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百六話

マールタル王国の首都へと到着した。

シュバルツ達は何故か王太子であるサイファーと共にいるままだ。

包囲網の指揮を執っていたのはシュバルツの父親であるシュタイナーだった。

一瞬、シュバルツを見て驚いたような顔をしたが優先順位を間違えることはない。

「王太子殿下。無事のご到着で何よりでした」

「道中、優秀な護衛を雇えたのでな。何より食事に困らないのがよかった」

食事というところでシュバルツは知らんぷりをする。

少数とはいえ、必要な物資は多岐に渡る。

王太子が同行しているとはいえ、食料は保存のきくものばかりだった。

なので、シュバルツはサイファーの許可を得て食料を提供していた。

「食料ですか?」

「あぁ。お主も助けられたのではないかな?」

どこから何が送られてきたのかは記録されている。

迷宮都市アリスから送られてきた食料がなければどうなっていたことか。

それでも軍を維持する為にはぎりぎりだった。

「シュバルツ。ものは相談なのだがな。食料に余裕はあったりするか?」

「はい。いくらでも供給可能です」

「いくらでもか?」

「えぇ。備蓄がかなりありますので」

「そうか。では、提供を頼めるだろうか」

「それはいいのですが、手柄を王太子殿下に譲っても?」

祖父であるオグワールと話した結果ではあるがこの能力はあまり知られない方がいいだろう。

「うむ。王太子殿下もよろしいですか?」

「あぁ・・・。確かに子供が持ってきたというより私が持ってきたという方が都合がいいか」

シュバルツ達は大きな天幕にやってきて中に入る。

「では・・・」

シュバルツはそこにアイテムボックスから大量の肉と野菜などを出していく。

「肉はともかく新鮮な野菜がこんなにも・・・。一体、どこで手に入れたのやら」

軍を維持する為に周辺の村などもまわっただろう。

だが、十分な数を確保するには至らなかったのだろう。

道中の村々を見て分かったがマールタル王国が開戦に踏み切った理由は不作だったのだ。

食料がなければ他所から持ってくればいい。

だが、周辺の国々もそこまで余裕があったわけではない。

ならば民を救うために奪い取るしかない。

そして略奪先に選ばれたのがマルセイユ王国だった。

はた迷惑な話である。

マルセイユ王国としても民を守る為に戦うしかない。

この戦争で多くの兵が犠牲となった。

シュバルツのこの能力を知っていればマルセイユ王国としてももっと違った対応を取れただろうがそれは言っても仕方のないことだ。

恩恵を秘匿するというのは珍しい話ではない。

珍しく役立つ能力であれば人狩りが出る。

それぐらい恩恵というものは人々の人生を左右させるだけの力があった。

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