戦闘というのは中々しんどいかもしれない。

「ちょっと、討伐の前に模擬戦をしませんか？」

「模擬戦ですか？」

「はい。この状態でどれだけ戦えるのか知っておいた方がよさそうです」

「わかりました」

ミミとシズノ。

フランとシュバルツで模擬戦をすることになるのだった。