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百五話

馬車から高貴な人物が降りてくる。

「助勢感謝する。冒険者の身なりをしているが礼儀を知っているということはどこかの貴族の者かな?」

「はっ。クロイツェン公爵家。現当主、シュタイナーが第十男、シュバルツ・フォン・クロイツェンと申します」

「シュタイナー公爵の子供か・・・。最近、迷宮都市アリスで大活躍している子供がいると報告があったな。お前のことか?」

「どのような噂かは知りませんが・・・」

「ははは・・・。中々に興味深い。冒険者として私を護衛してくれないか?」

「立派な護衛がいらっしゃるではありませんか」

「そう言うな。お前にとっても利があることだ」

これ以上、断るのは非礼になるだろう。

「王太子殿下がそうおっしゃるのであれば」

「では、馬車に乗ってくれ。1人で乗っているのは退屈だったんだ」

王太子殿下の本音が聞こえたような気がした。

シュバルツとミミ、シズノは馬車に乗る。

フランは予備の馬を借りて他の護衛に混じっていた。

「王太子殿下は何用でこんな場所まで?」

「サイファーだ。他の者のいる前ではダメだが今ぐらいはそう呼んでくれないか?」

「では、サイファー殿下で」

「うむ。今はそれで我慢するか。それで、私の目的だったな。まぁ、いわゆる箔付けという奴だな」

「伯付けですか?」

「マールタル王国との戦争の話は聞いているだろう。そこで私が参戦していれば功績は私の物となる。そういうことだ」

これもまた、政治という奴なのだろう。

戦争の生末が確定した時点での参戦。

だが、参戦していたことに意味がある。

「サイファー殿下も大変ですね」

「お前の家ほどではないがな」

サイファーは何故、シュバルツが冒険者をしているのか理解しているのだろう。

「迷宮ではどんなことをしているか話してくれないか?」

シュバルツは迷宮でのことを話していく。

サイファーはそれを夢中で聞いていた。

「私ももっと自由があれば気晴らしに探索したいのだがな」

王太子という立場ではそんな自由は許されないだろう。

殿上人は殿上人で悩みが色々あるようだ。

ミミとシズノも最初は緊張していたがぽつぽつと求められたことを答えている。

サイファーは楽しそうにその話を聞いている。

道中、野営などを挟みつつも問題になるようなことはなくマールタル王国へと馬車は入った。

馬車の中では暇つぶしにトランプで遊んだりと打ち解けた雰囲気が漂っていた。

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