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三十二 文化祭に向けて②

 交換留学生としてアポロがやってきて三日が経った頃、台本係である実行委員が台本のプロトタイプを完成させた。実行委員はプロトタイプの台本を五つコピーし、各役職の人に一部ずつ渡した。各役職で回し読みして台本に問題ないかを確認してもらう。音響係は涼平一人なので台本をもらったようなものだ。

 (どれどれ。)

 涼平は台本を読む。

 台本の中身はロミオとジュリエットが出会う仮面舞踏会、二人が愛を誓う場面、こっそりと結婚式を挙げる場面、ロミオがティボルトを殺して追放される場面、ラストの二人が死ぬ場面にまとめられていた。台本はロミオとジュリエットの二人の愛に焦点を当てており、結婚式の場面やラストの二人が死ぬところはセリフ量が多かった。二人の恋の障害となったキャビュレット家とモンタギュー家のいざこざは軽くしか触れられていなかった。

 (まあ、いいんじゃね。)

 涼平の率直な感想だった。原作を知らない涼平からすると、これの出来が良いのか分からなかったが、少なくとも台本を読んで違和感はなかった。文化祭でやる演劇ならこの程度で十分だろう。

 台本を読んだ他の生徒も特に何の指摘もなかった。それが台本が完璧だからなのか、せっかく書いてくれた台本だから口出ししにくいのか真意は分からないが、この台本で演劇をすることになった。早速今日の放課後に打ち合わせをすることになった。各役職の代表が打ち合わせに参加対象となる。

 (めんどくさ。)

 涼平は放課後に残って作業することがないために家で作業をする音響係を選んだのだ。だから、放課後に居残って何かをするのはだるい。しかし、参加しないとクラスで浮いてしまう。涼平の理想なクラスメイトとの関係である、クラスではそれなりに話すけど休みに日に遊ぶような関係ではない程度の程よい仲に亀裂が入ってしまう。涼平は渋々参加することを決意する。

 

 そして放課後。

 「私先帰るね。」

 「涼平さん、お先です。」

 「ああ。」

 ライトと美影は涼平に別れを告げて帰る。どうやら二人は小道具係の代表ではないようだ。涼平は帰れることに羨ましいと思いつつも二人を見送った。

 「代表の人は教壇付近に集まってください。」

 実行委員の人が声をかける。各役職の代表がぞろぞろと教壇の前に集まる。涼平は各役職の代表の顔を見るが、残念ながらそこまで仲の良いクラスメイトはいなかった。そもそも、涼平が仲の良いクラスメイトが大樹たちくらいしかいないことが問題と言えば問題なのだが。

 「それでは打ち合わせを始めます。」

 各役職の代表が教壇近くの席に座ったことを確認して実行委員が発言する。

 「まず役者係なのですが、登場人物であるロミオ、ジュリエット・・・パリスの主要キャラの配役を決めてください。出来れば明日の放課後までに決めてくれると助かります。決まり次第報告をお願いします。」

 台本係である実行委員がこの演劇の総監督を兼ねている所もある。実行委員が各役職に指示していく形になりそうだ。

 「分かりました。」

 役者係の代表である女性が返事をする。噂によると各役職ごとに連絡を取り合えるようにSNSでグループを作っているらしい。音響係である涼平は一人しかいないのでグループはないが、小道具係であるライトは小道具係のグループに参加しているみたいだ。おそらく、配役はそのグループ内で話し合うのだろう。

 「次に背景係は舞踏会の会場、結婚式を挙げた教会、ラストの埋葬された霊廟の三つを中心に作成してください。」

 「了解。」

 背景係の男子生徒が返事をする。

 「次に小道具係ですが、毒薬、ジュリエットが胸に刺した短剣、ロミオがティボルトを殺した剣、ジュリエットが埋葬された一族の墓を作成してください。また、ロミオとジュリエット役に合う衣装の用意をお願いします。」

 「はい。」

 小道具係の女子生徒が返事をする。

 「次に音響係は舞踏会で流す曲、結婚式の時の曲、ロミオがティボルトを殺してしまう時の曲、ラストシーンでの曲、余裕があれば他にも曲を用意してくれると助かります。」

 「分かった。」

 涼平は返事をする。実行委員の話を聞く限り音響係の仕事は思ったよりもダルそうだ。数曲は用意しないとはと覚悟していたけど、実行委員の話し方的にもっと要るかもしれない。

 「最後に照明係だけど、今は特にやることがないので他の係を手伝ってくれると助かります。」

 「はい。」

 照明係の男子生徒は返事をする。声のトーン的に手伝いはしないだろうと涼平は思った。やはり、照明係になれなかったことが悔やまれる。

 「何か質問がある人はいますか?」

 実行委員は一通り説明を終えたので質疑応答に移る。

 「・・・。」

 誰一人として質問はないようだ。

 「じゃあ、今日はこの辺で終わりにします。各係進捗については適宜報告してください。」

 話し合いは終わり解散となる。時間にすれば10分あったかどうかだ。これなら休み時間にすればよかったのだろう。涼平はそんなことを思いつつ帰りの支度をする。

 「黒井君。ちょっといいかな。」

 涼平が帰ろうとリュックを背負った時に実行委員に話しかけられた。

 「何か用か?」

 「ええ。少し話を。すぐに終わるから歩きながら話しましょう。」

 「分かった。」

 涼平は実行委員の話を渋々聞くことにした。本当はダッシュで帰ってゲームをしたい。昨日やっていたノベルゲーがいいところで寝落ちしてしまって続きが気になってしょうがないのだ。しかし、クラスの人も無下にできない。

 涼平たちは教室を最後に出たので施錠して職員室に鍵を返しに行かなければならない。一手間かかるがルールなのでしょうがない。涼平は教室の鍵を閉めて職員室に向かう。

 「それで話って。」

 「黒井君、音響係一人でしょ。何か分からないこととか困ったことがあったらいつでも聞いてくれていいからね。」

 「ありがとね。何かあったら頼らせてもらうよ。」

 涼平は素直にお礼を言う。おそらく実行委員は音響係である自分を気にかけてくれているからだ。今回演劇をやるにあたって音響係は二番目に大変な仕事だからだ。一番は言うまでもなく台本係だ。演劇の成功を左右するから責任重大である。音響係が何が大変かと言うと一人で作業するのに対して仕事量が多いことだ。背景係や小道具係も仕事量自体は多いが、人手が多いので一人当たりの負担がそこまで大きくない。音響係も人数がいれば仕事を分担できたのが、残念ながら涼平一人だけだ。音響係に人がいない理由はみんなやりたくないのだ。編集なんてめんどくさいし、上手くできる保障もない。だから音響係も台本係と近しい立ち位置なのかもしれない。実行委員はそこまで考えて声をかけてくれたのだろう。

 「遠慮せず頼ってくれ良いからね。私は台本書き終わってフリーになったから。」

 「ああ。けど、少し休んだらいいと思うぞ。実行委員の仕事大変だろ。」

 実行委員は演劇の台本を書く以外にも仕事がある。例えば、他クラスと演劇の順番を決めるのだって実行委員の仕事だし、文化祭のプログラムの作成だって仕事の内だ。クラス内だけでなく、クラス外でも多く仕事があるのが実情だ。それなのに、今日も話し合いの場を設けたりと演劇が上手くいくように手を尽くしているわけだ。文化祭を楽して終わらせたい涼平からすると、実行委員は対極の位置にいる。

 「ありがとね。」

 実行委員は心配してくれたのが嬉しかったのか少し笑みを浮かべていた。

 職員室に鍵を返し生徒玄関で靴を履き替えた。実行委員とは帰り道が真逆なので校門の前で別れることになった。

 「じゃあ、黒井君。また明日。」

 「ああ。また。」

 涼平は別れの挨拶をすると帰路につく。


 次の日の放課後から文化祭の準備が本格的に始まった。役者係はそれぞれ決まった配役のセリフを覚えるところから。背景係は背景の作成。小道具係は小道具の作成と役者係の衣装合わせのための採寸。照明係は帰宅。作業は教室でやるので実行委員は居残り、それぞれの進捗を見守っている状態だ。

 音響係の涼平はと言うと自宅に帰っていた。ライトは小道具係なので放課後は居残り作業なので一人で。

 「ただいま。」

 「おかえりなさいませ。」

 「おかえり、お兄ちゃん。」

 涼平が帰宅するとフレアとラナはいつも通りリビングでゲームをしていた。涼平は二階の自室に向かう。

 「さてと、俺も作業を開始しますか。」

 涼平はリュックをベッドに放り投げパソコンを電源ボタンを押した。パソコンが起動するまでの時間を待っている間にスマホで作業のお供に見るアニメを探す。涼平は人間界に来てからたくさんのアニメを見てきたが、個人的に2006年から2013年くらいが深夜アニメの全盛期だと思っている。もちろん、今のアニメにも面白いものもあるが、全体の質としては圧倒的に違う。

 「どれにしようかな。」

 作業中に見るアニメは初見のアニメよりも一度見たことのあるアニメの方が良い。初見のアニメだと面白くて見るのに夢中になり作業の手が止まってしまう可能性がある。その点、一度見たことあるアニメだと、展開が分かっているので作業の手が止まりにくい。(面白過ぎて手が止まることもあるが。)

 「これに決めた。」

 涼平が選んだアニメはラノベが原作である天才と試験と使役獣だ。学園もので笑いが止まらない面白いアニメだ。涼平は再生ボタンを押しアニメを流す。そして、いよいよ本題だ。涼平はパソコンでとりあえずフリー音源を色々と聞いてみる。著作権とか分からないのでフリー音源ならどれを使っても大丈夫なはずだ。それに最近のフリー音源にはお金がとれるくらい良いものが揃っている。とりあえず、舞踏会と結婚式の場面で使うであろう明るい曲から探していく。

 

 一方、小道具係のライトたちは教室で作業していた。小道具係は小道具を作る仕事と役者の衣装を用意する二つの仕事がある。小道具係は交換留学生であるアポロを含めて9人なので小道具を作る5人と役者の衣装を用意する4人に分かれることになった。ライトは小道具を作る側となった。

 演劇で必要な小道具は剣が二つと墓が一つ。これもまた分担して作業することになった。ライトは剣を担当し、美影とアポロでもう一つの剣を担当、残りの二人で墓を担当となり早速制作に取り掛かる。

 剣は演劇で実際に人体に刺すので、演劇中に折れないよう強度な物を作成する必要がある。墓の方はジュリエット役の生徒が入れる程度の大きさで作らなければならない。どちらも意外に大変な作業だ。

 ライトは家から持ってきた要らない紙で剣の柄の部分から作成していく。一応、演劇をするにあたって各クラスに予算が設けられているのだが、予算の大半は衣装に割り振られており、小道具には予算は割けなかった。だから、家である物を駆使して作る必要がある。

 「美影はどんな感じで作るの?」

 「ライトさんと同じですよ。まず紙で形を作った後、テープで補強して最後に着色して完成って感じです。」

 美影もライトと同じように大量の紙を持ってきていた。

 「そうだよね。」

 ライトは自分のやり方が間違っていなくて安心する。

 「オー。ライトとミカゲは仲よしなのかな。」

 ライトと美影の二人の会話を聞いていたアポロが話す。

 「そうだね。美影とは仲がいいよ。修学旅行で水族館に行った時も二人でいたし、スマホでよく連絡も取り合ってるし、美影とは何か気兼ねでなく話せるの。そういう意味では一番頼りにしてる友達かも。」

 ライトのクラスでの交友関係について、涼平を除けば美影が一番仲が良いまである。修学旅行で涼平とのことを相談した時も美影は後押ししてくれたのだ。美影自身も涼平のことが好きなのに。それ以外にも美影にはちょいちょい相談に乗ってもらったり、最近は長電話することも増えた。

 「ライトさん、そんなこと言われたら照れちゃいます。」

 「ミカゲはどうなの?ライトのこと親友と思ってるの?」

 「私もライトさんのこと大切な友達だと思ってますよ。」

 「本当に?嘘じゃない?」

 「本当ですよ。私がライトさんの仲がいいのは変ですか?それとも、私がライトさんと仲がいいと何か都合でも悪いのでしょうか?」

 「違うよ。美影が顔色一つ変えずに言うんだから本当なのか疑問に思っただけね。ライトはミカゲのこと話す時すごく楽しそうに話してたから。」

 アポロは美影を疑った理由を述べる。

 「美影はポーカーフェイスっていうか、余り感情を表に出さないよね。」

 ライトも美影が笑ったり泣いたりするところをそこまで見たことがない。常に落ち着いていて何事でもそつなくこなしている所にライトは密かに憧れていたりする。ライトは人間界に来てから感情的に動いてばかりだからだ。神様なら冷静に大局を見なければならない場面だってあるだろうから、冷静でいられることも必要だと思っている。

 「そうですね。余り感情を外に出すことに慣れていないだけです。これでも昔よりは大分感情を出すようになったんですよ。」

 「ほんとに!!」

 ライトは美影が今以上に感情が出していない姿を想像する。

 (なんだかロボットみたいね。)

 たださえ感情を出さない美影がさらに感情を出さなければ無感情と同意だろう。

 (・・・なんだかフレアに似てるかも。)

 フレアも神界にいたころはそこまで感情があったわけではない。常に傍にいるけど、話しかけないと基本会話がない。ただ、人間界に来てからはそれなりに話すようになった。特にラナちゃんのおかげで最近は笑顔を見ることも多くなった。

 「そろそろ作業に戻りましょう。まだ本番まで二週間近くありますが、早めに作って損はありませんから。」

 さっきから話してばかりで手は一切動いていなかった。初日作業が進まなかったら先が思いやられる。クオリティを上げるには時間をかける必要もあるので、呑気に話している場合ではない。

 「そうだね。少しでも作らないと。」

 ライトたちは作業に取り掛かる。


 それから毎日文化祭に向けて準備に時間を費やした。

 涼平はある程度自分の中で曲を厳選した。その曲を実行委員に聞いてもらって、使えそうな曲を一緒に選んでもらった。演劇で流す曲は全部で7曲となった。涼平はそれらの曲を編集しなければならない。とは言っても、編集は涼平が思っているほど難しくなかった。曲の速度を変更したりとか、曲のサビの部分が出だしになるようにカットしたりとかですんなりと編集は終わった。涼平の残りの仕事はこの編集した曲を場面に合わせて流すだけだ。

 ライトの方は特に何事もなく剣を作成することができた。ライトの頭の中には剣のイメージがあったことが大きい。やはり何かを作るときは見本を見ながらするのが簡単だ。ライトの場合は自分の神剣ゴッドスレイヤーを参考にした。もちろん、顕現させたわけではない。

 他の生徒も着々と自分の仕事を進めていきリハーサルをする前日までには全ての作業が終わった。後はリハーサルで通すだけだ。


 リハーサル当日(文化祭前日)。

 今日は翌日が文化祭と言うこともあり、授業はなく六限まで全て文化祭の準備に時間を使うことができる。リハーサルは当日の順番通りに各クラス順に行われていく。涼平たち3組は一日目の二番目に劇をすることに決まっている。言い忘れていたかもしれなないので言っておくが、文化祭は二日間実施される。二年生は演劇が終われば仕事は終了なので、涼平の場合は一日目の演劇が終わった後と二日目は自由になる。もちろん全員が全員そうではない。文化部の人、例えば合唱部や吹奏楽部はコンサートをするし、有志の人がバンドをしたりとかクラスの出し物以外にも出し物をしたりする。

 一クラス目のリハーサルが終わり3組の番となった。体育館に入るとパイプ椅子がズラリと並んでおり、明日の準備は万端といった感じだ。音響の設備はステージの裏側にあるので涼平はそこに移動する。曲を流すタイミングは事前に実行委員に聞いており、わざわざ台本に印までつけてくれた。涼平は音響担当の先生から設備の使用方法について説明を受ける。

 そして、リハーサルが始まる。演劇中はクラスメイトのほとんどに仕事がある。仕事ないのは台本

係である実行委員のみだ。だから、実行委員は観客席であるパイプ椅子に座り演劇を正面から見て最終チェックをする。

 リハーサルは失敗することなく終了した。涼平も流す曲を間違えたり、タイミングを誤ったりはしなかった。教室に戻ると涼平は特にやることが無くなる。文化祭の準備に割り振られているこの時間、演劇をする二年生は特に暇なのだ。一年生は出し物をする教室を飾り付ける作業があったり、三年生は調理器具の準備や外売りをするクラスはテントを設置したりと仕事がある。二年生はと言うと、役者係の生徒が練習するくらいで他の役職の生徒は特にやることはない。文化部や有志で出し物をする人はこの時間を有効活用して、出し物に向けて準備をしていたりした。涼平は編集した曲を流すために文化祭の期間だけ持ち込みが許可されているパソコンで遊ぶ。もちろん、ゲームをするために持ってきていいわけではないので、先生に見つかると怒られてしまう。だから、教室の端の方で曲の編集をしているふりをしながらゲームをして時間を潰した。


 その日の夜。

 「フレアたちは明日の文化祭来るのか?」

 涼平はフレアとラナの二人に文化祭に参加するかを聞く。涼平たちの学校の文化祭は一般開放していない。生徒以外が文化祭に参加する方法は一つ。各生徒に一般人が参加できるチケットが二枚配られる。そのチケットを持っていないと門前払いされてしまうわけだ。

 「もちろん行くよ。」

 ラナは元気に答える。魔界の学校では文化祭のような楽しいイベントなんてないので、かなり興味を持っている。

 「私も行きます。けど、せっかくの演劇なのに涼平様もライト様も裏方の仕事なことが残念です。」

 フレアも参加するようだ。

 「そうだよね。お兄ちゃんはともかく、ライトお姉ちゃんは絶対ジュリエット役やるべきだったよ。ライトお姉ちゃん以上に可愛い女の子なんてクラスにいないでしょ。メインヒロインはやっぱ可愛い女の子がやらないと。」

 「そうですね。見た目は演劇においてかなり重要なファクターだと思います。」

 ラナの力説にフレアが肯定する。

 (まあ、分からなくもない。)

 涼平は言葉にはしないが二人の考えに肯定的だ。映画やドラマだって話題性確保のために、イケメン俳優や人気女優を主演や重要な役に抜擢されたりする。他に演技に優れた役者がいたとしてもだ。ただ、今回は高校生の文化祭であり、集客を目的としているわけではない。だから、誰が何を演じようが特に関係ない。

 「そんなことないよ。ジュリエット役の子、すごく可愛いよ。ねっ涼平。」

 「どっどうだろうな。俺はライト以外の女の子を可愛いと思ったことがないから分からない。」

 涼平はジュリエット役の生徒が可愛いだなんて思っていない。別にこれはライトと比較してとかではなく、美影や聖来と比べても全然だ。だからといって馬鹿正直に可愛くないとは言えない。かと言って嘘をついてまで可愛いとも言えない。ここは分からないと言っておくのが無難だ。

 「えっとありがとう。」

 ライトは少し照れる。

 「ところで涼平様たちは演劇以外ではどのように文化祭を過ごすつもりですか?」

 「一応、文化祭の二日目は一日自由だからライトが空いているなら二人で回りたいとは考えてる。ライトはどうかな。」

 「二日目だね。大丈夫だよ。一緒に回って楽しもうね。」

 ライトから了承がもらえて少し安心する。友達と先に約束していたら一緒に回る約束をしていたら断られたわけだ。予め約束をしておけよという話ではあるのだが、何か誘うのが恥ずかしかった。もう付き合って数ヶ月も経つし何度もデートも行っているのに未だにデートに誘う時は緊張する。

 「ああ。」

 文化祭デート。ライトとの関係を深めるには重要なイベントだ。楽しんでライトにはいい想いをしてもらいたい。涼平の文化祭の一日目は二日目を楽しむために下見をすることにした。

 

 

 



 

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