三十六 クリスマス、そして・・・
美影の正体が邪神であることを知った後も美影とは変わらなく接した。急に態度を変えたらクラスメイトに変に思われるし、何より涼平もライトも美影とは友達として接したかったからだ。授業に休み時間、昼食といつもと変わらない学校生活を送った。学校生活といえば、文化祭も終わり二学期は残すところ期末テストだけとなった。
積みゲーを消化し終えた涼平は少しでも良い成績を残そうと猛勉強した。その結果、過去最高の順位をとることができた。ライトと美影はいつも通り全教科満点。ライトが来てからのテストはずっと二人の同率一位だ。今思うと、美影が全教科満点だったのは神様の豊富な知識を生かしていたからなのだろう。
「いよいよクリスマスだね。」
「そうだな。今、デートプランを考えているんだが、ライトはどこか行きたいところとかあるか?」
「私イルミネーションが見てみたい。」
このように期末テストが終ってから、ライトと二人でクリスマスデートのプランを考える。二人で話し合って楽しめるプランにしようと模索している。
そして重要なことが一つある。シンラが最終決戦の日時を決めた。最終決戦の日は12月26日。この日を選んだ理由はクリスマスの次の日だからだ。涼平たちのクリスマスデートは12月24日のイブに行われる。そのデートで二人の愛が深まったところで決戦と言うわけだ。25日を休息日とし、デートの余韻があるうちに決戦を行うためにデートした後から余り期間を開けたくないから26日になった。最終決戦の日時は美影にも伝えてある。伝えなくても、涼平の心を読めば分かる話であるので秘密にしておく理由がない。一つの話題のタネとして話した。美影は「12月26日が待ち遠しいですね。」と一言。美影としても長い間会えなかったマスターとの再会は嬉しいものだろう。美影はクリスマスは一人でゆっくり過ごすそうだ。ちなみに美影からメッセージアプリで「ライトさんとエッチするなら、クリスマスが絶好の機会ですよ。」が来ていたが、涼平はスタンプで返信して誤魔化した。
そしていよいよクリスマスイブを迎える。
「じゃあ、行ってくる。」
「行ってくるね。」
「涼平様、ライト様楽しんできてください。」
「お兄ちゃん、男魅せなきゃダメだよ。」
涼平とライトはフレアとラナの二人に見送られてデートに行った。
「お兄ちゃんたち行ったし、私たちも準備しよっか。」
「そうですね。」
ラナとフレアも二人でクリスマスデートの計画を立てていた。ラナはフレアに告白してから、二人の距離は着々と縮まっている。実は涼平たちが学校に行っている間に二人でちょくちょくデートとかはしていた。二人で手を繋いで歩くのは当然だし、キスだってしたこともある。(まだフレアの気持ちはライト>ラナなので、守護者にはなっていない。)積極性という面を見れば、涼平たちよりも一歩リードしているかもしれない。
ラナたちの計画はショッピングモールに行き、お互いに相手に渡すプレゼントを買った後、本日公開のアニメ映画を見るという内容だ。昼食はショッピングモールでとり、夜は家でケーキを食べながら、買ったプレゼントを交換する流れだ。
「それじゃ行こっか。」
「はい。」
ラナとフレアはデート用の服に着替えて出発する。
涼平とライトは遊園地に来ていた。遊園地に来た理由は一日遊べるからだ。それにライトの要望であるイルミネーションも、期間限定で用意されている。イルミネーションが点灯するのは午後6時からなので、それまでの間はアトラクションに乗って時間を待つ感じだ。
アトラクションに乗るまでの待ち時間は、この前フレアを含めて三人で来た時よりも長かった。やはり、クリスマスイブなので、客数が多く特にカップル客が多いようだ。待ち時間はこの前と変わらずゲームをして待つことにした。これも一応二人で話し合った結果だ。いくら恋人同士でも、何時間も延々と話すのは難しい。大人数なら話題を順々に提供すれば場が持つかもしれないが、二人だと限度があるからだ。会話が沈黙するよりは、ゲームをして場を繋ぐ方がいいという考えに至った。
ジェットコースターをメインにこの遊園地の人気アトラクションを回る。この前の時もそうだが、ライトは絶叫系が好きなようだ。今のライトなら絶叫系のアトラクションにそこまで刺激を感じない気もするが、ライトが楽しんでくれているので良かった。
「ライトって可愛いよな。」
昼食を園内のレストランで取りながら涼平はつぶやく。遊園地で多くの女性客の顔を見る機会があった。失礼な話だが、自分の彼女と比べてしまった。その結果ライトが一番可愛いと断言できる。
「いっいきなりどうしたの?クリスマスデートだからって無理に褒めなくていいよ。」
ライトは嬉しいと恥ずかしい感情が混ざったような顔をしていた。
「いや、俺は事実を言っただけだ。ライトが彼女で幸せだなって。」
「私も涼平が彼氏で嬉しいよ。」
楽しく会話をしながら昼食を食べた。遅めの昼食にしたので食べ終わってレストランを出たら時刻は2時を過ぎていた。その後もアトラクションに回りイルミネーションが点灯する時間まで待った。
そして6時になり園内の雰囲気が変わる。園内のあちらこちらに設置されているイルミネーションが色とりどりに点灯していく。
「すっごく綺麗だね。」
「そうだな。」
ライトはイルミネーションを見てテンションが上がったのか、辺りを駆け回る。涼平はライトがたまに見せる子供っぽさが好きだったりする。
「見てみてネズミンが光ってるよ。」
ネズミンとはこの遊園地のマスコットキャラクターである。そのネズミンの像がイルミネーションによって光っているのだ。
「せっかくだし、写真でも撮るか。」
「うん。」
涼平は近くにいるスタッフに写真を撮ってもらえるようにお願いする。
「では撮りますよ。」
遊園地のスタッフが涼平から渡されたスマホを持って写真を撮る準備をする。
カシャッ
涼平とライトはネズミンの像をバックのツーショットを撮ってもらった。
「ありがとうございました。」
「楽しんでくださいね。」
スタッフは涼平にスマホを返すと自分の仕事に戻った。
「ライトにも写真送るよ。」
涼平はライトにさっき撮ってもらった写真を転送する。
「ありがとう。この写真待ち受け画面にするね。」
ライトは嬉しそうにスマホを操作する。
(そう言えば二人で撮った写真って今までなかったっけ。)
ライトと生活してもう半年以上経つが自分たちで写真を撮った記憶がない。修学旅行の時にクラスで全体写真は撮ったのと、修学旅行の自由行動の時に班のみんなの写真を撮った二つくらいしかない。同級生の中には、自分たちが撮った写真をインターネットに投稿してコミュニケーションをとっている人もいるらしい。涼平はそこまではできないが、今後はライトとの思いでとしてもう少し写真を撮ってもいいと思った。写真一つで彼女があそこまで喜んでくれるなら。
写真を撮って満足した後、涼平たちはクリスマス限定のナイトパレードを見るために場所を移動した。去年や一昨年も限定パレードを実施しており、その時の評判が非常に高かったので今年も期待が高まる。
「うわーいっぱいだね。」
パレードのスタート地点には既に多くの人たちが集まっていた。パレードはステージ公演と違い、人が多ければ見にくいという難点がある。ステージは客席がステージから離れるにつれて傾斜があり、後ろの席の人でもステージが見れるように配慮されている。一方でパレードは園内を通路をグルグルと回る。通路は普段はお客さんやスタッフが通る道なので、パレードが見やすいような配慮はされていない。
「どうしよっか。このままじゃ見えないよね。」
「そうだな。パレードが通る道順は分かるし先回りするか。」
「そうだね。」
涼平たちはパレードが通るコースの中で人混みが少なく、パレードが満足に見れそうな場所を探す。ただ、涼平たちが考えていることは他のお客も考える。パレードのコースには既に人が一杯で涼平たちは場所を確保することに苦労した。しかも場所は取れたには取れたが、背伸びしてようやく見れるような場所しかなかった。
「悪いライト。せっかくのパレードなのに下調べ不足で。」
涼平はここまでパレードを見るお客が多いとは思っていなかった。おそらく、パレードの評判が良かったから客足が増えたのだろう。
「全然大丈夫だよ。デートって別に完璧である必要はないし。こういった失敗もいい思い出になるよ。それに来年に活かせるしね。」
ライトはこういう時でも怒ったり、拗ねたりせずに笑顔を見せてくれる。
「そうだな。来年はしっかり対策しよう。」
ライトが最終決戦に勝てば来年どころか毎年来ることだってできる。ある意味、最終決戦に勝つというライトの意気込みなのだろうか。ともかく、来年もライトとクリスマスデートができるように涼平も尽力しなければ。まあ、戦力としては役に立たないが。
涼平たちが30分くらい待機していると、ようやくパレードの列がやってきた。ほんとに背伸びして何とか見える程度ではあったが、一つの思い出としては十分に満足できた。
「じゃあ、そろそろ行こっか。」
「ああ。」
イルミネーションとナイトパレードを見終わり、遊園地での目的は達成されたので次の場所へと移動する。その場所はライトの部屋だ。ライトの部屋だが涼平の家ではない。神界にあるライトの部屋だ。ライトが神界で生活していた時に使っていた部屋らしい。部屋の内装は貴族のお嬢様の部屋にありがちな内装で、部屋の真ん中に三人くらい寝れそうな大きなベッドがあり、ソファとテーブルとティータイムが出来そうな家具が目に付く。
「とりあえず、夕食食べよっか。」
「あっああ。」
涼平は部屋に置かれているテーブルに買ってきた食べ物や飲み物を置く。クリスマスイブなので、チキンで有名なチェーン店でチキンと炭酸飲料のセットを購入した。また、ちょっと高めのケーキ店でクリスマスケーキも購入してある。
「「いただきます。」」
買ってきた飲食を取り分けて食べ始める。
なんで神界にあるライトの部屋に来たかと言うと単純に二人きりになれるところを探した結果だ。クリスマスイブに二人きりになる理由は言わなくても分かるだろう。
「美味しいね。」
「そっそうだな。」
ライトは涼平と違って何も気にしてないようだ。そもそも、遊園地で遊んだ後二人きりになりたいと提案してきたのはライトだ。それにこれまでのライトの発言から、ライトが涼平とそういうことをしてみたいことは分かっていた。流れ的にその日が今日だというわけだ。
「ご馳走様。」
食事を済ませ小休憩をする。神界には電波が届かないのでスマホは使えないし、ゲームも遊園地で使い過ぎて充電がない。必然的に会話をするしかやることがない。ゲームとか別のことが出来れば、そっちに意識を持っていくことができたが、会話だけだと意識は必然と話し相手に向く。クリスマスイブの夜に恋人と二人きりで会話。当然ただ会話するだけで終わらない。どんどんとエッチをしようという雰囲気になっていく。むしろ、ライトがそういう雰囲気に持っていこうとしている。
「私シャワー浴びてくるね。」
「ああ。」
ライトはそう言うと部屋を出ていく。お風呂は下の階に大浴場があるのだ。
「どうするんだ。」
涼平はライトが部屋を出ていったことを確認してから声を出す。
別に涼平はライトとエッチをすることが嫌と言うわけではない。何ならライトという超絶美少女とエッチできるのだから、男の中で勝ち組の部類にいるだろう。ただ、すごく緊張している。ちゃんと上手くやれれるかどうか。身体の相性が悪いことや、エッチが下手なことが理由で別れるカップルも一定数いるとか。ライトに限ってそんなことはないと思うが、涼平にとっては懸念材料の一つだ。
考え事ばかりをしていても不安になるだけなので、ライトの部屋を見回ることした。
「ライトは神界にいる時はここに住んでたんだよな。」
先ほどまではライトといて、夕食や会話に夢中になっていたので、部屋の中をまじまじと見ることはなかった。改めて見ると誰かが住んでいるのか疑わしくなるくらい生活感が無い部屋だ。ベッドとテーブルとソファが置いてあるだけ。部屋に誰かが住めば少なからずその部屋には住んだ人の特徴が出るはずだ。人間界のライトの部屋はこことは違う。まず、人間界のライトの部屋はライトが学校に通っていることから、教科書やノートや文房具がある。それにライトが人間界で集めた漫画やゲームが部屋に置かれていたりする。しかし、この部屋にはライトの生活の象徴となる物が一切ない。本当にただ寝るためだけの部屋。
「確かにこれだったら、人間界での生活がライトからしたら輝いて見えるだろうな。」
シンラも以前に言っていたが、ライトに人間界の生活をより楽しんでもらうために、神界では閉鎖的にな生活を送っていたという。人間界や魔界の情報は調査によって得られるものの、実際に見たことはない。百聞は一見に如かず。ライトは情報を得て楽しそうとは思っても想像の世界でしかない。だから、ライトが人間界に来た時は衝撃が走っただろう。
「ライトのためにも俺ができる限りのことはしなくちゃな。」
涼平はライトのために全力を尽くすことを決意する。
「涼平。戻ったよ。」
扉が開きライトが部屋に入ってくる。
「あっああ。」
涼平はライトの服装に驚く。パジャマではなく、バスローブだ。風呂上りだから別におかしな話ではないのだが、ライトがバスローブを着ると破壊力がやばい。バスローブは身体のラインがパジャマ等の服より出る。それに何より、バスローブの隙間からライトの胸の谷間がチラチラ見える。正直言ってエロい。特にこれからエッチしますよと雰囲気の中でのこれはヤバい。
「涼平もお風呂入ってきたら?タオルとか全部あるから用意は何もいらないから。」
「そうだな。」
涼平はそそくさと部屋を出る。この雰囲気のまま部屋に居たらすぐにでもライトを襲いそうな気分だった。流石にそんな初体験は嫌だ。風呂に入って心を落ち着かせる必要がある。
「広いな。」
お風呂は温泉旅館の大浴場並みに広かった。今は神様が七人しかいないが、昔は百人を超えるほどいたとか。それならばこの広さは納得だ。
涼平は湯船に浸かりあったまる。
「気持ちいいな。」
このお風呂の水がどこから調達されているか疑問だが、神様だから何でもありなのだろう。涼平はゆっくりして邪念を浄化する。ライトの身体がエロいことなんて今知ったことじゃない。本番の時にはライトへの興奮をできるだけ抑えて、ライトに優しく接しなければ。
シャワーを浴びて身体を清めて風呂出る。涼平も脱衣所に用意されていたバスローブに身をくるむ。そして風呂場を後にライトの部屋の前まで歩いた。
スーハー
涼平は深呼吸する。この扉を開ければもう後戻りはできない。涼平は覚悟を決めて扉を開ける。
「おかえり。お風呂どうだった?」
ライトはソファではなく、ベッドの上に座っていた。まるで、私はいつでも準備できてるよと言わんばかりに。
「気持ちよかったぞ。」
涼平はライトの隣に座る。ここで隣に座らず他の場所に座ったら、間接的にライトの誘いを断っているようにみえてもおかしくない。
「そっか。」
「ああ。」
二人の間に微妙な空気が流れる。ここまで来たのだ。お互いにもうエッチをするのは今日なんだと分かっている。ただ、どうやって始めればいいのか出だしが分からない。
(ここは男である俺が言うしかないよな。)
ライトがソワソワしているのは見ていて分かるし、男の自分がこの先ライトをリードする必要があるだろう。こんなところで躓いてはいけない。
「ライト。その・・・そろそろするか?」
自分でも安直だと思うが、これ以上の発言が頭の中に出てこなかった。
「うっうん。」
ライトは頷きベッドに寝転がる。涼平に身をゆだねることを暗に伝える。
「じゃあ、ライト。脱がすぞ。」
「うん。優しくしてね。」
涼平はその日大人の階段を上った。
「んんん。」
涼平は目が覚め上半身を起こす。
「おはよう。ゆっくり眠れた?」
ライトがソファに座って紅茶を飲んでいた。さながら朝のティータイムといったところだろう。
「ああ。」
涼平は起き上がる。
「あっやべ。そう言えば裸のままだった。」
昨日ライトとエッチをした後、疲れて(肉体的にも精神的にも)そのまま寝てしまったんだった。
「服は置いてあるからそれを着てね。」
ライトが服がある方を指さす。ベッドの横にある小さな棚の上に服が置かれていた。涼平はとりあえずそれを着ることにする。
「そう言えば今朝アクアが来てね、今日の昼食はみんなで神界で食べようって。何でもシンラ様が話したいことがあるみたい。神界でやるんだし涼平も参加するよね?」
「ああ。」
涼平は参加することにした。明日の最終決戦の前に話しておきたいことがあるのだろう。涼平の予想では邪神の封印が解かれた後のシンラはもうこの世にいない。もしかしたら、最後の時は自分の子どもと過ごしたいという気持ちもあるのかもしれない。
「朝食が食べたいな。どこかに食料が置いてあるキッチンとかある?」
ライトが昼食の話をしたからお腹が空いてきた。軽くお腹に何か入れて置きたい。
「あるよ。私も何か食べたいかな。」
ライトに連れられて涼平はキッチンに向かう。
キッチンに入ると既にアクアがせっせと料理を作っていた。おそらく昼食の準備をシンラに命じられたのだろう。今日の参加人数が神様全員に涼平とラナ、クロとゼルアまで参加したらかなりの人数になる。早くから準備しないと間に合わないのだろう。
「涼平さんにライトさん、おはようございます。」
アクアは涼平たちに気づいて料理の手を止め律儀に挨拶をする。
「「おはよう。」」
「もしかして朝食がご入り用ですか?少し待ってもらえれば準備いたします。」
「いや、いいよ。冷蔵庫の中の物使わせてもらえれば勝手に作るから。」
アクアが昼食を作る手を止めては申し訳ない。涼平も料理は作れるのでできることは自分しないと。
「分かりました。冷蔵庫の中の物はご自由に使って大丈夫ですので。」
アクアはそう一言告げると自分の作業に戻る。
「朝食だし軽めの物でいいか。余り食べ過ぎるとアクアの美味しい昼食が食べられないからな。」
涼平は冷蔵庫を開けて中の食材を確認する。中には色々な食材があったが、多すぎて逆に悩ましい。
「こっちに食パンあるよ。」
ライトが冷蔵庫の横にある戸棚から食パンの入った袋を取り出す。
「そうだなー。サンドイッチにでもするか。」
涼平は冷蔵庫の中からハム、レタス、卵の三種類の食材を取り出す。今日の朝食はハムレタスサンドと卵サンドに決定だ。
涼平は早速調理に取り掛かる。まずはパンの耳を切り落とす。次にパンをサンドイッチの形に切る。涼平はめんどくさいので対角線上に切るだけにした。
「涼平が作るご飯久しぶりだね。」
「そう言えばそうだな。」
フレアが来てからは涼平は料理を作る機会が無くなった。フレアの作る料理の方がおいしいし、料理を作る時間を趣味とか別の時間にあてられるから、申し訳ないとは思いつつもフレアに任せっきりだった。
「ライトもこれから料理の練習したら?」
「涼平は私の手料理食べたい?」
「ああ。そうだな。」
ライトの手料理は食べてみたい。彼女の手料理と言うのは味以上に魅力がある。万能なライトのことだから、数回も練習すれば形になるだろう。
「じゃあ、今度頑張って練習するね。」
ライトと話しているうちにサンドイッチが出来た。
これ以上キッチンにいてアクアの準備の邪魔をしてはいけないので、部屋で朝食を食べることにした。
「ごちそうさまでした。」
「お粗末様。」
サンドイッチを食べ終わった。軽めの朝食ということで、ハムと卵一つずつしか作らなかったので一瞬だった。
「これからどうしようか。」
スマホの時計を見ると時間は10時過ぎ。昼の集まりは12時らしいので中途半端に時間がある。ぶっちゃけた話、神界にいても特にやることがない。
「ちょっと身体動かさない?」
「いいだろう。」
ライトは明日が本番だ。明日身体が固まらないためにも、軽く運動をしておくことは悪いことではない。涼平たちは食後のトレーニングに時間を費やした。
昼の12時になりシンラの提案した昼食会が始まる。場所は前回お茶会をした場所と同様。参加メンバーは涼平の予想通り、神様七人に加えて守護者+ラナと勢ぞろいだった。
「皆さんにここに集まってもらったのは今後のことを話すためです。」
昼食を食べつつシンラの話が始まる。リーフ、レイ、アクアと事情を全く知らない神様がいたのでシンラは一から説明した。事情を知らない三人に神も薄々シンラが何かしている事には気づいていたのだろう。そこまで驚くようなリアクションはしていなかった。
「それでここからが本題なんだけど・・・。」
シンラは最終決戦が終わった後の話を始める。涼平の予想通り、邪神の封印が解かれた後はシンラは消えてしまうらしい。その事実にライトとマイ以外の神が驚く。マイは計画を知っていたからシンラの結末も当然知っている。ライトもシンラに事前に知らされていたらしい。今ここで聞かされてライトが動揺してしまうことを避けるためだろう。
シンラは自分が死んだ後の仕事について語る。とは言ってもほとんど今と変わらない。シンラの代わりにライトが神様のトップになることと、アクアの仕事の中からシンラのお世話係という仕事が減ったことくらいだ。
「長々と話しましたが、皆さんとは明日でお別れです。今まで色々とうるさく言ってきたこともありましたが、私はあなたたちと過ごしてとても楽しかったわ。これからも頑張ってね。」
シンラは最後にお別れの言葉を告げる。
涼平は昼食を食べ終えると部屋を後にする。ライトたち神様はまだ残るようだ。当然と言えば当然だろう。自分の親とは明日でお別れ。そんな事実を知ったら、少しでも長く一緒にいたいだろう。親子団らんの場を邪魔するわけにはいかない。クロにゼルア、ラナも同じことを思ったのだろう。三人もすぐに部屋を出た。
やることがなく神界を歩いていると電話がかかってきた。神界には電波が届いてないはずなのでおかしい。さらに非通知の着信、ますますおかしい。
「もしもし。」
とりあえず出てみることにする。
「もしもし、私です。美影です。涼平さんが暇そうでしたので、電話かけちゃいました。」
「何だ美影か。」
涼平は一安心する。神様の力を使って電話をかけているのだろう。だから非通知となったと考えられる。よくよく考えると、明日戦う敵からの電話で安心って何だ。
「昨日の夜はお楽しみみたいでしたね。涼平さんの心の中がライトさんで満たされていますよ。」
「そっそうだな。昨日はよかった。」
美影に昨日の夜のことを指摘されて恥ずかしくなる。美影が心を読めることは知っているので、ライトとしたことはバレているのはしょうがないが、こう言葉にされると恥ずかしい。
「いよいよ明日ですね。涼平さんがこの様子だとライトさんの準備は大丈夫そうですね。」
「多分な。ライトは十分に仕上がってると思う。」
「そうですか。それは楽しみですね。あと大丈夫だと思いますが、約束忘れないでくださいね。」
「ああ。」
美影との約束は特に問題ない。ライトが勝てば普段と変わらず美影と友達でいるだけだから。
「じゃあ、また明日ですね。」
美影はそう言うと電話を切った。
(美影はどっちが勝ってほしいんだろうな。)
正直に言って美影の真意がつかめない。約束の内容的にもどっちが勝っても自分に利益があるように立ち回っている。もちろん、ライトと美影のマスターの勝負、どちらが勝つかはやってみないと分からないので、両方に保険をかけておくことはおかしくない。ただ、美影のこれまでの行動的にライトに勝って欲しいのかなと思わなくもなかった。
涼平は歩き回るのにも飽きたのでライトの部屋に戻って眠ることにした。
夕食も全員で食べシンラにとっては最後の晩餐となった。お風呂も七人の神様全員で入り、最後の時を一緒に過ごした。就寝は流石に七人一緒ではなく、皆それぞれの部屋で眠ることになった。ちなみに涼平はライト部屋、クロはマイの部屋、ゼルアはシンラの部屋、ラナはフレアの部屋でそれぞれ寝ることになった。
「いよいよ明日だね。」
「緊張してるのか?」
就寝前にライトが話しかけてきた。
「少しね。私に全てがかかってるからね。」
「大丈夫だ。俺がついてる。」
涼平は戦闘面においてライトをサポートをすることが出来ない。だからせめてライトが不安にならないように支えなくてはいけない。
「うん。涼平が傍にいてくれたら私は勝てるよ。だって私の涼平への想いは誰にも負けないから。」
「そうだな。」
涼平たちは会話を止め、明日に向けて早めに寝ることにした。




