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八 それから  涼平サイド

 ライトが神界に帰ってから1週間が経過した。学校ではライトは親の都合で転校することになったと先生から知らせがあった。多くの生徒はライトが転校したことに悲しんでいた。ライトは学校にいた日はわずかであるのに、多くの生徒が悲しんだことはライトの魅力を語っているようだった。

 涼平はライトがいなくなったことで悲しんだりはしなかった。悲しんでしまうと、ライトに会いたくなってしまうと考えたからだ。涼平はアニメやゲームで気を紛らわせることにしていた。

 そんな涼平の様子を見て大樹たちは心配になった。昼休みに涼平のことを話し合うために、涼平と昼食をとらずに別の場所に集まった。

 「涼平をどうやったら元気にできると思う?」

 最初に言葉を発したのは大樹だった。涼平本人は悲しまないようにと心で思っていても、第三者からみれば悲しいことはまるわかりだった。

 「涼平君の中でライト君の存在が大きかっただろうし、ライト君が戻ってこない限り無理なんじゃないかな。」

 翔は難しい問題だと指摘する。

 「そうだよね。黒井くんにとってライトちゃんの存在が大きかったことは間違いないしね。」

 「難しい話だと思います。」

 聖来と美影は同意する。

 「・・・。」

 話し合いが早速進まなくなってしまう。4人とも解決策が見つからないのだ。

 「男性の方は失恋した際はどうやって立ち直るのですか?」

 美影は涼平が落ち込んでいる理由を失恋と同じだと仮定し、その際の対処法と同じことをすればいいのではと考えた。

 「俺は恋愛したことないからな。」

 「僕もそうだね。」

 大樹と翔は恋愛経験がゼロだから参考にならないと答えた。

 「あっでも、彼女と別れてから他に好きな人を作って切り替えた奴ならいたぞ。」

 大樹は友人の話を思い出した。

 「なるほど。別の女の子で上書きすればいいわけか。それなら美影の出番だね。」

 聖来は大樹の話を聞き、以前の女子会で美影の気持ちを知ったので美影に話を振る。

 「そうですね。私の出番かもしれません。私も涼平さんと同じで部活はしていませんし、放課後遊びに誘ってみようと思います。」

 「じゃあ、任せた。」

 「うん。頑張ってね。」

 美影の発言から大樹と翔は美影の気持ちを察した。

  

 そして、放課後美影は涼平を遊びに誘ったら、涼平は2つ返事で了承した。美影は学校近くのカラオケ店を提案した。涼平自身も歌うことで色々と発散できると考えたからだ。カラオケ店に着くと、フリータイムで申込み店員から部屋番号を伝えられた。

 「さて歌いましょう。」

 美影は部屋に入ると鞄を置いて行った。

 「先に歌っていいぞ。」

 涼平は鞄を置き席に座る。

 「では早速。」

 美影は機械を操作して自分の歌いたい曲を予約する。一曲目なので予約されるとすぐに画面が切り替わりイントロが流れる。美影が選んだ曲は人気アニメの主題歌で涼平も知っている曲だった。美影がアニメが好きなのか、涼平は分からないが盛り上がることができた。

 「美影はアニソン知ってるのか?」

 涼平は美影が歌い終わると聞いてみた。

 「はい。今期のアニメも結構見てますよ。」

 美影は自分がアニメ好きであることをアピールした。美影は涼平がアニメが好きなことを知っているから、自分もアニメを見たら想像以上面白くてハマってしまったのだ。

 「なら俺もアニソン歌うか。」

 涼平は機械を操作して有名なアニソンを選曲する。

 涼平と美影は2時間程度アニソンを歌い盛り上がった。涼平としては、アニソンを知っていて盛り上がれる経験が初めてだったのですごく楽しかった。

 「いったん休憩にするか。」

 涼平は歌い疲れた。テーブルに置いてあるジュースを口にし喉を潤す。

 「そうですね。」

 美影も涼平の提案を呑む。

 「美影のおかげで楽しい時間を過ごせた。ありがとな。」

 涼平は美影に感謝を告げる。涼平自身もライトがいなくなってから、自分に元気が無いことは分かっていた。美影はそれに気づいて、元気づけてくれたのだと涼平は考えた。

 「いえいえ。それに涼平さんが望むならいつでもお相手しますよ。」

 美影は涼平の真横に座りなおした。

 「みっ美影。」

 涼平は美影が自分の隣に座ったことに焦る。

 「涼平さんが望むことなら、私なんだってしますよ。」

 美影は涼平の胸付近を触る。

 「ちょっと美影。」

 涼平はさらに焦る。

 「ライトさんがいなくなって寂しいのですよね。私ではライトさんの代わりになれませんか?」

 美影は制服のボタンを外し始める。征服の隙間から美影の綺麗な肌が見える。さらに美影がつけている黒いブラジャーが見える。ブラジャーから見える胸は、ライトに比べると胸の大きさは小さいが、綺麗な形をしている。

 「待って美影。」

 美影が制服のボタンを半分外したところで美影の手を掴んで、美影がボタンを外すことを止める。

 「私じゃダメですか?」

 美影は涼平の顔を見つめる。

 「えっと・・・。」

 涼平はダメと即答できなかった。涼平自身としては美影のことはライト同格の可愛さがあると考えている。ライトはスタイル抜群の美少女で、性格も明るいので一般受けするタイプだ。一方の美影は、美少女ではあり、肌は綺麗だけどスタイルはそこまで良くない。おまけに性格も内気な方でライトのように万人と仲良くできるタイプではない。だから、一般受けするというよりは、一部の人からカルト的な人気を誇っている。涼平は1年生の頃から美影とは仲良くしているし、美影には何か自分と近しいものがあると涼平は感じている。

 「答えを出さないのでしたら止めせんよ。私は本気ですから。」

 美影は確固たる意志を見せる。

 「・・・。」

 涼平は返答に悩む。涼平としては美影に迫られること自体は嬉しい。美影とそういう行為をすることで、美影との距離が縮まり自分のポッカリ空いた心の隙間を埋めてくれるかもしれない。

 涼平は掴んでいた美影の手を放す。

 美影はそれを合意と受け取りボタンを外すことを再開する。制服のボタンを全て外し終わり、制服を脱ぐ。次にスカートに手をかけ、スカートのチャックを外しスカートを脱ぐ。美影のパンツは上のブラジャーと同色であり、小悪魔を彷彿とさせるような下着だった。

 「どうですか私の下着は?似合ってますか?」

 美影はくるりと一回転して感想を求める。

 「似合ってるよ。けど、ここまでにしよう。やっぱり俺は美影とそういうことはできない。美影の気持ちには答えられない。」

 涼平は美影が下着姿までなったことでようやく自分の気持ちに気づいたのだ。

 「・・・そうですか。けど、涼平さんならそう言うと思いましたよ。」

 美影はあっさりと引き下がり、脱いだ制服を着なおす。

 「悪いな。美影をその気にさせてしまったのに。」

 涼平は美影の下着姿を見てしまったことに罪悪感を感じる。

 「構いませんよ。もし、私に興味を持ってくれたらいつでもお相手をします。それに下着姿の私をおかずにしてもらったも大丈夫ですよ。」

 美影はサラリと爆弾発言を残し、お金を机の上に置いて部屋を出ていった。

 「美影・・・。」

 涼平は部屋から出ていく美影を見送ることしかできなかった。それとは別に涼平の心の中で今日のおかずが決まった瞬間でもあった。本人の許可も得ていることだから、気兼ねなくすることができる。

 涼平は机の上のお金をとり、部屋を出て精算をしカラオケ店を後にする。

 帰り道を歩きながら美影のことについて考えていた。美影は恐らく俺のために身体まで張ってくれたのだ。その気持ちに涼平は答えることができなかった。高校生のカップルがそのまま結婚まで進むケースはそう多くない。だから、美影と高校生らしいカップルとして付き合えたのかもしれない。しかし、涼平そうはしなかった。その理由は涼平が悪魔であるからだ。悪魔は人間とは身体的特徴が大幅に違うし、価値観や考えも人間と異なるだろう。例えば、日本人が外国人と付き合う時に価値観や考えの違いに悩むことがあるが、人間と悪魔とではそれの比にならない。なぜなら、生活環境が全然違うからだ。人間と悪魔では住んでいる世界が違い、魔界に比べれば人間界の争いなど子どもの喧嘩程度だ。これはあくまで一例だが、涼平の頭の中には種族を超えた恋愛はできないと考えている。それが今日分かった。

 そしてここからが本題だ。涼平がどうしてライトと別れてこんなに辛かったのがようやく分かった。ライトに恋愛感情を抱いているからではない。それはフレアの質問でも証明されている。それにライトは神様なので、悪魔である涼平と種族が違うので美影の時と同じ結論に至る。ライトがいなくて寂しかった理由、人間界で悪魔一人だけだからだ。涼平の中で普段仲良くしているクラスメイトとも、心の中では一定以上仲良くしないように線引きしている。だから、涼平は部活動等には所属せず一人でゲームをすることが多いのだ。そんな中ライトに対しては自分を偽らずに接することができる相手だ。ライトも神様で人間とは違うし、ライトは性格も良いので涼平のことを深く追求とかはしてこない。つまり、涼平にとってライトは本当に仲の良い同居人なのだ。

 「ライトに会いたいな。」

 涼平は空に向かって呟く。

 涼平がそう思った時涼平の鞄が光る。正確には鞄につけいていたライトからもらったキーホルダーだった。

 「これは・・・。」

 涼平はキーホルダーが光っていることに気づき、鞄からキーホルダーを取り外す。

 「そういえばこのキーホルダーは願いごとを叶えてくれるんだったな。」

 涼平はライトが別れる前にしていたキーホルダーの説明を思い出す。

 「叶えたい願いなんてないし、ライトに会いたいって願いでもいいよな。どうかもう一度ライトと会えますように。」

 涼平はキーホルダーにそう願った。しかし、ライトは現れなかった。

 「願い叶わないじゃないか。」

 涼平はガッカリしてキーホルダーを鞄につけて歩き出す。ライトに対して文句を言いたいところだが、冷静になって考えてみるとライトに会いたいという願いは叶えることはできない可能性がある。ライトの説明では、魔界に帰るような願いは叶えられないと言っていたし、別世界に干渉できるほどの願いは叶えられないと考えることができる。だから、神界にいるライトに会いたいという願いは叶えられないのかもしれない。このキーホルダーはあくまで人間界で叶えられる願いの範囲ってことなのだろう。

 涼平がキーホルダーについて色々推察しているうちに自宅の前までついた。涼平は玄関のカギを開け中に入る。


 

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