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第十話

シュバルツは今日から走ることにした。

競歩よりも多少効率は悪くなるかもしれないが体力がつけば今までより効率よく恩恵ポイントを貯められるはずだ。

走っては休み走っては休みを繰り返す。

休憩中は恩恵ポイントで有用なスキルや称号がないか探す。

そして興味深い物を見つけてしまった。

修行部屋 10万ポイント。

修行部屋に入っている間は現実の世界の時が止まるらしい。

この部屋の中ではステータスは伸びるが身体の成長も止まるようなのでこの部屋をとれば時間を気にせずに恩恵ポイントが貯められるはずだ。

今の恩恵ポイントは5000ちょい。

1日に稼げるポイントが1000ちょっとなので頑張って貯めれば100日ぐらいで取れるはずだ。

目標が決まったので頑張って走り込みを続ける。




シュバルツは新たな目標を定めた頃、シュバルツを見つめている人物がいた。

「平民の子など忌々しい。旦那様が何も言わないことを言い事に自由に動き回ってるなんて」

「奥様。誰かに聞かれたら大変です」

「ふん。それであの子はどうしてるの?」

「坊ちゃまなら出かけられましたよ」

「今は勉強の時間でしょう?」

「平民の生活を知るのも大事なことだと・・・」

「高貴な私達には必要のないことよ。すぐに連れ戻しなさい」

「わかりました。手隙の者を向かわせます」




「坊ちゃま。奥様がすぐに戻るようにと」

「母上が?どうせ勉強しろって言われるんだ。嫌だよ」

「そうは言われましても・・・」

「はぁ・・・。僕の自由になる時間はないのか。シュバルツの奴が羨ましいよ」

「あのような者と坊ちゃまを比べるなど・・・」

「あぁ。君はわかっていないようだね。母上が認めなくてもあの子は僕の弟だ。何かしたら本気で怒るよ?」

顔は笑っているが目を見ればわかる。

本気で怒っている時の証拠だった。

「はっ。申し訳ありませんでした」

「うん。わかってくれたならいいんだ。散策という気分でもなくなった。戻るよ」

「はい」




シュバルツや平民であったマリアンヌは妃や妾という立場の人々には平民の子として嫌われている。

公爵家の当主であるシュタイナーの気遣いもあるが兄や姉から守られていた。

本当はもっと直接的に構ってやりたい。

だが、それをすれば嫌っている人達が何をするかわからない。

今の城は絶妙なバランスで保たれていたのである。

母親であるマリアンヌはシュバルツが生まれてから城の雰囲気が変わったのには気づいていた。

その正体は不器用な兄や姉達の精一杯の優しさだった。

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